自由診療の料金・リスク・根拠を、受ける前に。医院レポート5院 · 資料確認 2026-09-21
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ボトックス(ボツリヌストキシン注射)

別の言い方: ボトックス/しわ取り注射/エラボトックス/肩ボトックス

眉間と目尻のしわは、承認された使い方です。一方で、エラ・肩・ふくらはぎへの美容目的の注射は、承認の外になります。

結論 ── うたわれている効果は
しわへの効果は、あります(部位によります)

眉間と目尻のしわには、承認の根拠となった試験があります。エラ・肩は承認の外で、根拠も薄くなります。

1眉間のしわでは、注射30日後に医師評価で80%が「なし又は軽度」(プラセボ3%)、本人評価で89%が中等度以上の改善でした(米国添付文書、海外2試験の併合、実薬405人・プラセボ132人)。国内の承認試験でも4週後の改善率は86〜89%(プラセボ0%)です。
2効果は永続しません。120日後には医師評価で25%まで下がり、国内試験の平均効果持続は13.3〜15.6週。添付文書は「通常3〜4ヵ月で消失」と書いています。維持には年3〜4回の再注射が必要です。
3眉間・目尻は美容目的で承認された使い方。エラ(小顔)・肩・ふくらはぎは承認の外で、質の高い試験も限られます。同じ薬でも部位で根拠の厚みが違います。
エビデンスの水準
★★★
無作為化比較試験・メタ解析あり
承認の状況
一部は承認された使い方
価格の幅
1部位 8,000〜25,000円
1部位あたりの表示価格

① 国内で承認されている使い方

部位と目的によって、承認の内と外が分かれます。同じ薬でも扱いが変わります。

対象
国内での承認
眉間の表情皺・目尻の表情皺
美容目的で承認された製剤があります
眼瞼痙攣・片側顔面痙攣・痙性斜頸
治療として承認
重度の原発性腋窩多汗症
治療として承認
エラ(咬筋)・肩(僧帽筋)・ふくらはぎ
美容目的では承認の外
—「小顔にしたい」「肩のラインを整えたい」という目的での注射は、承認された効能・効果の外です。
—承認の外だからといって違法ではありませんが、審査でその使い方が確かめられたわけではありません。
—添付文書は「眉間の表情皺及び目尻の表情皺以外の適応に対して本剤を絶対に使用しないこと」と書いています。承認の外の部位や未承認製剤で健康被害が出ても、医薬品副作用被害救済制度の対象になりません。

② 臨床試験で確かめられていること

眉間と目尻の表情皺については、承認の根拠となった無作為化比較試験があります。

効果は永続せず、数か月で消退します。維持するには繰り返しの注射が必要になります。

エラや肩への注射については、美容目的での効果を確かめた質の高い試験は限られています。

承認申請試験(眉間のしわ)PMC2861845のレビュー経由 ※原著は未確認
誰に
中等度〜重度の眉間のしわがある成人 537人(実薬405/プラセボ132)
何を
ボトックス(成分名オナボツリヌストキシンA)20単位 を眉間に1回注射
何と比べて
プラセボ注射
どうなった
注射30日後にしわが「なし又は軽度」:医師の評価で80%/本人の評価で89%。120日後は医師評価25%まで低下(元に戻るまでの中央値 約18〜24週)

この数値はレビュー論文経由で、原著論文は未確認です。確認でき次第、更新して訂正の記録に残します。

※ 別々の試験の数値を並べています。試験ごとに対象者・期間・条件が異なるため、本来、数値同士を直接比べることはできません。それを承知のうえで、目安として並べています。

30日後・医師評価80%30日後・本人の評価89%120日後・医師評価25%
図|効果は時間とともに切れていく。30日後に8割の人で効果が確認されましたが、120日後には25%まで下がります。打ち続けることが前提の施術だと分かって選ぶための数字です。医師評価と本人の評価は別の物差しなので、色を分けています。出典: 承認申請試験(n=537)・レビュー論文経由で原著は未確認/加工: 論文の数値の図示

③ まだ答えの出ていないこと

④ 副作用 ── 起こりやすい人・起こる時期・備え

添付文書と臨床試験の報告に基づきます。頻度や重さはあなたの条件で変わります。ここに無い症状が出たときも、処方元に連絡してください。

注射直後数日数週間数か月内出血・腫れ頭痛・だるさまぶた・眉が下がる表情の不自然さ・左右差よくある重大(まれでも見逃さない)
図|副作用の起こる時期のめやす。下の各項目の「起こる時期」の記述を、当サイトが図にした定性的な整理です。幅には個人差があり、この図の外で起こることもあります。頻度の大小を示すものではありません。妊娠中・授乳中の禁忌は時期の図にできないため、下の項目をご覧ください。出典: 添付文書・臨床報告(詳細は下の各項目と出典欄)/加工: あり(時期の記述の図示)
まぶた・眉が下がる(眼瞼下垂)重大
起こりやすい人
眉間や額に注射した人。薬剤が意図しない筋肉に広がった場合に起きます。国内試験では3.1〜10.4%、米国試験では3%。
起こる時期
注射の数日後から現れ、数週間〜数か月で自然に回復することがほとんどです(国内試験では1日〜124日間)。
備え
効果が切れるまで待つしかありません(点眼薬で部分的に持ち上げる方法はあります)。運転や仕事への影響を考えて時期を選んでください。
表情の不自然さ・左右差よくある
起こりやすい人
誰にでも起こりえます。注射量と位置の精度に依存します。
起こる時期
効果が出る数日後から、効果が続く数か月間。
備え
「笑ったときだけ不自然」という形で出ることがあります。
内出血・腫れよくある
起こりやすい人
誰にでも。血液をサラサラにする薬を飲んでいる人は出やすくなります。
起こる時期
注射直後〜数日。
備え
併用薬は必ず申告を。
頭痛・だるさよくある
起こりやすい人
誰にでも起こりえます。
起こる時期
注射後数日以内。
備え
国内の二重盲検試験では頭痛はプラセボ群8.2%、実薬群6.5%(10単位)・2.3%(20単位)で、審査報告書は「プラセボ群でも本剤群を上回る頻度」と記載しています。注射後の頭痛は薬のせいとは限りません。多くは一過性です。
妊娠中・授乳中の使用重大
起こりやすい人
妊娠中・授乳中の人、妊娠の可能性がある人。
起こる時期
投与しないこととされています。
備え
予定がある場合は必ず伝えてください。

⑤ やめるとき

いつまで続けるのか

維持するなら数か月ごとの再注射が前提です。120日後には医師評価の改善が25%まで下がります。

途中でやめられるか

いつでもやめられます。次を打たなければ、それで終わりです。

やめたらどうなるか

数か月かけて効果が消え、元の表情に戻ります。繰り返した後にやめた場合の長期変化は、よく調べられていません。

お金はどうなるか

都度払いです。維持する場合は「1回の値段」ではなく年3〜4回×単価の年額で考えてください。

⑥ 価格

確認した範囲で約3.1倍。製剤の種類(承認品か否か)と単位数が施設ごとに違うため、同じ量の差ではありません。

横断の表示価格(当サイト台帳・観測日 2026-09-19) ボトックスビスタ(国内承認製剤)眉間1回・通常価格(税込)。個票は公開せず、集計だけを載せています。
観測件数
24件
最安〜最高
7,700円〜55,000円
倍率(最高÷最安)
7.1倍
中央値
16,500円
四分位範囲
11,500円〜21,835円
その施設で最も安い製剤 眉間1回(製剤・単位数は施設で異なる)(31件)
3,020円〜55,000円
5,000〜1万円5
1万〜1.5万円4
1.5万〜2万円7
2万〜2.5万円3
2.5万〜3万円0
3万〜3.5万円2
3.5万〜4万円0
4万〜4.5万円2
4.5万〜5万円0
5万〜5.5万円0
5.5万〜6万円1

5,000円刻みの度数。検索から集めた便宜標本で、全国の割合には一般化できません。同じ単位に換算できないページは台帳から除いています。詳しい方法と5治療の横断は横断価格レポートに。

地域差について

現在の台帳は、クリニックの所在地を記録していないため、地域差はまだ判定できません。所在地・診察形態を記録する再観測(台帳v0.3)で公開する予定です。データが無いことを、あるかのようには書きません。

クリニックごとの比較は

医院別レポートで公開料金と条件を確認できます。医療脱毛は、4院の料金条件を見比べられます。会員登録は不要です。掲載対象は確認した医院・プランに限られ、地域全体の相場を示すものではありません。

美容用の製剤は保険収載されておらず、薬価にあたる公定価格はありません。「どの製剤を何単位」まで確かめないと価格は比較できません。維持には年数回の再注射が必要になるため、年額で考えてください。

⑦ 診察で聞くこと

そのまま読み上げられる形にしています。答えをはぐらかされた質問は、それ自体が判断の材料になります。

  1. 使用する製剤の名前と、注射する部位・目的を教えてください。それは承認された使い方の内ですか、外ですか。
  2. 効果はどのくらい持続しますか。次はいつ必要になりますか。
  3. まぶたが下がるなどの症状が出た場合、どう対応しますか。
  4. 維持する場合、1年間の総額はいくらになりますか。

関連する読みもの

note で読む

この治療について、悩みの側から追った連載記事があります。ボトックスはいつまで効くのか——120日後に効果が残るのは4人に1人(note.com/外部サイト)

出典

最終確認日 2026-09-05/内容をあらためたときは訂正の記録に残します。

  1. 米FDA. BOTOX Cosmetic (onabotulinumtoxinA) Prescribing Information. Revised 10/2024(Table 8・9)眉間の海外2試験の併合(実薬405/プラセボ132)。30日後に「なし又は軽度」80%(プラセボ3%)、120日後25%(プラセボ2%)、患者評価89%、眼瞼下垂3%。米国の承認申請データで、国内試験ではありません。原文を確認(2026-09-05)
  2. PMDA 審査報告書「ボトックスビスタ注用50単位」2008年11月12日/同(目尻の表情皺)2016年4月1日/ボトックスビスタ注用50単位 添付文書(2025年3月改訂 第3版)国内907・908・909試験。4週後改善率86.4%/88.6%(プラセボ0%)、頭痛はプラセボ群8.2%・実薬6.5%/2.3%、眼瞼下垂10.4%(907・20単位単回)・3.1〜6.3%(3試験併合)、持続1〜124日、平均効果持続13.3±6.4週(10単位)・15.6±7.0週(20単位)、「効果は通常3〜4ヵ月で消失」、眉間・目尻以外は「絶対に使用しないこと」。原文を確認(2026-09-05)
  3. PMDA 医療用医薬品情報(添付文書)承認された効能・効果、用法・用量、禁忌
  4. 当サイト調査(観測日 2026-08-18)公開ページに掲載されていた価格の幅