エレクトロポレーション(電気で美容成分を導入)
「針を使わず、化粧品より深く届く」は、届いたことを測って初めて意味を持ちます。届いたか、届いて何が変わったかを測った試験がないので、今のところこの施術の効果は、機器の説明書きの中にしかありません。
特殊なパルス電流で皮膚の細胞膜に一時的な隙間を作り、ビタミンC・トラネキサム酸・プラセンタ・ヒアルロン酸・「幹細胞エクソソーム」などの美容液を針なしで皮膚に入れると説明される施術です。1回5,500〜13,200円、2週間ごとに繰り返します。効果を測った人での臨床試験を、当サイトはPubMedで確認できませんでした。似た方式のイオン導入(電位差で成分を入れる)では、肝斑29人の片側顔面比較試験でビタミンCを導入した側の色調が12週で改善した報告(2003年)がありますが、小規模でエレクトロポレーションの根拠ではありません。施設が掲げる「イオン導入の20倍の浸透率」に論文の引用はありません。機器は施設自身が「国内において医薬品医療機器等法上の承認を得ていない未承認の機器」と説明し、医師の個人輸入で使われています。効果は導入する成分で決まりますが、成分(トラネキサム酸・ビタミンC)を皮膚から入れて効いたという試験も、この方式では確認できません。副作用は軽く(赤み・かぶれ)、金属の埋め込み・ペースメーカー・妊娠中は禁忌です。
① 国内で承認されている使い方
エレクトロポレーション機器は日本で医療機器として承認されておらず、施設は医師の個人輸入で使用していると説明しています。導入する成分は化粧品・医薬部外品・未承認の輸入美容液で、皮膚から入れて効果を出す医薬品として承認されたものではありません。イオン導入(電位差で成分を入れる方式)も同様に自費の美容施術で、承認された適応はありません。エレクトロポレーションの上位互換をうたう「〇〇倍浸透」の数字に出典は示されていません。
② 臨床試験で確かめられていること
浸透: 「20倍」などの数字は施設の説明で、出典がありません。
肌の変化: 乾燥・小じわ・毛穴・シミの改善をうたいますが、偽施術と比べた試験がありません。
体感: 施術直後の潤い感は、美容液を塗ること自体でも起こります。区別する試験がありません。
成分次第: 効くとすれば導入した成分の効果であり、その成分を皮膚から入れて効いた証拠がこの方式にはありません。
- 誰に
- 美容目的で成分導入を受ける人
- 何を
- エレクトロポレーション機器による経皮導入
- 何と比べて
- 偽施術・塗布のみ
- どうなった
- 人での無作為化試験・系統的レビューを確認できませんでした。効果は測られていません
- 誰に
- 肝斑のある女性29人(顔の片側ずつ比較)
- 何を
- ビタミンC液のイオン導入
- 何と比べて
- 蒸留水のイオン導入(反対側の顔)
- どうなった
- 12週で治療側の色調L値4.60→2.78(p=0.002)、対照側4.45→3.87(p=0.142)。「ビタミンCのイオン導入は肝斑に有効な治療かもしれない」。小規模・方式が異なるため、エレクトロポレーションの根拠にはならない
この数値はレビュー論文を通じて確認したものです。原著論文そのものの確認は済んでいません。
- 誰に
- —
- 何を
- エレクトロポレーション機器
- 何と比べて
- —
- どうなった
- 「国内において医薬品医療機器等法上の承認を得ていない未承認の機器」「医師の判断の元、個人輸入手続きを行ったもの」。国産機はJIS・EMC適合をうたうが医療機器承認の記載なし
この数値はレビュー論文を通じて確認したものです。原著論文そのものの確認は済んでいません。
※ 別々の試験の数値を並べています。試験ごとに対象者・期間・条件が異なるため、本来、数値同士を直接比べることはできません。それを承知のうえで、目安として並べています。
③ まだ答えの出ていないこと
- 機器で成分が皮膚のどの深さまで届くかの人での測定。
- 偽施術(電流なし)と比べた肌の変化の試験。
- 導入する各成分(トラネキサム酸・ビタミンC・プラセンタ・エクソソーム)の経皮での効果と安全性。
- 反復施術の長期安全性(皮膚バリアへの影響)。
④ 副作用 ── 起こりやすい人・起こる時期・備え
添付文書と臨床試験の報告に基づきます。頻度や重さはあなたの条件で変わります。ここに無い症状が出たときも、処方元に連絡してください。
- 起こりやすい人
- 誰にでも。
- 起こる時期
- 施術直後〜数分〜当日。
- 備え
- 軽度。
- 起こりやすい人
- 導入成分(プラセンタ・エクソソーム等)にアレルギーのある人。
- 起こる時期
- 当日〜数日。
- 備え
- 成分を確認。初回は少量で。
- 起こりやすい人
- 金属糸・プレートの埋め込み、ペースメーカー。
- 起こる時期
- 施術中。
- 備え
- 禁忌(施設)。
- 起こりやすい人
- エクソソーム・幹細胞培養上清など輸入美容液を導入する人。
- 起こる時期
- 当日〜。
- 備え
- 製品の由来・検査証明を確認。
- 起こりやすい人
- 誰にでも。
- 起こる時期
- 数週間〜数か月。
- 備え
- 2週間ごと5回で3万〜6万円。効果を測る指標がない。
⑤ やめるとき
施設は2週間〜10日おきに4〜6回、その後は継続を勧めます。終わりの目安はありません。
いつでもやめられます。
やめて失うものは確認されていません(効果自体が測られていないため)。
1回払いか回数券。回数券の返金条件を確認。
⑥ 価格
A施設: プラセンタ/ビタミンC 5,500円、トラネキサム酸/グリシルグリシン/ビタミンミックス 6,600円、ヒト幹細胞+コラーゲン 7,700円、2種ブレンド+1,650円、2週間に1回、機器マルチフォレーシスプロ。B施設: 顔1回6,600円・6回33,000円(1回5,500円)、目元・口元・鼻の3部位3,300円、1〜10日おきに4〜6回。検索結果で初回11,880円・2回目13,200円・5回59,400円。1回で最安と最高が約2.4倍。2施設+検索結果の確認で、相場ではありません。
未承認機器・化粧品成分なので公定価格はありません。5回コースで3万〜6万円は、同じ成分の化粧品(数千円)との差額を「電気で深く届く」という測られていない効果に払う形です。観測日2026-09-06、施設名は扱いません。
⑦ 診察で聞くこと
そのまま読み上げられる形にしています。答えをはぐらかされた質問は、それ自体が判断の材料になります。
- この機器は国内未承認で医師の個人輸入だと理解しています。機器そのものの効果を人で測った試験はありますか。「20倍浸透」の出典は。
- 導入する成分は何で、その成分を皮膚から入れて効果が出た試験はありますか。エクソソームなら由来と検査証明は。
- 私の悩み(シミ・肝斑・乾燥)に、承認薬(トラネキサム酸内服など)や根拠のある治療はありませんか。
- 何回で効果を判定し、何で測りますか。
関連する読みもの
出典
最終確認日 2026-09-06/内容をあらためたときは訂正の記録に残します。
- 当サイトによる文献調査(PubMed、2026-09-06)エレクトロポレーションによる美容成分の経皮導入の人での無作為化試験・系統的レビューを確認できず
- Huh CH, et al. Dermatology. 2003;206(4):316-320イオン導入(別方式)の肝斑29人の片側比較試験。L値4.60→2.78 vs 4.45→3.87。PubMed抄録で確認したため二次資料扱い(方式が異なる)
- クリニック公開ページ(承認状況、検索結果で確認)「医薬品医療機器等法上の承認を得ていない未承認の機器」「医師の判断の元、個人輸入」。国産機のJIS・EMC適合の記載。二次確認
- 複数のクリニック公開ページ(2026-09-06確認、2施設+検索結果)1回5,500〜13,200円、コース料金、導入成分、機器名、「浸透率20倍」(出典なし)、副作用・禁忌、頻度。施設名は扱いません