目の下のクマ・たるみ取り(経結膜脱脂)
クマには「ふくらみ・くぼみ・色」の3種類があり、脱脂が効くのは最初の1つだけです。まず自分のクマがどれかを知らないと、取ったあとに別の問題が出ます。
下まぶたの裏側(結膜)を数mm切り、出っ張った眼窩脂肪を取る手術です。皮膚に傷が残らず、腫れは1〜2週間です。36研究の系統的レビュー(2025年)は下眼瞼形成術を「全体として安全で合併症は少ない」「視機能に関わる重大な合併症はなし」としつつ、「手技を比べるにはより厳密な研究が必要」と結論しています。288人(576眼)の集計では下まぶたの位置が変わった例は0.5%。一方、脂肪を「取る」と下まぶたが短くなり、「移動する(裏ハムラ)」ほうが溝が埋まる、という比較(60人)があり、取りすぎのくぼみは元に戻せません。両目180,000〜295,000円です。
① 国内で承認されている使い方
経結膜脱脂は承認や届出の対象ではない外科手術で、医師が行う自由診療です。方法は「脂肪を取る(脱脂)」「脂肪を移動して溝を埋める(裏ハムラ・脂肪移動)」「皮膚側から切って皮膚も切除する(表ハムラ・下眼瞼除皺術)」「脂肪注入を併用する」があり、施設によって組み合わせと価格が異なります。
② 臨床試験で確かめられていること
ふくらみは確実に減ります。それによってクマの「影」が減る人は多い。ただし、影の原因がふくらみか溝(くぼみ)かで、取る手術と移す手術の適否が分かれます。
「取る」は下まぶたを短くする方向に、「移す」は溝を埋める方向に働くことが測定されています。どちらが良いかは顔ごとに違い、比べた無作為化試験はありません。
満足度は研究で78〜99%と高く出ますが、多くは施術者自身の集計です。再手術は5.8〜12.3%です。
腫れ・内出血は1〜2週間、最終的な仕上がりは3〜6か月です。その前に「左右差」「取り残し」を判断できません。
- 誰に
- 下眼瞼形成術(経結膜・経皮)を受けた患者(36研究)
- 何を
- 脂肪切除・脂肪移動・皮膚切除を含む各手技
- 何と比べて
- 手技間の比較(統合解析なし)
- どうなった
- 「全体として安全で合併症の少ない手技」「視機能に関わる重大な合併症なし」「機能・整容の合併症の多くは保存的治療か修正手術で解決」。合併症率の統合数値は抄録になし。「手技の比較にはより厳密な研究が必要」
- 誰に
- 288人・576眼(Schwarcz)/15眼(Segal)
- 何を
- 経結膜脱脂(隔膜の前後2つのアプローチ)
- 何と比べて
- 術前との比較
- どうなった
- Schwarcz: まぶたの位置変化の訴えなし、牽引テスト陽性0.5%(1例)。Segal: 下まぶたの後退なし、73%(11/15)で下まぶたが上がり、強膜露出は86%(6/7)で消失
- 誰に
- 60人・120眼、平均5.6か月追跡(後ろ向き比較)
- 何を
- 経結膜の脂肪切除
- 何と比べて
- 経結膜の脂肪移動(骨膜前)
- どうなった
- 下まぶたの長さ: 切除群で短縮(13.5±2.1mm vs 移動群16.1±1.9mm、p<0.0001)。涙袋下の溝の改善: 移動群が大きい(1.5±0.7 vs 0.48±0.6、p<0.001)。まぶたの位置(MRD-2)に差なし
- 誰に
- 142人(脂肪弁73人、細切脂肪移植69人)、94%女性、平均48.4歳
- 何を
- 経結膜下眼瞼形成術での脂肪移動(2法)
- 何と比べて
- 2法の比較
- どうなった
- 結膜浮腫11%/10%、しびれ6.8%/1.4%、残存しわ12.3%/8.7%、しこり2.7%/7.2%、色素沈着1.4%、再手術12.3%/5.8%、満足97.7%/98.1%(いずれも有意差なし)
- 誰に
- 日本で経結膜脱脂を受けた人
- 何を
- 経結膜脱脂
- 何と比べて
- —
- どうなった
- 日本人の満足度・修正率・合併症率の公表された集計を確認できませんでした。美容医療診療指針(令和3年度改訂版)に下眼瞼のクマ・ふくらみに関するCQはありません
※ 別々の試験の数値を並べています。試験ごとに対象者・期間・条件が異なるため、本来、数値同士を直接比べることはできません。それを承知のうえで、目安として並べています。
③ まだ答えの出ていないこと
- 「取る」と「移す」の無作為化比較。どちらが誰に向くかは術者の判断に委ねられています。
- 10年以上の長期経過。若い人が脱脂した後、加齢でくぼみがどう変わるか。
- 日本人の合併症率・修正率。施設の症例数と公開データが乏しい。
- 脂肪注入・ヒアルロン酸を併用した場合の追加リスク(しこり・塞栓)の頻度。
④ 副作用 ── 起こりやすい人・起こる時期・備え
添付文書と臨床試験の報告に基づきます。頻度や重さはあなたの条件で変わります。ここに無い症状が出たときも、処方元に連絡してください。
- 起こりやすい人
- 誰にでも。結膜浮腫は約10%。
- 起こる時期
- 直後〜1〜2週間。
- 備え
- メイクは翌日から、アイメイクは1週間後が目安と施設は説明。2週間を超える腫れは受診。
- 起こりやすい人
- 誰にでも。
- 起こる時期
- 数日〜数週間。
- 備え
- 多くは自然に治ります。
- 起こりやすい人
- 脂肪の量の判断が難しい人(若い人・脂肪が少ない人)、術者の経験。
- 起こる時期
- 腫れが引く1〜3か月後に判明。
- 備え
- くぼみは脂肪注入で補う再手術になり、元には戻せません。半年の再施術保証を設ける施設あり。
- 起こりやすい人
- 皮膚の余りが多い人、40代以降。
- 起こる時期
- 1〜3か月後。
- 備え
- 残存するしわは研究で8.7〜12.3%。皮膚切除の追加が必要になることがあります。
- 起こりやすい人
- 皮膚側から切る術式(表ハムラ・除皺術)で主に起こる。経結膜法では0〜0.5%。
- 起こる時期
- 数週間〜数か月。
- 備え
- 白目が見える、閉じにくい状態。修正手術が必要になることがあります。
- 起こりやすい人
- 誰にでも(手術共通)。抗凝固薬の使用者。
- 起こる時期
- 直後〜数日。
- 備え
- 急な激しい痛み・腫れ・視力低下は救急です。眼窩内血腫はまれですが失明の原因になります。
⑤ やめるとき
1回の手術で完結します。取った脂肪は戻りません。
手術前ならやめられます。手術後は「戻す」ことはできず、修正手術(脂肪注入・皮膚切除)になります。
ふくらみは基本的に再発しませんが、加齢で残った脂肪が出ることや、皮膚のたるみが進むことはあります。取りすぎたくぼみは加齢で目立ちます。
1回払いです。修正手術の費用(自院での保証の範囲、他院での費用)と、保証の条件を術前に書面で確認してください。契約から手術まで期間がある場合の解約条件も。
⑥ 価格
A施設は経結膜脱脂248,000円(保証なし)・295,000円(半年の再施術保証つき)、リガメント外し併用350,000円、裏ハムラ445,000円、表ハムラ545,000円、笑気麻酔3,300円。B施設は180,000円(麻酔・薬・術後診察の内訳は診察時説明)。C施設は220,000円(麻酔込み、モニター99,000円)、下眼瞼除皺術330,000円。二次資料では275,000円(初回100,000円)の例もあります。最安と最高で約1.6倍。3施設の確認で、相場ではありません。
表示価格は「脱脂のみ」が多く、脂肪注入・裏ハムラ・皮膚切除を足すと2倍前後になります。「保証つき」は再施術の条件(半年以内・同施設・初回のみ)が細かく、保証で埋まるのは取り残しであって、取りすぎのくぼみは対象外のことがあります。モニター価格は写真の公開条件とセットです。観測日2026-09-05、施設名は扱いません。
⑦ 診察で聞くこと
そのまま読み上げられる形にしています。答えをはぐらかされた質問は、それ自体が判断の材料になります。
- 私のクマは、ふくらみ・くぼみ(溝)・色のどれが主因ですか。脱脂で改善するのはそのうちどれですか。
- 脂肪を「取る」のか「移す」のか。私の場合にそう決めた理由は何ですか。何ccを取る予定で、10年後のくぼみをどう見ていますか。
- 執刀医の経結膜脱脂の症例数と、修正(取り残し・くぼみ・左右差)の頻度を教えてください。
- 取りすぎたときの修正は誰が・いくらで行いますか。保証があるなら条件は。
- 総額はいくらですか(麻酔・薬・術後診察・脂肪注入の併用を含めて)。
関連する読みもの
出典
最終確認日 2026-09-05/内容をあらためたときは訂正の記録に残します。
- Gimenez AR, et al. Safety and complications in lower eyelid blepharoplasty: A systematic review. Plast Reconstr Surg Glob Open. 2025;13(9):e710236研究。全体として安全・重大な視機能合併症なし・より厳密な研究が必要。合併症率の統合数値なし。PubMed抄録で確認
- Schwarcz R, et al. Ophthalmic Plast Reconstr Surg. 2016;32(1):49-52/Segal KL, et al. Aesthetic Plast Surg. 2016;40(1):13-18288人・576眼で牽引テスト陽性0.5%。15眼で下まぶたの後退なし。PubMed抄録で確認
- Ramesh S, et al. Aesthet Surg J. 2019;39(10):1048-105460人・120眼。脂肪切除は下まぶたを短縮、脂肪移動は溝を埋める。後ろ向き比較。PubMed抄録で確認
- Karimi N, et al. Aesthet Surg J. 2024;44(1):12-19142人。結膜浮腫約10%、再手術5.8〜12.3%、満足約98%。PubMed抄録で確認
- Gupta A, et al. Cureus. 2024;16(11):e7292988人。腫れ・内出血・結膜浮腫は1〜2週間で回復、異物感14人、外反・後退0。PubMed抄録で確認
- 複数のクリニック公開ページ(2026-09-05確認、3施設)248,000円(保証なし)/295,000円(保証つき)、180,000円(更新2026年7月)、220,000円・モニター99,000円(2026年8月)。ダウンタイム7〜14日、副作用の記載(結膜浮腫・取りすぎのくぼみ・左右差・外反)。施設名は扱いません