自由診療の料金・リスク・根拠を、受ける前に。医院レポート5院 · 資料確認 2026-09-21
自由診療チェック効果の根拠・リスク・費用を確かめる 診察前の質問メモ
治療をさがす›顔・肌
顔・肌

トラネキサム酸内服(肝斑)

別の言い方: トラネキサム酸/トランサミン/肝斑 内服/肝斑 薬/美白内服/トランシーノ/トラネキサム酸 効果 期間/トラネキサム酸 血栓/トラネキサム酸 やめると/シナール ユベラ セット

肝斑に「効く飲み薬」があるのは本当です。論点は、効くかではなく、いつまで飲むか、やめたらどうなるか、そして血栓のリスクを誰が見るかです。

結論 ── うたわれている効果は
肝斑には効きます。3か月で薄くなり、やめると戻り始めます。血栓のある人・できやすい人は飲めません

トラネキサム酸(トランサミン)は止血や湿疹の薬として承認された飲み薬で、肝斑への処方は適応外の自由診療です。プラセボと比べた二重盲検試験(44人)では、1日500mgを3か月飲んで肝斑の重症度スコアが49%下がり(プラセボ18%)、やめて3か月後には26%(プラセボ19%)まで戻りました。22研究1,280人のメタ解析でも効果は一貫し、内服が注射・外用より効きました。同じ成分を1日750mg含む市販薬(トランシーノ)は「しみ(肝斑に限る)」の効能で承認された第1類医薬品で、8週間を上限に飲みます。薬価は1錠10.8円で、クリニックの1か月分は1,200〜3,000円です。

1Del Rosario 2018(44人、二重盲検・プラセボ対照): トラネキサム酸250mgを1日2回3か月+日焼け止め。3か月後のmMASI(肝斑の重症度)の低下は49% vs プラセボ18%。服用をやめて3か月後は26% vs 19%で、差が縮みました。重篤な有害事象なし。
2Calacattawi 2024(22研究・1,280人のメタ解析): MASI・mMASI・メラニン指数がいずれも有意に低下。効果の順は内服>注射>外用。有害事象は消化器症状・皮膚刺激・月経不順。確実性は「中」、研究間のばらつきは大。
3添付文書(トランサミン): 効能は出血傾向、湿疹・蕁麻疹・薬疹の紅斑・腫脹・そう痒、扁桃炎・咽喉頭炎、口内炎で、肝斑は含まれません。「血栓のある患者(脳血栓、心筋梗塞、血栓性静脈炎等)及び血栓症があらわれるおそれのある患者」は「血栓を安定化するおそれがある」として注意対象、トロンビン投与中は禁忌です。
4市販薬トランシーノEX(第1類医薬品): 効能「しみ(肝斑に限る)」、1日量4錠中トラネキサム酸750mg、15歳以上、2か月を超えて続けて服用しない。メーカーの臨床試験では8週間で約85%に効果とされます(原著は当サイト未確認)。
エビデンスの水準
★★★
無作為化試験・メタ解析あり・医療用は適応外(肝斑)・市販薬は肝斑の効能で承認
承認の状況
適応外処方(自由診療)/市販薬は第1類医薬品
価格の幅
トラネキサム酸単独 30日分 1,200〜3,000円/ビタミンとのセット 3,000〜7,000円(3施設)
30日分の表示価格(税込・薬剤のみ)

① 国内で承認されている使い方

医療用のトランサミン(トラネキサム酸)は、肝斑を効能に含まない承認薬で、肝斑目的の処方は適応外・自由診療です。薬価があるため、表示価格との差を見られます。同成分の市販薬トランシーノ(第一三共ヘルスケア)は「しみ(肝斑に限る)」で承認された第1類医薬品で、薬剤師の対面販売です。クリニックの「美白内服セット」はトラネキサム酸にビタミンC・Eを組み合わせたもので、ビタミンの上乗せ効果は当サイト未確認です。

対象
国内での承認
トランサミン錠250mg/カプセル250mg/錠500mg(第一三共)と後発品
承認薬。効能は出血傾向・湿疹等・扁桃炎・口内炎。肝斑は適応外。薬価10.8〜10.9円/錠
トランシーノEX/トランシーノII(第1類医薬品)
効能「しみ(肝斑に限る)」。1日750mg、15歳以上、2か月まで。薬剤師の対面販売
トラネキサム酸外用(クリーム・導入)
医薬品としての承認なし。内服より効果が小さい(メタ解析)
トラネキサム酸の皮内注射・マイクロニードル
国内承認なし。海外の試験あり
—適応外処方なので、副作用被害救済制度の対象外になりえます。血栓症の既往、経口避妊薬(ピル)併用、喫煙、長時間の安静(術後・長距離移動)は、施設によって処方を断る条件です。
—市販薬は「2か月を超えて続けて服用しない」設計ですが、クリニックでは数か月〜年単位の処方が行われています。長期の安全性データは限られます。
—「美白」「くすみ」「そばかす」への効果は肝斑の試験からは言えません。肝斑かどうかの診断が先です。

② 臨床試験で確かめられていること

効果は約半分の薄まり(mMASI −49%)で、消えるわけではありません。プラセボでも18%下がるのは、日焼け止めを併用しているためです。

やめると戻り始めます。3か月後にはプラセボとの差がほぼ消えました。「続けるか、やめて再燃を受け入れるか」を最初に決める薬です。

用量は1日500〜750mgが標準で、ネットワークメタ解析では250mg×3回×12週が最適とされました。増やしても効果が比例して上がる根拠はありません。

ビタミンC・Eとの「セット」の上乗せ効果を検証した試験を当サイトは確認していません。セット価格は薬の価格ではなくメニューの価格です。

プラセボ対照の二重盲検試験Del Rosario E, et al. Randomized, placebo-controlled, double-blind study of oral tranexamic acid in the treatment of moderate-to-severe melasma. J Am Acad Dermatol. 2018;78(2):363-369
誰に
中等症〜重症の肝斑の女性44人(39人が完了)
何を
トラネキサム酸250mgを1日2回3か月+日焼け止め、その後3か月は日焼け止めのみ
何と比べて
プラセボ+日焼け止め
どうなった
3か月後のmMASI低下: 49% vs 18%。服用終了3か月後: 26% vs 19%。重篤な有害事象なし
投与経路を含むメタ解析Calacattawi R, et al. J Dermatolog Treat. 2024;35(1):2361106
誰に
肝斑の患者1,280人(22研究、8週〜約2年)
何を
トラネキサム酸の内服・注射・外用
何と比べて
プラセボ・他治療
どうなった
MASI・mMASI・メラニン指数が有意に低下。効果は内服>注射>外用。有害事象は消化器症状・皮膚刺激・月経不順。確実性は中(研究間のばらつき大)
用量の比較(ネットワークメタ解析)Wang Y, et al. Indian J Dermatol Venereol Leprol. 2023;89(2):189-194/Liu Y, et al. Front Med (Lausanne). 2021;8:713554
誰に
肝斑の患者599人(6つの無作為化試験)/59試験のネットワーク
何を
トラネキサム酸内服の各用量
何と比べて
用量どうし・他治療
どうなった
250mg×3回/日×12週が最適と評価(次点は250mg×2回)。内服の副作用発現は17.6%(Liu 2021)。原著はPubMed抄録で確認

この数値はレビュー論文を通じて確認したものです。原著論文そのものの確認は済んでいません。

内服 vs 外用(無作為化)Heidary F, et al. J Cosmet Dermatol. 2025;24(9):e70428
誰に
肝斑の患者50人(各25人)
何を
トラネキサム酸250mg 1日2回内服、12週
何と比べて
トラネキサム酸5%クリーム 1日2回
どうなった
MASI低下: 内服58.86% vs 外用50.88%(群間差は有意でない)。外用で過敏による中止1人
市販薬(トランシーノ)の承認第一三共ヘルスケア トランシーノEX 製品情報・8週間プログラム
誰に
15歳以上の肝斑のある人
何を
トラネキサム酸750mg/日(4錠中)+L-システイン240mg+ビタミンC300mg、1日2回食後、8週間
何と比べて
—(承認時試験の対照は当サイト未確認)
どうなった
効能「しみ(肝斑に限る)」。「2カ月を超えて続けて服用しないでください」。「8週間で十分な(約85%の方に)効果が認められました」(メーカー表記。原著未確認)

この数値はレビュー論文を通じて確認したものです。原著論文そのものの確認は済んでいません。

※ 別々の試験の数値を並べています。試験ごとに対象者・期間・条件が異なるため、本来、数値同士を直接比べることはできません。それを承知のうえで、目安として並べています。

③ まだ答えの出ていないこと

④ 副作用 ── 起こりやすい人・起こる時期・備え

添付文書と臨床試験の報告に基づきます。頻度や重さはあなたの条件で変わります。ここに無い症状が出たときも、処方元に連絡してください。

服用開始〜数週間数か月(継続中)やめたとき胃の不快感・食欲不振・悪心・下痢眠気・かゆみ・発疹月経の変化(経血量の減少・不順)静脈血栓症・肺塞栓症(懸念)やめたときの再燃よくある重大(まれでも見逃さない)
図|副作用の起こる時期のめやす。下の各項目の「起こる時期」の記述を、当サイトが図にした定性的な整理です。幅には個人差があり、この図の外で起こることもあります。頻度の大小を示すものではありません。血栓の帯は「頻度が高い」のではなく「服用中ずっとリスクがある」ことを表します。出典: 添付文書・臨床報告(詳細は下の各項目と出典欄)/加工: あり(時期の記述の図示)
胃の不快感・食欲不振・悪心・下痢よくある
起こりやすい人
誰にでも。添付文書で0.1〜1%未満、メタ解析では消化器症状が主。
起こる時期
服用開始〜数週間。
備え
食後に飲む。続くなら量を減らすか中止。
月経の変化(経血量の減少・不順)よくある
起こりやすい人
月経のある女性。
起こる時期
数週間〜数か月。
備え
止血作用の裏返しです。メタ解析で報告あり。
静脈血栓症・肺塞栓症(懸念)重大
起こりやすい人
血栓の既往、ピル併用、喫煙、肥満、長時間の安静、40歳以上。
起こる時期
服用中いつでも。
備え
添付文書は血栓のある人・おそれのある人を注意対象とし、「離床、圧迫解除に伴い肺塞栓症を発症した例」を記載。片脚の腫れ・痛み、急な息切れ・胸痛は救急。
眠気・かゆみ・発疹よくある
起こりやすい人
誰にでも(0.1%未満〜)。
起こる時期
服用開始〜。
備え
運転に注意。発疹は中止して相談。
やめたときの再燃よくある
起こりやすい人
受けたすべての人。
起こる時期
中止後1〜3か月。
備え
3か月後にはプラセボとの差がほぼ消えます。遮光を続けることが最大の維持策。

⑤ やめるとき

いつまで続けるのか

試験は3か月、市販薬は2か月上限。クリニックでは効果を見ながら3〜6か月が一般的で、終わりの目安は決まっていません。

途中でやめられるか

いつでもやめられます。離脱症状はありません。手術や長時間の安静の前は中止を求められます。

やめたらどうなるか

再燃します。試験では中止3か月でプラセボとの差がほぼ消えました。遮光と外用で維持を図る形になります。

お金はどうなるか

月ごとの支払いが基本。数か月分のまとめ買いは、血栓リスクの再評価(体調・手術)ができなくなる点に注意。

⑥ 価格

品目
公定価格(薬価)
クリニック表示価格
トランサミン錠250mg 60錠(1日500mg・30日分)
薬価 薬価 648円(10.8円×60錠)
表示 1,200〜3,000円(3施設)
トランサミン錠250mg 120錠(1日1,000mg・30日分)
薬価 薬価 1,296円(10.8円×120錠)
表示 2,000円(1施設)

A施設は250mg×2回/日で1,200円、シナール1,100円・ユベラN1,000円を別売り。B施設は60錠3,000円(1回1錠1日2回)、セットは6,000円。C施設は4錠/日で2,000円、初回1,100円、ビタミンCとのセット5,000〜7,000円。最安と最高で2.5倍。薬価との差は1.9〜4.6倍で、診察・調剤・利益にあたります。市販のトランシーノEXの価格は当サイト未確認です。3施設の確認で、相場ではありません。

公定価格(薬価)のある薬なので、表示価格との差がそのまま「診察と利益」です。自由診療では保険の3割負担にはならず、薬価そのものが「原価の目安」です。セットのビタミンは上乗せ効果が未確認なので、単剤の価格で比べてください。観測日2026-09-05、施設名は扱いません。

⑦ 診察で聞くこと

そのまま読み上げられる形にしています。答えをはぐらかされた質問は、それ自体が判断の材料になります。

  1. 私のシミは肝斑ですか(診断の根拠は)。肝斑でなければ、この薬は効きません。
  2. 血栓症の既往・ピル・喫煙・手術予定を伝えました。それでも処方できる理由は何ですか。
  3. 1日何mgを何か月飲み、その後どうしますか。やめたときに戻ることをどう考えていますか。
  4. 薬価10.8円の薬です。1か月分の価格に何が含まれていますか(診察・セットのビタミン)。

関連する読みもの

出典

最終確認日 2026-09-05/内容をあらためたときは訂正の記録に残します。

  1. トランサミン錠250mg/錠500mg/カプセル250mg/散50% 添付文書(KEGG MEDICUS収載版で確認)効能(肝斑は含まない)、用法750〜2,000mg/日、薬価10.8円/錠、禁忌(トロンビン投与中)、9.1.1 血栓のある患者・血栓症のおそれ、離床に伴う肺塞栓の報告、11.1.1 痙攣(透析患者)、11.2 消化器症状0.1〜1%未満、眠気
  2. Del Rosario E, et al. J Am Acad Dermatol. 2018;78(2):363-36944人の二重盲検プラセボ対照。mMASI −49% vs −18%、中止3か月後 −26% vs −19%。PubMed抄録で確認
  3. Calacattawi R, et al. J Dermatolog Treat. 2024;35(1):236110622研究1,280人のメタ解析。内服>注射>外用。有害事象は消化器・皮膚・月経。PubMed抄録で確認
  4. Wang Y, et al. Indian J Dermatol Venereol Leprol. 2023;89(2):189-194/Liu Y, et al. Front Med (Lausanne). 2021;8:713554用量のネットワークメタ解析(250mg×3回×12週が最適)。内服の副作用17.6%。PubMed抄録で確認したため二次資料扱い
  5. Heidary F, et al. J Cosmet Dermatol. 2025;24(9):e70428内服 vs 外用の無作為化試験50人。MASI −58.86% vs −50.88%。PubMed抄録で確認
  6. 第一三共ヘルスケア トランシーノEX 製品情報・「8週間プログラム」ページ第1類医薬品、効能「しみ(肝斑に限る)」、1日量4錠中トラネキサム酸750mg、15歳以上、2か月を超えて服用しない、約85%に効果(メーカー表記、原著未確認)。原文ページを確認
  7. 日本美容外科学会(JSAPS)ほか「美容医療診療指針(令和3年度改訂版)」CQ1-1-2肝斑は遮光・美白剤外用や内服などの保存的治療が先で、レーザー・IPLは不十分な場合の併用。PDF原文を確認
  8. 複数のクリニック公開ページ(2026-09-05確認、3施設)30日分1,200円、60錠3,000円、120錠2,000円、セット3,000〜7,000円、初回1,100円。血栓既往・ピル・喫煙で処方不可の記載。施設名は扱いません