自由診療の料金・リスク・根拠を、受ける前に。医院レポート5院 · 資料確認 2026-09-21
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多焦点眼内レンズ(白内障手術・選定療養)

別の言い方: 多焦点眼内レンズ/選定療養 白内障/老眼 白内障手術/3焦点レンズ/パンオプティクス/多焦点 ハロー グレア/眼鏡なし 白内障/白内障 自費

白内障は単焦点レンズでも治ります。多焦点は「眼鏡を減らす」ための追加で、その代金と引き換えに、夜の光が変わります。

結論 ── うたわれている効果は
眼鏡が要らなくなる確率は上がります。その代わりハローは3.6倍、グレアは1.4倍になります

白内障手術で入れるレンズを、遠くだけの単焦点から遠近両用の多焦点に変える選択です。Cochraneレビュー(20試験・2,230人)で、多焦点は眼鏡が必要になる人を減らす一方(RR 0.63)、光のにじみ(ハロー)はRR 3.58、まぶしさ(グレア)はRR 1.41で多くなりました。2020年4月から「選定療養」になり、手術は保険、レンズの差額(片眼31〜45万円)だけを自費で払います。日本眼科学会の指針は、角膜疾患・緑内障・網膜疾患などがある人を除外し、単焦点でも白内障の治療としては十分な効果があることを説明するよう求めています。

1Cochraneレビュー(2016)は20の無作為化試験・2,230人(3,194眼)を統合し、多焦点は単焦点より近くが見えやすく、眼鏡が必要になる人が少ない(RR 0.63、95%CI 0.55〜0.73)一方、ハロー(RR 3.58、1.99〜6.46)とグレア(RR 1.41、1.03〜1.93)が多いとしました。効果の大きさには不確実性があると結論しています。
22019年12月に中医協が了承し、2020年4月から選定療養になりました。手術・検査・診察は保険、多焦点レンズと単焦点レンズの差額を自費で払う仕組みです。
3日本眼科学会の指針は、対象を「白内障による視機能障害があり、術後になるべく眼鏡を使わずに生活したいと希望し、メリット・デメリットを理解できる人」とし、角膜疾患・ドライアイ・緑内障・ぶどう膜炎・網膜疾患・視神経疾患・弱視・重度の小瞳孔などを除外。実施医は眼科専門医で5年以上・100件以上の経験と学会の研修修了が要件で、「既存の水晶体再建術で十分な効果が期待できること」を必ず説明するよう求めています。
4レンズ代は片眼313,500〜450,000円(3施設)で、選定療養の対象外のレンズは自由診療で495,000〜880,000円以上でした。
エビデンスの水準
★★★
Cochraneレビューあり・学会指針あり・レンズ代のみ自費
承認の状況
選定療養(手術は保険・レンズ差額は自費)
価格の幅
選定療養のレンズ代 片眼313,500〜450,000円(3施設)+保険部分の自己負担(3割で片眼約45,000〜50,000円)
片眼のレンズ追加費用(税込・レンズの種類と乱視用で異なる)

① 国内で承認されている使い方

多焦点眼内レンズは承認された医療機器で、2020年4月から「選定療養」の対象です。白内障手術そのものは保険で受け、多焦点レンズと単焦点レンズの差額を自費で払います。選定療養の対象になっていない多焦点レンズは全額自費(自由診療)です。実施施設と医師には日本眼科学会の指針による要件があります。

対象
国内での承認
選定療養の多焦点レンズ(3焦点・焦点深度拡張型など)
承認機器。手術は保険、レンズ差額は自費。学会指針の遵守が条件
選定療養対象外の多焦点レンズ
全額自費(自由診療)。手術費も保険が使えない
単焦点レンズ
保険診療。白内障の治療としては十分な効果(学会指針が説明を義務づけ)
白内障のない人への屈折矯正目的のレンズ交換
選定療養の対象外(学会指針で明記)
—白内障がなければ選定療養は使えません。老眼の解消だけを目的にした「レンズ交換」は自由診療で、指針も対象外としています。
—除外基準(角膜疾患・ドライアイ・緑内障・ぶどう膜炎・網膜疾患・視神経疾患・弱視・Zinn小帯脆弱・重度の小瞳孔)に当たる人に多焦点を入れると、見え方の不満が出やすくなります。術前検査で除外されたら、それは適切な判断です。
—レンズの入れ替え(多焦点→単焦点)は可能ですが再手術です。指針は不具合を訴えた場合「眼内レンズの入れ換えを含め、適切な治療をしかるべき時期に行う」としています。

② 臨床試験で確かめられていること

近くが見えやすくなり、眼鏡が要らない人が増えることは、20試験の統合で示されています。ただし全員が眼鏡不要になるわけではなく、指針も「眼鏡が必要になることがある」説明を求めています。

代償は夜の光です。ハローは3.6倍、グレアは1.4倍。夜間の運転が多い人は、指針の除外基準ではないものの、施設が慎重に扱う理由です。

コントラスト感度(薄暗い所での見えやすさ)の低下、waxy vision(膜がかかったような見え方)も指針が留意点に挙げています。

慣れるまで1〜6か月かかるとされ、その間は「失敗」と判断できません。慣れない場合の入れ替えは再手術になります。

多焦点 vs 単焦点(Cochraneレビュー)de Silva SR, et al. Multifocal versus monofocal intraocular lenses after cataract extraction. Cochrane Database Syst Rev. 2016;12:CD003169
誰に
白内障手術を受けた2,230人・3,194眼(20の無作為化試験)
何を
多焦点眼内レンズ
何と比べて
単焦点眼内レンズ
どうなった
眼鏡が必要になる人: RR 0.63(95%CI 0.55〜0.73)で多焦点が少ない。ハロー: RR 3.58(1.99〜6.46)、グレア: RR 1.41(1.03〜1.93)で多焦点が多い。「近方視力の改善に有効だが効果の大きさには不確実性がある」
日本眼科学会の選定療養指針公益財団法人日本眼科学会「多焦点眼内レンズに係る選定療養に関する指針」
誰に
白内障による視機能障害があり、術後に眼鏡をなるべく使わず生活したい人
何を
選定療養での多焦点眼内レンズ
何と比べて
既存の水晶体再建術(単焦点)
どうなった
除外基準(角膜疾患・ドライアイ・緑内障・ぶどう膜炎・網膜疾患・視神経疾患・弱視・Zinn小帯脆弱・重度小瞳孔・屈折矯正目的のレンズ交換)、術前検査(角膜形状・コントラスト感度・瞳孔径)、術後のコントラスト低下・グレア・ハロー・waxy vision・夜間視力不良への留意、実施医の要件(専門医・5年以上・100件以上・研修)、「既存治療で十分な効果が期待できることを必ず説明」
見え方の満足度の長期追跡(日本)当サイトによる文献調査(2026-09-05)
誰に
日本で選定療養の多焦点レンズを入れた人
何を
多焦点眼内レンズ
何と比べて
単焦点
どうなった
選定療養開始(2020年)以降の日本人の満足度・入れ替え率の集計を当サイトは確認できませんでした。厚労省への報告は行われていますが、公開された成績は確認していません

※ 別々の試験の数値を並べています。試験ごとに対象者・期間・条件が異なるため、本来、数値同士を直接比べることはできません。それを承知のうえで、目安として並べています。

③ まだ答えの出ていないこと

④ 副作用 ── 起こりやすい人・起こる時期・備え

添付文書と臨床試験の報告に基づきます。頻度や重さはあなたの条件で変わります。ここに無い症状が出たときも、処方元に連絡してください。

手術後数日数週間〜数か月半年〜1年数年〜感染(眼内炎)・炎症ハロー・グレア(夜の光のにじみ・まぶしさ)コントラスト感度の低下・waxy visionそれでも眼鏡が必要入れ替え手術レンズの位置ずれ・後発白内障よくある重大(まれでも見逃さない)
図|副作用の起こる時期のめやす。下の各項目の「起こる時期」の記述を、当サイトが図にした定性的な整理です。幅には個人差があり、この図の外で起こることもあります。頻度の大小を示すものではありません。慣れの期間は1〜6か月とされ、その前に入れ替えを判断しないのが一般的です。出典: 添付文書・臨床報告(詳細は下の各項目と出典欄)/加工: あり(時期の記述の図示)
ハロー・グレア(夜の光のにじみ・まぶしさ)よくある
起こりやすい人
多焦点を入れたすべての人。夜間運転の多い人は影響が大きい。
起こる時期
手術直後〜数か月。時間とともに慣れるとされる。
備え
ハローRR 3.58、グレアRR 1.41。慣れない場合は入れ替え(再手術)になります。
コントラスト感度の低下・waxy visionよくある
起こりやすい人
多焦点を入れたすべての人。網膜や視神経に病気のある人は特に。
起こる時期
手術後〜継続。
備え
薄暗い所や曇りの日に見えにくい。指針が留意点に挙げています。
それでも眼鏡が必要よくある
起こりやすい人
誰にでも。乱視の残る人、瞳孔の小さい人。
起こる時期
手術後数か月で判明。
備え
眼鏡が要らない人は増えますが全員ではありません。指針は説明を義務づけています。
感染(眼内炎)・炎症重大
起こりやすい人
誰にでも(白内障手術共通)。
起こる時期
手術後数日。
備え
急な視力低下・痛み・充血は救急です。多焦点特有ではなく手術全体のリスクです。
レンズの位置ずれ・後発白内障よくある
起こりやすい人
誰にでも(白内障手術共通)。Zinn小帯の弱い人は位置ずれしやすい(除外基準)。
起こる時期
数か月〜数年。
備え
多焦点は位置ずれの影響を受けやすいと指針が記載。後発白内障はレーザーで処置します。
入れ替え手術重大
起こりやすい人
見え方に慣れない人。
起こる時期
数か月〜1年。
備え
多焦点を取り出して単焦点に替える再手術で、費用と合併症のリスクが加わります。条件と費用を術前に確認してください。

⑤ やめるとき

いつまで続けるのか

1回の手術で完結します。レンズは基本的に生涯そのままです。

途中でやめられるか

手術前ならやめられます(単焦点に変更できます)。手術後は入れ替え手術でしか変えられません。

やめたらどうなるか

多焦点を単焦点に入れ替えれば近くの眼鏡が必要になります。入れ替え自体に手術のリスクが加わります。

お金はどうなるか

レンズ代は返金されないのが通常です。入れ替え手術の費用(自院・他院)と保証の有無を術前に書面で確認してください。

⑥ 価格

A施設は7種類の選定療養レンズが313,500〜363,000円(乱視用363,000〜418,000円)、対象外レンズは自由診療で一律495,000円。B施設は350,000円(乱視用380,000円)、上位機種390,000円(乱視用430,000円)、対象外は880,000円〜。C施設は350,000〜400,000円(乱視用400,000〜450,000円)。同じレンズでも施設で3〜4万円差。別に保険診療分(手術・検査・診察)の自己負担が3割で片眼約45,000〜50,000円、1〜2割で約15,000〜18,000円。3施設の確認で、相場ではありません。

手術と検査は保険、レンズ差額だけが自費という珍しい形です。学会指針は費用を「厚生労働省の示す社会的にみて妥当適切な範囲の額」に従うよう求め、地方厚生局への報告義務があります。両眼なら60〜90万円のレンズ代に保険分を足した総額で考え、入れ替え時の費用も聞いてください。観測日2026-09-05、施設名は扱いません。

⑦ 診察で聞くこと

そのまま読み上げられる形にしています。答えをはぐらかされた質問は、それ自体が判断の材料になります。

  1. 私は選定療養の適応ですか。除外基準(角膜・ドライアイ・緑内障・網膜・視神経・小瞳孔)に当たるかを検査で確認しましたか。
  2. 単焦点レンズで白内障の治療として十分だという説明を、先に聞かせてください。多焦点で得られるのは何で、失うのは何ですか。
  3. 夜間の運転をします。このレンズのハロー・グレアはどの程度で、慣れない場合の入れ替えの条件と費用は。
  4. レンズ代は片眼いくらで、保険部分の自己負担と合わせた両眼の総額はいくらですか。
  5. 執刀医は眼科専門医で、学会の多焦点レンズの研修を修了していますか。

関連する読みもの

出典

最終確認日 2026-09-05/内容をあらためたときは訂正の記録に残します。

  1. de Silva SR, et al. Multifocal versus monofocal intraocular lenses after cataract extraction. Cochrane Database Syst Rev. 2016;12:CD00316920試験・2,230人。眼鏡が必要RR 0.63、ハローRR 3.58、グレアRR 1.41。PubMed抄録で確認
  2. 公益財団法人日本眼科学会「多焦点眼内レンズに係る選定療養に関する指針」(PDF)対象患者の適応と除外基準、術前検査、手技、術後経過(コントラスト低下・グレア・ハロー・waxy vision)、費用の適正化(厚労省の計算方法の遵守と報告)、施設・医師要件、患者説明(既存治療で十分な効果が期待できること)。PDF原文を確認
  3. 厚生労働省 中央社会保険医療協議会(2019年12月了承、2020年4月適用)多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術を選定療養に位置づけ、レンズ差額を自費、手術は保険。日経メディカル等の報道で確認した二次資料
  4. 複数の眼科公開ページ(2026-09-05確認、3施設)選定療養レンズ片眼313,500〜450,000円、対象外レンズ495,000〜880,000円〜、保険部分の自己負担3割約45,000〜50,000円。施設名は扱いません