自由診療の料金・リスク・根拠を、受ける前に。医院レポート5院 · 資料確認 2026-09-21
自由診療チェック効果の根拠・リスク・費用を確かめる 診察前の質問メモ
治療をさがす›顔・肌
顔・肌

ケミカルピーリング(サリチル酸マクロゴール・グリコール酸)

別の言い方: ケミカルピーリング/サリチル酸マクロゴール/グリコール酸ピーリング/ピーリング ニキビ/ピーリング シミ/ピーリング 毛穴/TCAピーリング/ピーリング 皮膚科/ピーリング 効果 回数

ピーリングは「効くか」より「何に効くか」が分かれる施術です。学会の表を見れば、ニキビと小さなシミには根拠が、肝斑と毛穴には根拠が薄いことが一目で分かります。

結論 ── うたわれている効果は
ニキビと小さなシミ・小じわには根拠があります。ただし確実性は低く、肝斑・毛穴・大きなシミは「弱い」根拠です

酸で角質から表皮の浅い層をはがし、新しい皮膚に入れ替える施術です。日本皮膚科学会のガイドラインは、ニキビ・小斑型の日光黒子(シミ)・小じわに対するグリコール酸とサリチル酸マクロゴールを「推奨度C1(行うことを考慮してもよい)」とし、肝斑・雀卵斑・炎症後色素沈着・陥凹性瘢痕は「C2(十分な根拠がない)」としています。179試験の統合解析(2022年)では、軽症〜中等症ニキビへのピーリングは皮疹を約40%減らしましたが、信頼区間は13〜67%と幅が広く「不確実性が高い」評価でした。厚生労働省は2001年に「医行為」と通知しており、エステでは受けられません。顔1回4,320〜8,800円です。

1日本皮膚科学会ケミカルピーリングガイドライン(改訂第3版)の疾患別推奨度: ニキビ(非炎症性・炎症性)はグリコール酸C1・サリチル酸マクロゴールC1、小斑型日光黒子はグリコール酸C1・サリチル酸マクロゴールC1、小じわはグリコール酸C1・サリチル酸マクロゴールC1。肝斑・雀卵斑・炎症後色素沈着・大斑型日光黒子・陥凹性瘢痕はC2。「本邦にはエビデンスレベルが高い論文がなく、欧米の報告を参考文献とした推奨度には#を銘記した」。
2ニキビ治療のネットワークメタ解析(2022年、179試験・約35,000観測)で、化学的ピーリング(サリチル酸・マンデル酸)は軽症〜中等症で皮疹数を39.70%(95%信用区間12.54〜66.78)減らしました。著者は「不確実性が高い」とし、含まれた試験の質は「中等度〜非常に低い」でした。
3Cochraneレビュー(2020年、49試験・3,880人)は、フルーツ酸(AHA)を含む外用剤のニキビへの効果を「低〜非常に低い確実性」と評価しました。グリコール酸とサリチル酸・マンデル酸の比較は1試験40人(RR 1.06)しかありません。
4厚生労働省通知(2001年11月8日、医政医発第105号)は「酸等の化学薬品を皮膚に塗布して、しわ、しみ等に対して表皮剥離を行う行為」を医師法上の医行為とし、医師免許のない者が行えば医師法違反としました。
エビデンスの水準
★★★
学会ガイドラインあり・Cochraneレビューあり(確実性は低い)・医行為
承認の状況
医行為(自由診療・薬剤は医薬品としての承認なし)
価格の幅
顔1回 4,320〜8,800円(初回5,500〜6,600円)、5回コース 39,600〜47,300円(3施設)
顔全体1回の表示価格(税込・薬剤による)

① 国内で承認されている使い方

ケミカルピーリングは医師(または医師の指示下)が行う医行為で、保険は適用されません。使う薬剤(グリコール酸、サリチル酸マクロゴール、トリクロロ酢酸など)は医薬品として承認された製品ではなく、医療機関が調製・購入した薬剤を医師の責任で使います。日本皮膚科学会はガイドラインで剥離の深さを4段階に分け、薬剤と濃度を対応づけています。

対象
国内での承認
グリコール酸20〜35%/サリチル酸20〜35%(エタノール基剤・マクロゴール基剤)/TCA10〜20%
最浅層〜浅層(レベル1・2)。日本で一般的な「顔のピーリング」はここ。医行為・自由診療
グリコール酸50〜70%/TCA35〜50%
浅層〜中間層(レベル1〜3)。ダウンタイムと色素沈着のリスクが上がる
ベーカーゴードン液/フェノール88%以上
深層(レベル3・4)。日本ではまれ。全身への影響(心毒性)があり入院管理
エステ・セルフの「ピーリング」
医行為ではない範囲(化粧品の角質ケア)。酸で表皮剥離を行えば医師法違反(2001年通知)
—薬剤は医薬品としての承認がなく、濃度・pH・基剤で作用が大きく変わります。同じ「サリチル酸30%」でもエタノール基剤とマクロゴール基剤は別物です(ガイドラインが注意喚起)。
—ガイドラインは、妊娠・授乳中、免疫抑制状態、活動性のヘルペス・皮膚感染、日焼け直後、イソトレチノイン内服中などを「適応に注意を要する」としています。
—「ニキビ跡のクレーター(陥凹性瘢痕)」への効果はC2(十分な根拠がない)です。効果をうたう施設には、どの試験を根拠にしているか聞いてください。

② 臨床試験で確かめられていること

ニキビ: 皮疹の数を減らす効果は複数の試験で示されていますが、確実性は低く、どの酸が良いかの比較はほとんどありません。外用薬(過酸化ベンゾイル、アダパレン)は保険で使えるので、まずそちらが先です。

シミ: 小さくて薄い日光黒子(小斑型)には根拠がありますが、大きな日光黒子はレーザー・IPLのほうが一般的で、ピーリングはC2です。TCAピーリングの成功率は12〜46%(41試験のレビュー)とばらつきます。

肝斑: 24研究・1,075人のレビューでは「安全で有効」とされましたが統合解析はできず、日本のガイドラインではC2です。刺激で悪化することもあります。

小じわ・キメ: 浅層ピーリングは表皮の入れ替えでキメを整えます。深いしわには届きません。

日本皮膚科学会のガイドライン(疾患別推奨度)日本皮膚科学会ケミカルピーリングガイドライン(改訂第3版)日皮会誌 2008;118(3):347-355
誰に
ニキビ・日光黒子・肝斑・雀卵斑・炎症後色素沈着・小じわ・陥凹性瘢痕の患者(国内外の文献を委員会が評価)
何を
グリコール酸/サリチル酸(マクロゴール基剤・エタノール基剤)/乳酸/トリクロロ酢酸のピーリング
何と比べて
文献レベル(I〜VI)に基づく推奨度A〜D
どうなった
C1(行うことを考慮してもよい): ニキビ(グリコール酸・サリチル酸マクロゴール)、小斑型日光黒子(同)、小じわ(同)。C2(十分な根拠がない): 肝斑、雀卵斑、炎症後色素沈着、大斑型日光黒子、陥凹性瘢痕。国内に高レベルの論文なし(#は欧米文献を参考)
ニキビ治療のネットワークメタ解析Mavranezouli I, et al. A systematic review and network meta-analysis of topical pharmacological, oral pharmacological, physical and combined treatments for acne vulgaris. Br J Dermatol. 2022;187(5):639-649
誰に
ニキビの患者(179の無作為化試験、約35,000観測、49の治療クラス)
何を
化学的ピーリング(サリチル酸またはマンデル酸)
何と比べて
プラセボ・他のニキビ治療
どうなった
軽症〜中等症: 皮疹数の減少 39.70%(95%信用区間12.54〜66.78)。「不確実性が高い」。試験の質は中等度〜非常に低い
外用酸(AHAなど)のニキビへの効果(Cochraneレビュー)Liu H, et al. Topical azelaic acid, salicylic acid, nicotinamide, sulphur, zinc and fruit acid (alpha-hydroxy acid) for acne. Cochrane Database Syst Rev. 2020;5:CD011368
誰に
ニキビの患者3,880人(49試験)
何を
グリコール酸・サリチル酸・マンデル酸など
何と比べて
プラセボ・他剤・相互比較
どうなった
グリコール酸 vs サリチル酸・マンデル酸: 患者の全般評価 RR 1.06(95%CI 0.88〜1.26、1試験40人)。多くの比較は「低〜非常に低い確実性」
サリチル酸マクロゴールの国内報告Dainichi T, et al. Chemical peeling with salicylic acid in polyethylene glycol vehicle. Dermatol Surg. 2008;34(7):891-899
誰に
健康志願者44人+ニキビ患者436人(九州大学)
何を
30%サリチル酸マクロゴール(ポリエチレングリコール基剤)ピーリング
何と比べて
対照群なし
どうなった
「面皰と丘疹が消失し良好な結果」。刺激・灼熱感・浮腫・出血・痂皮が「目立って少ない」。改善率の数値は抄録に記載なし
肝斑・日光黒子への効果(レビュー)Sarkar R, Lakhani S. Dermatol Surg. 2024;50(7):656-661/Mardani M, et al. J Cosmet Dermatol. 2025;24(4):e70133
誰に
肝斑24研究・1,075人/日光黒子41試験・3,234人
何を
グリコール酸ほか各種ピーリング/TCAピーリングほか
何と比べて
各研究の対照
どうなった
肝斑: 「安全で有効」だが異質性のため統合できず(グリコール酸が最も安全で有効と評価)。日光黒子: TCAの成功率12〜46%、多くの有害事象は軽度・一過性。PubMed抄録で確認

この数値はレビュー論文を通じて確認したものです。原著論文そのものの確認は済んでいません。

※ 別々の試験の数値を並べています。試験ごとに対象者・期間・条件が異なるため、本来、数値同士を直接比べることはできません。それを承知のうえで、目安として並べています。

③ まだ答えの出ていないこと

④ 副作用 ── 起こりやすい人・起こる時期・備え

添付文書と臨床試験の報告に基づきます。頻度や重さはあなたの条件で変わります。ここに無い症状が出たときも、処方元に連絡してください。

施術中〜直後数日数週間数か月ヒリつき・赤み・乾燥・皮むけヘルペスの再燃・感染深い剥離・瘢痕炎症後色素沈着(PIH)効果不足よくある重大(まれでも見逃さない)
図|副作用の起こる時期のめやす。下の各項目の「起こる時期」の記述を、当サイトが図にした定性的な整理です。幅には個人差があり、この図の外で起こることもあります。頻度の大小を示すものではありません。浅層ピーリングは軽い刺激が主で、重大な帯は濃度・手技のミスで起こります。出典: 添付文書・臨床報告(詳細は下の各項目と出典欄)/加工: あり(時期の記述の図示)
ヒリつき・赤み・乾燥・皮むけよくある
起こりやすい人
誰にでも。濃度が高いほど、グリコール酸はサリチル酸マクロゴールより刺激が強い。
起こる時期
施術中〜数日。
備え
数日で落ち着きます。保湿と遮光を。1週間以上続く赤みは受診。
炎症後色素沈着(PIH)よくある
起こりやすい人
日本人を含む色素の濃い肌質、日焼け直後、施術後に日焼けした人。
起こる時期
数週間〜数か月。
備え
施術後の遮光が最大の予防です。肝斑がある人は悪化することがあります。
ヘルペスの再燃・感染よくある
起こりやすい人
口唇ヘルペスの既往がある人。
起こる時期
数日〜1週間。
備え
既往を申告すれば予防内服の相談ができます。
深い剥離・瘢痕重大
起こりやすい人
濃度や塗布時間の誤り、TCAや高濃度グリコール酸。
起こる時期
施術中〜数週間。
備え
白くなる(フロスト)、水ぶくれ、痂皮は深く入ったサイン。写真を撮って施設に連絡。
効果不足よくある
起こりやすい人
肝斑、毛穴、大きなシミ、クレーターを目的にした人(推奨度C2)。
起こる時期
3〜5回後。
備え
回数を重ねる前に「何に効かせるつもりか」を確認してください。

⑤ やめるとき

いつまで続けるのか

ニキビは2〜4週ごとに3〜6回、シミ・小じわは月1回で数回が一般的ですが、ガイドラインに回数の規定はありません。効果は表皮の入れ替わりとともに薄れるため、維持には継続が前提です。

途中でやめられるか

いつでもやめられます。医学的な離脱はありません。回数コースは特定商取引法の特定継続的役務(にきび・しみ・しわ等の除去で1か月超・5万円超の契約)に当たれば中途解約できます。

やめたらどうなるか

皮膚は元の状態に戻ります。改善したニキビは再発しえます。

お金はどうなるか

1回ごとの支払いが基本です。コース契約の残回数の精算方法(解約料の上限は法定)を契約前に確認してください。

⑥ 価格

A施設はサリチル酸マクロゴール全顔4,320円、顔+首10,370円(初回8,500円)。B施設はグリコール酸・サリチル酸マクロゴール初回5,500円・通常8,800円、他の薬剤で8,250〜9,790円、5回39,600〜47,300円。C施設は6,000〜8,000円(症例で1回6,600円、3回18,700円)で、導入(イオン導入・エレクトロポレーション)を3,500〜5,500円で追加する形です。最安と最高で約2倍。3施設の確認で、相場ではありません。

薬剤に公定価格はなく、表示価格がすべてです。月1回×数回が前提なので、1回価格より「何回で何を目指すか」の合計で考えてください。導入・パックなどの追加メニューで1回の支払いが倍になる施設があります。観測日2026-09-05、施設名は扱いません。

⑦ 診察で聞くこと

そのまま読み上げられる形にしています。答えをはぐらかされた質問は、それ自体が判断の材料になります。

  1. 私の悩み(ニキビ・シミ・肝斑・毛穴)は、日本皮膚科学会のガイドラインでC1(根拠あり)とC2(根拠が十分でない)のどちらですか。
  2. 使う薬剤の名前・濃度・基剤は何ですか(サリチル酸はマクロゴールかエタノールか)。
  3. 施術は医師ですか、医師の指示下の看護師ですか。ニキビなら、保険の外用薬を先に使わない理由は。
  4. 何回を目安にし、効果がなければ何回でやめますか。1回の価格と、コース契約の解約条件は。

関連する読みもの

出典

最終確認日 2026-09-05/内容をあらためたときは訂正の記録に残します。

  1. 日本皮膚科学会ケミカルピーリングガイドライン(改訂第3版)日皮会誌 2008;118(3):347-355(委員長 古川福実)表2 剥離深度の4分類、表3 剥離深度と薬剤・濃度、表4 EBMに基づく疾患別推奨度(ニキビ・小斑型日光黒子・小じわはC1、肝斑・雀卵斑・炎症後色素沈着・大斑型・陥凹性瘢痕はC2、#は欧米文献参考)、適応に注意を要する人。日本皮膚科学会サイトのPDF原文を確認(本文の一部は文字化けで表のみ判読)
  2. 厚生労働省医政局医事課長通知「医師免許を有しない者による脱毛行為等の取扱いについて」平成13年11月8日 医政医発第105号「酸等の化学薬品を皮膚に塗布して、しわ、しみ等に対して表皮剥離を行う行為」は医師法第17条の医行為。厚労省法令等データベースの原文を確認
  3. Mavranezouli I, et al. Br J Dermatol. 2022;187(5):639-649179試験のネットワークメタ解析。化学的ピーリングは軽症〜中等症ニキビで皮疹39.70%減(12.54〜66.78)、不確実性が高い。PubMed抄録で確認
  4. Liu H, et al. Cochrane Database Syst Rev. 2020;5:CD01136849試験・3,880人。グリコール酸 vs サリチル酸・マンデル酸 RR 1.06(1試験40人)、確実性は低〜非常に低い。PubMed抄録で確認
  5. Dainichi T, et al. Dermatol Surg. 2008;34(7):891-89930%サリチル酸マクロゴール。志願者44人+ニキビ436人。刺激・痂皮が少ない。改善率の数値なし。PubMed抄録で確認
  6. Sarkar R, Lakhani S. Dermatol Surg. 2024;50(7):656-661/Mardani M, et al. J Cosmet Dermatol. 2025;24(4):e70133肝斑24研究(統合不能)、日光黒子41試験(TCA成功率12〜46%)。PubMed抄録で確認したため二次資料扱い
  7. 複数の皮膚科公開ページ(2026-09-05確認、3施設)全顔4,320円、初回5,500円・通常8,800円・5回39,600〜47,300円、6,000〜8,000円+導入3,500〜5,500円。施設名は扱いません