口コミを見るなと言うつもりはありません。すでにご覧になっているはずです。そこから何を読み取れて、何を読み取れないのかを整理します。
口コミが伝えているのは「満足したかどうか」であって、「効いたかどうか」ではありません。
この2つは、ふだんは重なっています。だから区別する必要をあまり感じません。けれども自由診療では、離れることがあります。もっとも注意が要るのは、満足度が高いのに効果が確かめられていない治療です。
口コミを読むとき、私たちは「書かれたもの」しか見ていません。書かれなかったものは、画面に出てきません。ここが最初の落とし穴です。
ある治療を100人が受けたとします。その後、何が起きるでしょうか。
濃い印が「書いた人」です。100人のうち、画面に出てくるのは20数人。しかもその大半は「とても満足した人」に偏ります。いちばん知りたい「途中でやめた人」の声は、構造的に集まりません。※この図は、書きやすさの偏りを説明するために作ったものです。実際の割合を示すデータではありません。
だから、口コミの平均点が高いことは、「多くの人が満足した」ことを意味しません。「満足した人が書いた」ことを意味します。
口コミを見るときに、この9つを頭の片隅に置いてください。慣れると数秒で判断できます。
施術の直後と、半年後では、まったく別の評価になります。とくに体重や見た目の変化は、直後がいちばん良く見えます。
薬をやめたあとに戻ることや、時間とともに戻ることは、直後の口コミには現れません。
「3か月で8kg減りました」は、その人がその期間に何をしたかの記録であって、治療の効果の証拠ではありません。同じ期間に食事や運動も変えていたかもしれません。季節や生活の変化かもしれません。
効果を確かめるには、同じ条件で治療を受けなかった人と比べる必要があります。口コミには、その相手がいません。
上の図のとおりです。途中でやめた人の声は、まず集まりません。効かなかった人、副作用で中止した人、費用が続かなかった人。その人たちが黙っている分だけ、見えている評価は上に寄ります。
ポイント、割引、次回無料、モニター価格。何かと引き換えに書かれた口コミは、書き手が意識していなくても肯定に寄ります。
事業者が third party に依頼して、広告と分からせない形で発信させることは、景品表示法で不当表示とされています(2023年10月1日施行)。報酬や便益があるなら「PR」等の表示が必要です。
これがいちばん実用的な見分け方です。
「効きました」「最高でした」には、情報がほとんどありません。いっぽう「2週間、吐き気で食事が半分になった」「3日目から便秘が続いた」には情報があります。あなたに起きるかもしれないことが、具体的に書かれているからです。
口コミが100件あることは、100人が体験したことを意味しません。同じ人が複数書くこともあれば、まとめて集められることもあります。
そして「多い=信頼できる」ではありません。集めやすい仕組みがあるかどうかを表しているだけのことがあります。
5と1ばかりで、3や4が少ない。この形になっているとき、中間の体験が抜け落ちています。
強く満足した人と、強く不満だった人だけが書き、その間の大多数が書いていない。いちばん多いはずの「ふつうだった」が見えません。
施術前後の写真は、証拠のように見えて、実はいくつもの条件に左右されます。撮影の角度、光、表情、姿勢、時刻、加工。そして「いつ撮ったか」。
なお、医療機関の広告では、患者を誤認させるおそれのある施術前後の写真は掲載できないことになっています。厚生労働省の監視事業でも、この違反が繰り返し指摘されています。
口コミが載っている場所の多くは、医療機関から掲載料や送客手数料を受け取っています。それ自体は違法ではありません。ただし、お金を払っている側に不利な情報が、同じ熱心さで残るかどうかは考えたほうがよいところです。
掲載の仕組みは、たいていサイトの「掲載をご検討の医療機関様へ」といったページに書かれています。
| 口コミから読み取れること | 読み取れないこと |
|---|---|
| 説明のされ方 どんな聞かれ方をして、どう説明されたか |
効果があるかどうか 比べる相手がいないため |
| 手続きの流れ 予約、待ち時間、支払い方法 |
あなたに起きること 条件が違えば結果も違う |
| 起きた症状の具体例 いつ、何が、どれくらい続いたか |
症状が起きる頻度 分母が分からないため |
| 費用の実際 提示額と、最終的に払った額の差 |
相場かどうか 1件では比べられない |
| 契約のときに起きたこと その日のうちに決めるよう言われたか等 |
医学的に適切だったか 書き手も判断できない |
口コミは、医学ではなく「体験の記録」として読んでください。
そう読むと、実はかなり使えます。説明のされ方、手続き、費用、契約のときのやりとり。これらは書き手が実際に見たことで、あなたにも起こりうることです。効果の話だけを、他の材料で確かめればよいのです。
下の2つは、説明のために作った文です。実在の医療機関や投稿とは関係ありません。
例 1
例 2
例1は星5、例2は星3です。けれども判断の材料になるのは、圧倒的に例2です。星の数を平均するより、症状と費用が具体的に書かれた投稿を数件読むほうが、はるかに役に立ちます。
理由は3つです。
| 1 規制の側から | 患者の主観や伝聞にもとづく治療の内容・効果に関する体験談は、医療機関の広告としては掲載できないことになっています。口コミにもとづいて医療機関に順位を付けることも、比較優良広告にあたる可能性があるとされています |
| 2 量の側から | すでに数万件から十数万件の口コミを持つサイトが複数あります。ゼロから集めても勝てませんし、勝つ必要もありません |
| 3 中身の側から | 口コミは満足度であって、有効性ではありません。このサイトは「調べられているかどうか」を扱う場所です |
ランキングサイトを装って、医療機関の口コミ(体験談)等に基づき、医療機関にランキングを付すなど、特定の医療機関を強調している場合は、比較優良広告に該当する可能性があり、広告できません。 厚生労働省「医療広告ガイドラインに関するQ&A」A2-10 原文引用・加工なし
そのうえで、口コミを見るなとは言いません。あなたはすでに見ています。だから、そこから何を取り出せるかを整理しました。
口コミで「説明のされ方・手続き・費用・契約のときのやりとり」を読む。効果と安全性は、別の材料で確かめる。
この2つを分けるだけで、同じ画面から取り出せる情報の質が変わります。
当サイトでは、治療ごとにこの照合をしています。すべて無料でご覧いただけます。