自由診療の料金・リスク・根拠を、受ける前に。医院レポート5院 · 資料確認 2026-09-21
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脂肪溶解注射

別の言い方: BNLS/カベリン(カベルライン)/FatX/レモンボトル/チンセラ/メソセラピー/小顔注射

米国で承認された薬には試験の数値があります。ただし日本で使われている製剤は別のもので、その効果は確かめられていません。

結論 ── うたわれている効果は
日本で使われている製剤の効果は、調べられていません

あご下の脂肪を減らす注射として、米国では承認された薬があり、試験の数値もあります。ただしそれは日本では承認されておらず、国内のクリニックで使われている製剤は別のものです。

1米国で承認されているデオキシコール酸注射(ATX-101)には第III相試験があり、24週で66.5%が改善(プラセボは22.2%)という数値があります。
2しかしこの薬は日本では承認されていません。国内で「脂肪溶解注射」として使われているBNLS、カベリンなどは、多くが医師の個人輸入による未承認医薬品です。
3そして、これら国内で使われている製剤について、効果を検証した比較試験を当サイトでは確認できませんでした。米国の試験の数値を、別の製剤の効果として読むことはできません。
4未承認医薬品による健康被害は、医薬品副作用被害救済制度の対象外です。効果が確かめられていないものを、救済の枠外で受けることになります。
エビデンスの水準
—
国内で使われる製剤の比較試験は確認できず
承認の状況
承認の外での使用
価格の幅
1回 6,000〜60,000円
1本〜1部位1回あたりの表示価格

① 国内で承認されている使い方

日本には、脂肪溶解を目的として承認された注射薬がありません。国内で使われているのは、多くが医師の個人輸入による未承認医薬品です。

対象
国内での承認
日本で承認された脂肪溶解注射
ありません
キベラ(ATX-101・デオキシコール酸)
米国で承認。日本では未承認
BNLS、カベリン(カベルライン)等
主に韓国製。医師の個人輸入による未承認医薬品
医師による個人輸入
「治療上の緊急性があり、国内に代替品が流通していない場合」に限るとされています
—未承認医薬品による健康被害は、医薬品副作用被害救済制度の対象外です。この点は施設のページにも記載されていることがあります。
—医療広告ガイドラインは、未承認医薬品を用いる自由診療について、未承認である旨・入手経路・国内承認品の有無・諸外国での安全性情報の提供を求めています。この4点が書かれているかは、読む側が確かめられます。
—「FDA承認成分を配合」といった説明を見たら、承認されているのは米国での特定の製品であって、いま打たれる製剤ではないことを確かめてください。

② 臨床試験で確かめられていること

米国で承認されたデオキシコール酸注射(ATX-101)については、あご下の脂肪に対する第III相試験があります。効果の存在自体は争点ではありません。

一方、日本のクリニックで使われているBNLS、カベリンなどの製剤について、効果を検証した比較試験を当サイトでは確認できませんでした。

同じ「脂肪溶解注射」という呼び名でも、含まれる成分と濃度は製剤ごとに違います。デオキシコール酸の濃度が製品によって異なることも案内されています。

複数回の施術を前提に案内されることが一般的ですが、何回で目標に届くかを示した比較試験を、国内で使われている製剤については確認できていません。

ATX-101(デオキシコール酸注射)の第III相試験 REFINE-2REFINE-2試験(米国で承認された製剤の承認申請試験)
誰に
あご下の脂肪が気になる成人。24週間の二重盲検試験
何を
ATX-101(デオキシコール酸)注射。日本では未承認の薬です
何と比べて
プラセボ注射
どうなった
医師評価と本人評価の両方で1段階以上の改善: 66.5%(プラセボ 22.2%)。2段階以上の改善: 18.6%(プラセボ 3.0%)

この数値はレビュー論文を通じて確認したものです。原著論文そのものの確認は済んでいません。

日本で使われている製剤(BNLS・カベリン等)の効果当サイトによる文献調査(2026-08-27)
誰に
国内のクリニックで脂肪溶解注射として使われている製剤について、効果を検証した比較試験を探しました
何を
BNLS neo、カベリン(カベルライン)、FatX など
何と比べて
プラセボまたは無治療
どうなった
確認できませんでした。効果がないことが示されたのではなく、測った試験が見つからない、という意味です。米国で承認された別の薬の数値を、これらの製剤の効果として読むことはできません

※ 別々の試験の数値を並べています。試験ごとに対象者・期間・条件が異なるため、本来、数値同士を直接比べることはできません。それを承知のうえで、目安として並べています。

③ まだ答えの出ていないこと

④ 副作用 ── 起こりやすい人・起こる時期・備え

添付文書と臨床試験の報告に基づきます。頻度や重さはあなたの条件で変わります。ここに無い症状が出たときも、処方元に連絡してください。

注射中〜直後数日〜1週間2〜4週間数か月後アレルギー・アナフィラキシー痛み・熱感腫れ・むくみ内出血・硬結(しこり)神経損傷(あご下の場合)皮膚のたるみ・凹凸救済制度の対象外よくある重大(まれでも見逃さない)
図|副作用の起こる時期のめやす。下の各項目の「起こる時期」の記述を、当サイトが図にした定性的な整理です。幅には個人差があり、この図の外で起こることもあります。頻度の大小を示すものではありません。「救済制度の対象外」は副作用ではなく、未承認製剤を使う時点で確定する制度上の位置づけのため全区間を塗っています。出典: 添付文書・臨床報告(詳細は下の各項目と出典欄)/加工: あり(時期の記述の図示)
腫れ・むくみよくある
起こりやすい人
ほぼ誰にでも起こります。脂肪を溶かす作用は炎症を伴うためです。
起こる時期
注射直後から数日〜1週間ほど。あご下では特に目立ちます。
備え
人前に出る予定は1週間以上あけるのが無難です。
痛み・熱感よくある
起こりやすい人
誰にでも起こりえます。
起こる時期
注射中から数日。
備え
強くなる痛みや、赤みを伴う痛みは連絡してください。
内出血・硬結(しこり)よくある
起こりやすい人
誰にでも起こりえます。同じ部位に繰り返し打った場合に硬さが残ることがあります。
起こる時期
注射直後から数週間。
備え
数か月残る場合は経過を報告してください。
皮膚のたるみ・凹凸重大
起こりやすい人
脂肪が減った部位の皮膚が縮まらない場合。皮膚の弾力が落ちている人ほど起こりやすいとされます。
起こる時期
腫れが引いた数週間後に気づかれます。
備え
元に戻すのは容易ではありません。減らす量と皮膚の状態のバランスを、事前に相談してください。
神経損傷(あご下の場合)重大
起こりやすい人
あご下・フェイスラインは顔面神経の枝が走る部位です。
起こる時期
注射後から。口元の動かしにくさ、笑ったときの左右差として現れます。
備え
米国で承認された製剤の情報でも、下顎縁枝の障害が注意事項として挙げられています。多くは回復するとされますが、時間がかかります。
アレルギー・アナフィラキシー重大
起こりやすい人
事前に予測しにくく、初回でも起こりえます。未承認製剤では成分の全容が開示されていないことがあります。
起こる時期
注射中から直後。
備え
何が入っているのかを確かめること自体が、備えになります。
救済制度の対象外重大
起こりやすい人
未承認医薬品を使用したすべての人。
起こる時期
健康被害が起きたとき、その時点で判明します。
備え
これは副作用ではなく、制度上の位置づけです。受ける前に確定していることなので、先に知っておく必要があります。

⑤ やめるとき

いつまで続けるのか

複数回を前提に案内されることが一般的です。ただし「何回で終わり」の根拠になる比較試験を、国内で使われている製剤については確認できていません。目標をどこに置くかが定義されないまま、回数だけが積み上がる構造になりやすい治療です。

途中でやめられるか

いつでもやめられます。医学的な離脱の問題は知られていません。

やめたらどうなるか

減った脂肪が戻るのか、戻るとしたらどのくらいの期間かを示したデータを、国内で使われている製剤については確認できていません。一方、皮膚のたるみや凹凸が生じた場合、それはやめても自然には戻りません。

お金はどうなるか

都度払いなら支払いは止まります。回数券・コース契約の場合は、未消化分の扱いを購入前に確かめてください。脂肪の減少を目的とする施術は、期間1か月超・5万円超の契約であれば特定商取引法の対象になる可能性があります。

⑥ 価格

確認した範囲で約10倍。製剤の種類、1回に使う本数、対象部位が施設ごとに違うため、同じ内容の差ではありません。「1本いくら」の表示は、必要本数まで聞かないと総額が読めません。

国内承認品が存在しないため、薬価にあたる公定価格もありません。表示価格がすべてです。複数回を前提に案内されることが多いので、1回の価格ではなく、勧められた回数分の総額で比べてください。施設数を十分に集められていないため、相場ではありません。

⑦ 診察で聞くこと

そのまま読み上げられる形にしています。答えをはぐらかされた質問は、それ自体が判断の材料になります。

  1. 使用する製剤の名前を教えてください。国内で承認されたものですか。どこから入手されたものですか。
  2. その製剤で効果を確かめた試験はありますか。米国で承認された別の薬の話ではなく、この製剤の試験ですか。
  3. 副作用が起きた場合、救済制度の対象になりますか。
  4. 何回くらいが目安ですか。総額はいくらになりますか。

関連する読みもの

出典

最終確認日 2026-08-27/内容をあらためたときは訂正の記録に残します。

  1. REFINE-2試験(ATX-101・デオキシコール酸注射の第III相試験)米国で承認された製剤の承認申請試験。24週で医師・本人の両評価による1段階以上の改善が66.5%(プラセボ22.2%)。この薬は日本では未承認で、国内で使われている製剤とは別のものです。原著の直接確認は済んでいません
  2. 当サイトによる文献調査(2026-08-27)BNLS、カベリン等、国内で使われている製剤の効果を検証した比較試験を探し、確認できませんでした。探した範囲を示すもので、世界に存在しないことの証明ではありません
  3. 医療広告ガイドライン(厚生労働省)未承認医薬品等を用いる自由診療の広告では、未承認である旨・入手経路・国内承認品の有無・諸外国の安全性情報の提供が求められています
  4. 医薬品副作用被害救済制度(PMDA)個人輸入により入手した未承認医薬品による健康被害は対象外です