自由診療の料金・リスク・根拠を、受ける前に。医院レポート5院 · 資料確認 2026-09-21
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内科・点滴

NMN点滴

別の言い方: NMN点滴/NMN 静脈注射/ニコチンアミドモノヌクレオチド/NAD+ 点滴/若返り点滴/サーチュイン/NMN 効果/エイジングケア 点滴/NMN サプリ

「サーチュイン遺伝子」「若返り」は機序の話です。人で測ったのは血液の数値までで、若返ったかどうかは誰も測っていません。

結論 ── うたわれている効果は
若返り・老化防止の効果は、調べられていません

NMNは体内でNAD+に変わる物質で、サプリメントとしては2020年に「食品」として扱えるようになりました。点滴用の製剤は未承認で、クリニックが院内で調製しています。飲むNMNの8つの無作為化試験・342人のメタ解析では、血糖・インスリン・脂質に有意な効果はありませんでした。点滴のヒト試験は、健康な10人に投与した対照群のない試験が1件で、血中NAD+が上がり中性脂肪が下がった、という報告です。「若返り」「老化防止」を測った試験はありません。

1経口NMNの8つの無作為化試験・342人(250〜2,000mg/日、14日〜12週)のメタ解析(2024)で、空腹時血糖・インスリン・HbA1c・HOMA-IR・脂質のいずれにも有意な効果はなく、結論は「短期のNMN補充は血糖管理と脂質に有意な好影響を示さなかった」でした。
2経口NMNで最もよく引用される試験(Science 2021)は、糖尿病予備群の閉経後の過体重女性を対象に10週間投与し、筋肉のインスリン感受性が上がったというものです。健康な人の若返りを測った試験ではありません。
3点滴のヒト試験は1件。健康な10人に静脈内投与した対照群のない試験(2022、日本)で、血中NAD+の上昇と中性脂肪の低下、安全性が報告されました。プラセボとの比較はなく、老化や見た目の指標は測られていません。
4NMNは2020年3月に厚生労働省の「医薬品的効能効果を標榜しない限り医薬品と判断しない成分本質」リストに加わり、食品として販売できるようになりました。点滴用の医薬品として承認された製剤はなく、クリニックは「国内未承認」「院内調製」と案内しています。
エビデンスの水準
★★★
経口はメタ解析で効果なし・点滴はヒトで10人の単群のみ
承認の状況
点滴用製剤は国内未承認(院内調製)
価格の幅
100mg 25,000〜38,500円/200mg 35,000〜66,000円/300mg 45,000〜82,500円(4施設・税込換算)
1回の表示価格(用量別)

① 国内で承認されている使い方

NMN(β-ニコチンアミドモノヌクレオチド)は食品(サプリメント)として流通しています。点滴・注射用の製剤は国内で承認されておらず、医師が院内で調製するか、外部に委託した未承認製剤を使います。当サイトが確認した4施設のうち3施設が「国内未承認」を明記していました。

対象
国内での承認
NMNサプリメント(経口)
食品。2020年3月に非医薬品リストに収載(医薬品的な効能をうたわない限り食品)
NMN点滴・静脈注射
国内未承認。院内調製または外部委託の未承認製剤。「同一成分の国内承認医薬品はない」と明記する施設あり
NAD+点滴(NMNではなくNAD+そのものの点滴)
同じく未承認。別の製剤
—「東京大学の無菌室で製造」「世界で唯一ヒトでの安全性が確認」といった案内は、上の10人の単群試験を指していると考えられます。効果の証明ではありません。
—院内調製の注射剤は、無菌性・発熱物質の管理が施設ごとに違います。調製元と無菌試験の有無を聞いてください。
—経口NMNのメタ解析で効果がなかった項目(血糖・脂質)を、点滴で「改善」とうたう案内があります。点滴で測った試験は1件・10人・対照なしです。

② 臨床試験で確かめられていること

「効かない」と示されたのは、経口NMNの血糖・脂質への効果です。点滴は「測られていない」段階です。

血中NAD+が上がることは、経口でも点滴でも示されています。問題は、NAD+が上がると何が良くなるのかが、人で示されていないことです。

動物実験では寿命や運動能力への効果が報告されていますが、動物実験です。人の若返りに置き換えることはできません。

経口サプリと点滴で、体内に入る量と経路は違います。ただし、どちらの経路でも「若返り」を測った人の試験はありません。

経口NMNの無作為化試験の統合(メタ解析)Effects of Nicotinamide Mononucleotide on Glucose and Lipid Metabolism in Adults: A Systematic Review and Meta-analysis of Randomised Controlled Trials. Curr Diab Rep. 2024;25(1):4
誰に
中高年の成人342人(8つの無作為化試験、大半は糖尿病でない)
何を
経口NMN 250〜2,000mg/日、14日〜12週
何と比べて
プラセボ
どうなった
空腹時血糖・インスリン・HbA1c・HOMA-IR・脂質のいずれにも有意な効果なし。「短期のNMN補充は血糖管理と脂質に有意な好影響を示さなかった」
糖尿病予備群の女性での経口NMN(米国)Yoshino M, et al. Nicotinamide mononucleotide increases muscle insulin sensitivity in prediabetic women. Science. 2021;372(6547):1224-1229
誰に
糖尿病予備群で過体重・肥満の閉経後女性(人数は抄録に記載なし)
何を
経口NMN 10週間
何と比べて
プラセボ(二重盲検)
どうなった
骨格筋のインスリン感受性(クランプ法)が上昇。「NMNは筋肉のインスリン感受性・シグナル・リモデリングを高める」。健康な人の若返りを測った試験ではない
点滴NMNのヒト試験(日本)Kimura S, et al. Nicotinamide Mononucleotide Is Safely Metabolized and Significantly Reduces Blood Triglyceride Levels in Healthy Individuals. Cureus. 2022;14(9):e28812
誰に
健康な10人
何を
NMNの静脈内投与
何と比べて
対照群なし(単群・非盲検)
どうなった
血中NAD+の有意な上昇、中性脂肪の有意な低下。心電図・バイタル・臓器機能の指標に変化なし。プラセボ比較なし、老化・見た目の指標なし
点滴NMNで若返り・老化指標を測った無作為化試験当サイトによるPubMed検索(2026-09-05)
誰に
NMN×静脈内投与×ヒト臨床試験で検索
何を
NMN点滴
何と比べて
プラセボ
どうなった
該当は上の10人の単群試験1件のみ。若返り・老化・皮膚・疲労を主要評価項目にした無作為化試験は0件。確認できませんでした

※ 別々の試験の数値を並べています。試験ごとに対象者・期間・条件が異なるため、本来、数値同士を直接比べることはできません。それを承知のうえで、目安として並べています。

③ まだ答えの出ていないこと

④ 副作用 ── 起こりやすい人・起こる時期・備え

添付文書と臨床試験の報告に基づきます。頻度や重さはあなたの条件で変わります。ここに無い症状が出たときも、処方元に連絡してください。

投与中〜直後当日繰り返し受けるとき血管痛・点滴部位の反応アレルギー反応・発熱(製剤の品質)長期の安全性が不明よくある重大(まれでも見逃さない)
図|副作用の起こる時期のめやす。下の各項目の「起こる時期」の記述を、当サイトが図にした定性的な整理です。幅には個人差があり、この図の外で起こることもあります。頻度の大小を示すものではありません。帯が少ないのは安全だからではなく、10人・1回の試験しかないからです。出典: 添付文書・臨床報告(詳細は下の各項目と出典欄)/加工: あり(時期の記述の図示)
血管痛・点滴部位の反応よくある
起こりやすい人
誰にでも。
起こる時期
投与中。
備え
点滴速度を落とすと軽くなることがあります。
アレルギー反応・発熱(製剤の品質)重大
起こりやすい人
院内調製・外部委託製剤の無菌性や発熱物質の管理が不明な場合。
起こる時期
投与中〜当日。
備え
未承認製剤のため製造基準が一定ではありません。調製元と無菌試験の有無を確認してください。
長期の安全性が不明重大
起こりやすい人
繰り返し受ける人、がんの既往のある人。
起こる時期
繰り返し受けるとき。
備え
人での長期データはありません。NAD+代謝と腫瘍の関係は研究途上です。がんの既往は申告を。

⑤ やめるとき

いつまで続けるのか

終わりの基準はありません。効果の試験がないため、続ける根拠も、やめる根拠も示されていません。

途中でやめられるか

いつでもやめられます。離脱症状はありません。

やめたらどうなるか

何が変わったかが測られていないため、やめて何が戻るかも分かりません。血中NAD+は投与をやめれば元の値に戻ると考えられます。

お金はどうなるか

回数券の未消化分の返金条件を確認してください。1回2.5〜8万円×回数の年額で考えてください。

⑥ 価格

A施設は100mg 35,000円・200mg 60,000円・300mg 75,000円(いずれも税別)。B施設は200mg 38,500円・400mg 66,000円(国内未承認と明記)。C施設は150mg 44,000円・300mg 77,000円(未承認・院内調剤と明記)。D施設は100mg 初回28,000円・5回券125,000円(1回25,000円)、200mg 5回券175,000円、300mg 5回券225,000円(未承認と明記)。同じ100mgで最安と最高は約1.5倍、300mgで約1.8倍。4施設の確認で、相場ではありません。

未承認製剤のため薬価はありません。表示価格がすべてです。経口NMNのサプリ(同じ成分)が食品として流通しており、点滴でしか得られない効果を人で示した試験がない以上、価格差の根拠は投与経路だけです。「5回券」「初回価格」は継続前提の設計です。観測日2026-09-05、施設名は扱いません。

⑦ 診察で聞くこと

そのまま読み上げられる形にしています。答えをはぐらかされた質問は、それ自体が判断の材料になります。

  1. 点滴のNMN製剤はどこで調製され、無菌試験・発熱物質試験をしていますか。
  2. 私が期待している効果(若返り・疲労・肌)を、点滴のNMNで測った試験はありますか。
  3. 100mgと300mgで効果が違うという根拠は何ですか。
  4. 1回の価格と、何回続ける想定で、総額はいくらですか。

関連する読みもの

出典

最終確認日 2026-09-05/内容をあらためたときは訂正の記録に残します。

  1. Effects of Nicotinamide Mononucleotide on Glucose and Lipid Metabolism in Adults: A Systematic Review and Meta-analysis of Randomised Controlled Trials. Curr Diab Rep. 2024;25(1):4(DOI 10.1007/s11892-024-01557-z)8つの無作為化試験・342人。血糖・インスリン・HbA1c・HOMA-IR・脂質に有意な効果なし。Europe PMCの抄録で確認
  2. Yoshino M, et al. Nicotinamide mononucleotide increases muscle insulin sensitivity in prediabetic women. Science. 2021;372(6547):1224-1229糖尿病予備群の閉経後女性、10週、二重盲検。筋肉のインスリン感受性が上昇。人数・用量は抄録に記載なし。PubMed抄録で確認
  3. Kimura S, et al. Nicotinamide Mononucleotide Is Safely Metabolized and Significantly Reduces Blood Triglyceride Levels in Healthy Individuals. Cureus. 2022;14(9):e28812健康な10人、静脈内投与、単群・非盲検。NAD+上昇・中性脂肪低下・安全性。用量は抄録に記載なし。PubMed抄録で確認
  4. Song Q, et al. The Safety and Antiaging Effects of Nicotinamide Mononucleotide in Human Clinical Trials: an Update. Adv Nutr. 2023;14(6):1416-1435ヒト試験の総説。抄録は安全性と生理作用への懸念に触れるにとどまり、本文は未確認
  5. 厚生労働省 食薬区分の改正(令和2年3月31日通知)によるNMNの非医薬品リスト収載「医薬品的効能効果を標榜しない限り医薬品と判断しない成分本質(原材料)」リストにNMNを追加。健康産業新聞等の報道で確認した二次資料。点滴用製剤の承認とは無関係
  6. 複数のクリニック公開ページ(2026-09-05確認、4施設)100mg 35,000円(税別)・初回28,000円、150mg 44,000円、200mg 60,000円(税別)・38,500円、300mg 75,000円(税別)・77,000円・5回券45,000円/回、400mg 66,000円。3施設が国内未承認を明記、1施設は「東京大学の無菌室で製造」「世界で唯一安全性が確認」と案内。施設名は扱いません