ダーマペン(マイクロニードリング)
針で穴を開けるだけの治療に、効く根拠はあります。値段の差は「一緒に塗るもの」で、そこに未承認製品が入ります。
細い針で皮膚に無数の小さな穴を開け、傷が治る力で凹みを浅くする治療です。12の無作為化試験・414人のメタ解析で単独でもニキビ跡の改善が示され、二次的な傷跡や感染の報告はありませんでした。一方、ダーマペン4は国内未承認の機器で、クリニックが個人輸入して使っています。併用される成長因子・幹細胞培養上清・エクソソームも未承認製品で、その効果はダーマペン本体とは別に測る必要があります。
① 国内で承認されている使い方
ダーマペン4は医薬品医療機器等法上の承認を受けていない医療機器です。医師が個人輸入し、責任のもとで使用しています。併用される薬剤(成長因子製剤、幹細胞培養上清液、エクソソーム、PRPなど)も多くが未承認です。ニキビ跡の治療は保険適用外です。
② 臨床試験で確かめられていること
ニキビ跡の凹み(萎縮性瘢痕)には、無作為化試験で改善が示されています。3回程度の施術で、評価者による瘢痕スコアが下がります。
毛穴の開き・小じわ・肌質改善への効果は、ニキビ跡ほど試験がそろっていません。「肌がきれいになる」の部分は、施術直後の腫れによる一時的な変化を含みます。
併用で効果が上がるのは事実ですが、試験で併用されたのは主にケミカルピーリングやPRPで、国内で人気の培養上清液・エクソソームではありません。
深い凹みや幅の広い凹みには限界があり、フラクショナルレーザーや外科的な方法と組み合わせる場合があります。
- 誰に
- ニキビ跡のある414人(12の無作為化試験)
- 何を
- マイクロニードリング単独(高周波を併用しないもの)
- 何と比べて
- 他の治療(高周波マイクロニードル、フラクショナルレーザーなど)
- どうなった
- 瘢痕改善で高周波なしのマイクロニードリングが優れる結果(平均差0.42、95%CI −0.12〜0.73)。二次的な瘢痕や感染の報告なし。炎症後色素沈着はマイクロニードリングのほうが少ない
- 誰に
- ニキビ跡のある成人20人(15人が完了)
- 何を
- 電動ニードリング機器で2週間隔に3回
- 何と比べて
- 同じ人の反対側の顔(無治療)
- どうなった
- 6か月後の瘢痕スコアが治療側で3.4点低い(95%CI 0.2〜6.5、p=0.03)。有害事象なし。痛みの平均は10点中1.08
- 誰に
- ニキビ跡のある1,546人(24の無作為化試験)
- 何を
- マイクロニードリング単独、およびケミカルピーリング・PRP・他の治療との併用
- 何と比べて
- 相互比較
- どうなった
- 併用は単独より明らかに優れ、ケミカルピーリングとの併用が最良。併用されたのは主にピーリング・PRPで、成長因子製剤・培養上清液・エクソソームの試験はこの解析の中心ではない
- 誰に
- マイクロニードリング後に培養上清液・エクソソームを外用した人
- 何を
- ダーマペン+幹細胞培養上清液/エクソソーム
- 何と比べて
- ダーマペン+生理食塩水
- どうなった
- 顔半分比較の小規模試験(28人、外用エクソソーム)で医師評価の改善が報告されていますが(エクソソームのページ参照)、国内で使われる各製品での試験は確認できませんでした。製品ごとに中身が違うため、ある製品の結果は別の製品に当てはまりません
※ 別々の試験の数値を並べています。試験ごとに対象者・期間・条件が異なるため、本来、数値同士を直接比べることはできません。それを承知のうえで、目安として並べています。
③ まだ答えの出ていないこと
- 国内で併用される成長因子・培養上清液・エクソソーム製剤ごとの上乗せ効果と安全性。
- 毛穴・小じわ・肌質への効果。ニキビ跡以外の目的では試験が少ない。
- 針の深さ・回数・間隔の最適解。施設ごとに設定がばらばらです。
- 日本人(濃い肌色)での炎症後色素沈着の頻度。
④ 副作用 ── 起こりやすい人・起こる時期・備え
添付文書と臨床試験の報告に基づきます。頻度や重さはあなたの条件で変わります。ここに無い症状が出たときも、処方元に連絡してください。
- 起こりやすい人
- 誰にでも。針が深いほど強い。
- 起こる時期
- 施術中〜数日。
- 備え
- 3施設とも明記。数日でおさまるのが通常です。
- 起こりやすい人
- 活動性のニキビがある人、施術後の清潔管理が不十分な場合、針の使い回し。
- 起こる時期
- 数日。
- 備え
- 針カートリッジが使い捨てか、施術後のスキンケア指導があるかを確認してください。
- 起こりやすい人
- 口唇ヘルペスの既往がある人。
- 起こる時期
- 数日。
- 備え
- 既往を申告すれば予防内服を検討する施設があります。
- 起こりやすい人
- 濃い肌色の人、施術後に日焼けした人。
- 起こる時期
- 数週間〜数か月。
- 備え
- メタ解析では高周波併用よりマイクロニードリング単独のほうが少ないとされます。遮光が予防です。
- 起こりやすい人
- 未承認の成長因子・培養上清液・エクソソーム製剤を併用した人。
- 起こる時期
- 数週間〜数か月。
- 備え
- 針で開けた穴から製剤が入るため、外用より反応が強く出ることがあります。製品名と成分を確認してください。
- 起こりやすい人
- 針が深すぎる設定、強い圧、骨の上の薄い皮膚。
- 起こる時期
- 数週間〜。
- 備え
- まれですが、機器の使い方に起因する傷跡が報告されています。施術者の経験を聞いてください。
⑤ やめるとき
「月1回で5回」がよく案内される回数ですが、試験では3回(2週間隔)で6か月後の改善が示されています。終わりの基準は施設の設定です。
いつでもやめられます。離脱症状はありません。
改善した瘢痕は戻らないと考えられますが、長期の追跡データは限られています。毛穴・肌質の変化は時間とともに戻る可能性があります。
回数券の未消化分の返金条件を確認してください。併用製剤は施術ごとの追加料金で、続けるほど本体との差が開きます。
⑥ 価格
本体のみの全顔は38,500円・63,470円の2施設(もう1施設は併用メニューのみで、ピーリング併用の全顔が初回44,000円・通常55,000円)。最安と最高で1.6倍。併用製剤を重ねると1回44,440円(ピーリング)〜254,100円(PRP+培養上清)まで、本体価格の最大4倍になります。初診料3,850円の施設あり。3施設の確認で、相場ではありません。
未承認機器のため公定価格はありません。表示価格がすべてです。価格差のほとんどは「一緒に塗るもの」の差で、その部分の効果は本体の試験では測られていません。「月1回×5回」が推奨されることが多く、年額で考えてください。観測日2026-09-05、施設名は扱いません。
⑦ 診察で聞くこと
そのまま読み上げられる形にしています。答えをはぐらかされた質問は、それ自体が判断の材料になります。
- 機器の製品名は何ですか。国内未承認であることと、個人輸入であることを説明書に書いてもらえますか。
- 一緒に塗る製剤の製品名・製造者・成分は何ですか。それも未承認ですか。
- 針の深さは何mmで、私の部位にどう決めますか。針は使い捨てですか。
- 私のニキビ跡の種類(凹みの深さ・幅)で、何回で、どこまで改善が見込めますか。総額はいくらですか。
関連する読みもの
出典
最終確認日 2026-09-05/内容をあらためたときは訂正の記録に残します。
- Shen YC, et al. Microneedling Monotherapy for Acne Scar: Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials. Aesthetic Plast Surg. 2022;46(4):1913-192212試験・414人。高周波なしのマイクロニードリングが瘢痕改善で優れる。二次的な瘢痕・感染の報告なし。PubMed抄録で確認
- Sitohang IBS, Sirait SAP, Suryanegara J. Microneedling in the treatment of atrophic scars: A systematic review of randomised controlled trials. Int Wound J. 2021;18(5):577-5859試験。単独・併用とも一貫して有効。重篤な副作用の報告なし。PubMed抄録で確認
- Alam M, et al. Efficacy of a needling device for the treatment of acne scars: a randomized clinical trial. JAMA Dermatol. 2014;150(8):844-849顔半分比較、15人完了、3回。6か月後の瘢痕スコア差3.4(0.2〜6.5、p=0.03)。有害事象なし。PubMed抄録で確認
- Li H, Jia B, Zhang X. Microneedling and combination treatments for acne scars: network meta-analysis. Arch Dermatol Res. 2024;316(8):50524試験・1,546人。併用が単独より優れ、ケミカルピーリング併用が最良。PubMed抄録で確認
- Gowda A, et al. A Systematic Review Examining the Potential Adverse Effects of Microneedling. J Clin Aesthet Dermatol. 2021;14(1):45-54紅斑・浮腫・疼痛・一時的な刺激・炎症後色素沈着。「機器によらず比較的安全で副作用は最小限」。PubMed抄録で確認
- 複数のクリニック公開ページ(2026-09-05確認、3施設)全顔38,500円・63,470円、ピーリング併用の全顔 初回44,000円・通常55,000円、併用メニュー44,440〜254,100円。3施設とも「国内未承認医療機器」「個人輸入」を明記、うち1施設は厚労省の個人輸入注意ページへのリンクあり。施設名は扱いません