フラクショナルCO2レーザー(ニキビ跡・毛穴)
レーザーで皮膚に穴を開けて治すという理屈は、傷の治りに賭ける理屈です。凹みは浅くなる。その代わり、日本人の肌では「治る過程」そのものが色素沈着を生みます。
炭酸ガスレーザーを点状に照射して皮膚に微小な穴を開け、治る過程でコラーゲンを作らせる治療です。8研究418人のメタ解析で、CO2はエルビウムレーザーより有効率が高く(OR 1.81)、ダウンタイムは短い一方、痛みが強く(VASで+1.77)赤みは長く(+1.85日)続きました。39試験のレビューでは、CO2で「50%以上の改善」に達した人は65%。美容医療診療指針は「効果は手術や注入剤に及ばないが選択肢の1つ」として弱く推奨し、承認状況を「フラクショナル照射のアタッチメントは1種類のみ承認」としています。承認機器CO2RE(2017年12月)以外は未承認で、施設は「薬機法上の承認を受けていない」と注記しています。全顔1回4,320〜88,000円と、施設で20倍の差があります。
① 国内で承認されている使い方
フラクショナルCO2レーザーは、炭酸ガスレーザー本体は承認機器が多い一方、点状照射(フラクショナル)の機能については、シネロン・キャンデラのCO2RE(コア)が2017年12月に「皮膚のフラクショナルリサーフェシングを目的とした軟組織の蒸散」で国内初の承認を取得しました。eCO2、アキュパルス、スマートサイドなど多くの機器は未承認で、医師の個人輸入です。承認の有無にかかわらず自由診療です。
② 臨床試験で確かめられていること
ニキビ跡の凹み(萎縮性瘢痕): 効きます。3回程度で半分以上の人が「50%以上の改善」に達しますが、完全に平らにはなりません。深いアイスピック型は組み合わせ治療が要ります。
毛穴・キメ: 改善の報告はありますが、凹みほどの根拠はありません。
痛み・赤み・かさぶたは治療の一部です。CO2はエルビウムより痛く、赤みが長い。強い設定ほど効果とダウンタイムが比例します。
PRP・ヒアルロン酸被覆・鍼など「併用で効果が上がる」報告が多いのは、単独の効果が頭打ちになることの裏返しです。
- 誰に
- ニキビ跡などの患者418人(8研究、CO2 210人・エルビウム208人)
- 何を
- フラクショナルCO2レーザー
- 何と比べて
- フラクショナルEr:YAGレーザー
- どうなった
- 有効率 OR 1.81(95%CI 1.08〜3.01)でCO2が高い。ダウンタイム −2.11日(−3.11〜−1.10)でCO2が短い。痛み(VAS)+1.77(1.32〜2.21)でCO2が強い。赤みの期間 +1.85日(1.63〜2.07)でCO2が長い。炎症後色素沈着は差なし
- 誰に
- 各種瘢痕の患者1,262人(39の比較試験、ニキビ跡が48.7%)
- 何を
- 蒸散型フラクショナル(CO2・Er:YAG)
- 何と比べて
- 非蒸散型(1550nm Er:glass、1064nm Nd:YAGなど)
- どうなった
- ニキビ跡で「50%以上の改善」: CO2 65%、Er:YAG 55%(差なし)、CO2 37.5% vs 1550nm 12.5%の比較も。蒸散型は痛みとダウンタイムが大きく、炎症後色素沈着のリスクは肌質による
- 誰に
- シワ・たるみの改善を希望する人
- 何を
- フラクショナルレーザー療法(FLSR)
- 何と比べて
- 外科手術・注入剤
- どうなった
- 推奨度2(弱く推奨)。「効果は外科手術や注入剤を用いた治療に及ばない」「色素沈着,熱傷,瘢痕形成などの副作用に注意」「フラクショナル照射に必要なアタッチメントは1種類のみが国内承認」。少なくとも3件のRCTを引用(うち日本人12人は1540nm非蒸散型)
- 誰に
- 10研究(Nobari)/中国人30人の分割顔(Qu)
- 何を
- 蒸散型フラクショナルレーザー(CO2・Er:YAG)
- 何と比べて
- 針型RF・マイクロニードリング
- どうなった
- Nobari: 60%の研究で「有意差なし」、両者とも70%以上改善〜完全奏効。Qu: 効果は同等(ECCAスコア低下)、CO2側は痛みが強く、1〜2か月後の赤み・メラニン指数が有意に高い。PubMed抄録で確認
この数値はレビュー論文を通じて確認したものです。原著論文そのものの確認は済んでいません。
- 誰に
- 中等症〜重症のニキビ跡313人(11 RCT)/623人(6研究)
- 何を
- CO2フラクショナル+PRP/+ヒアルロン酸被覆
- 何と比べて
- CO2フラクショナル単独
- どうなった
- PRP併用: 改善OR 2.56(1.37〜4.78)、満足OR 3.38、かさぶた期間短縮。ヒアルロン酸被覆: ECCA −3.37点、色素沈着RR 0.37(0.23〜0.61)。PubMed抄録で確認
この数値はレビュー論文を通じて確認したものです。原著論文そのものの確認は済んでいません。
※ 別々の試験の数値を並べています。試験ごとに対象者・期間・条件が異なるため、本来、数値同士を直接比べることはできません。それを承知のうえで、目安として並べています。
③ まだ答えの出ていないこと
- 日本人でのCO2フラクショナルの無作為化試験と、炎症後色素沈着の発生率。指針の引用は非蒸散型の12人だけです。
- 承認機器と未承認機器で効果・合併症に差があるか。
- 何回で頭打ちになるか。「10回以上」を勧める施設がありますが、回数と効果の関係を示すデータは限られます。
- 5年以上の長期で、瘢痕の再発・皮膚の質感がどうなるか。
④ 副作用 ── 起こりやすい人・起こる時期・備え
添付文書と臨床試験の報告に基づきます。頻度や重さはあなたの条件で変わります。ここに無い症状が出たときも、処方元に連絡してください。
- 起こりやすい人
- 誰にでも。CO2はエルビウムより強い(VAS +1.8)。
- 起こる時期
- 照射中〜当日。
- 備え
- 麻酔クリーム・冷却。強い設定ほど痛い。
- 起こりやすい人
- 誰にでも。赤みは1〜2週間、強い設定で長い。
- 起こる時期
- 直後〜2週間。
- 備え
- かさぶたを剥がすと色素沈着・瘢痕の原因。保湿と遮光。
- 起こりやすい人
- 日本人を含む色の濃い肌質、日焼け、肝斑のある人。
- 起こる時期
- 数週間〜数か月。
- 備え
- アジア人の試験でCO2側のメラニン指数が上昇。遮光と、必要なら美白外用。多くは数か月で薄くなる。
- 起こりやすい人
- 高出力、重ね打ち、ケロイド体質。
- 起こる時期
- 直後〜数か月。
- 備え
- 指針が「熱傷,瘢痕形成」を明記。白く抜けた跡は戻りにくい。
- 起こりやすい人
- 口唇ヘルペスの既往、創部の不潔。
- 起こる時期
- 数日〜1週間。
- 備え
- 既往を申告し予防内服を。膿・発熱は受診。
- 起こりやすい人
- アイスピック型の深い瘢痕、たるみ改善を期待した人。
- 起こる時期
- 3〜5回後。
- 備え
- 指針は「手術や注入剤に及ばない」。深い瘢痕は切除・サブシジョン等の併用が要る。
⑤ やめるとき
1〜2か月ごとに3〜5回が目安。ニキビ跡では10回以上を勧める施設があり、回数の上限は決まっていません。
いつでもやめられます。回数コースは特定商取引法の特定継続的役務(にきび・毛穴等の除去で1か月超・5万円超)に当たれば中途解約できます。
得られた改善は基本的に維持されます(瘢痕の再構築のため)。加齢による毛穴・たるみは進みます。
都度払いが基本。コースの残回数の精算方法と、色素沈着で中断したときの扱いを契約前に確認。
⑥ 価格
A施設は未承認機器で全顔初回4,320円・2回目以降10,190円、強い設定(プレミアム)は11,880円・19,110円、1か月以上あけて4回程度。B施設は未承認機器(アキュパルス)で全顔44,000円(強い設定88,000円)、麻酔込み、2か月以上あけて2〜5回。C施設は承認機器CO2REで全顔88,000円、3回237,600円、5回352,000円、ニキビ跡は10回以上のこともあると記載。最安と最高で約20倍。承認機器の施設が最も高い一方、未承認機器でも88,000円の施設があり、価格は承認の有無と連動していません。3施設の確認で、相場ではありません。
公定価格はなく、「全顔」の範囲・出力設定・麻酔の有無で中身が違います。4,320円の初回価格は継続前提の設計です。ニキビ跡で5〜10回を見込むなら、5回の総額(2万〜44万円)と、それに伴うダウンタイムの日数の合計で判断してください。観測日2026-09-05、施設名は扱いません。
⑦ 診察で聞くこと
そのまま読み上げられる形にしています。答えをはぐらかされた質問は、それ自体が判断の材料になります。
- 使う機器の製品名と、国内承認の有無は(承認機器はCO2REのみ)。未承認なら個人輸入である旨の説明を書面でもらえますか。
- 私のニキビ跡の型(アイスピック・ボックスカー・ローリング)で、どのくらいの改善を何回で見込みますか。
- 私の肌質で色素沈着が出る確率と、出たときの対応(美白外用・照射中止)は。肝斑はありますか。
- ダウンタイム(赤み・かさぶた)は何日で、仕事や外出への影響は。強い設定と弱い設定の違いは。
- 1回の価格に麻酔・術後の薬・再診は含まれますか。コースの解約条件は。
関連する読みもの
出典
最終確認日 2026-09-05/内容をあらためたときは訂正の記録に残します。
- 日本美容外科学会(JSAPS)ほか「美容医療診療指針(令和3年度改訂版)」CQ2-1-1FLSRは推奨度2、副作用(色素沈着・熱傷・瘢痕)、承認状況(アタッチメントは1種類のみ承認)、RCT3件(日本人12人は1540nm)。PDF原文を確認
- シネロン・キャンデラ「国内初、美容目的で薬事承認取得!炭酸ガスレーザー コア」2018年1月16日2017年12月26日承認、販売名「フラクショナルモード搭載 炭酸ガスレーザー コア」、使用目的の原文。承認番号(22900BZX00428000)は検索結果で二次確認。原文ページを確認
- Liu F, et al. J Cosmet Dermatol. 2024;23(9):2768-27788研究418人。CO2 vs Er:YAG(有効率OR 1.81、痛み・赤みはCO2が大、PIH差なし)。PubMed抄録で確認
- Haji Mohammadi A, et al. Lasers Med Sci. 2025;40(1):280/Xu Y, Deng Y. Facial Plast Surg. 2018;34(2):205-21939試験(CO2で50%以上改善65%)、30研究(有効・個別設定)。PubMed抄録で確認
- Nobari NN, et al. Lasers Med Sci. 2023;38(1):67/Qu L, et al. Acta Derm Venereol. 2025;105:adv43611/Kwon HH, et al. Acta Derm Venereol. 2020;100(18):adv00310針型RF・ニードリングとの比較、中国人・韓国人での分割顔試験。PubMed抄録で確認したため二次資料扱い
- Aljefri YE, et al. Dermatol Ther. 2022;35(12):e15888/Zhang J, et al. Lasers Med Sci. 2023;38(1):214PRP併用・ヒアルロン酸被覆のメタ解析。PubMed抄録で確認したため二次資料扱い
- 複数のクリニック公開ページ(2026-09-05確認、3施設)4,320円(初回)〜19,110円(未承認注記あり)、44,000〜88,000円(麻酔込み、2026年5月更新)、88,000円・5回352,000円(CO2RE)。施設名は扱いません