低濃度アトロピン点眼(子どもの近視進行抑制)
承認された近視の目薬です。効果は「進行を4割減らす」で、止めるわけではありません。何年続けるかと、いつやめるかが、この薬の本当の論点です。
リジュセアミニ点眼液0.025%は、2024年12月27日に日本で初めて「近視の進行抑制」の効能で承認され、2025年4月に発売されました。5〜15歳の299人の国内試験で、24か月後の近視度数の進行は本剤−1.006D、プラセボ−1.643Dで、差は0.637D(95%CI 0.469〜0.805、p<0.0001)。進行を約39%抑えた計算です。副作用は15.6%で、主なものはまぶしさ(羞明)9.0%。薬価基準に収載されていないため保険が使えず、1か月4,000〜4,380円の薬代に診察・検査料が加わります。
① 国内で承認されている使い方
リジュセアミニ点眼液0.025%(アトロピン硫酸塩水和物、参天製薬)は2024年12月27日に「近視の進行抑制」の効能で承認、2025年4月21日発売。1回1滴、1日1回就寝前に点眼します。薬価基準に収載されておらず、保険は使えません。承認前から一部の眼科で使われていた海外製の0.01%点眼(マイオピンなど)は国内未承認です。
② 臨床試験で確かめられていること
効果は「進行を約4割抑える」です。近視が治る、止まる、ではありません。2年で0.64Dの差は、眼鏡の度数で1段階程度です。
効果は点眼中だけ持続すると考えられます。試験は36か月まで行われ、プラセボから切り替えた群でも差が出ました。やめた後にどうなるかの長期データは限られています。
国際的には0.01〜0.05%の濃度で複数の試験があり、Cochraneレビュー(2023)はアトロピン点眼の効果を確実性「非常に低〜中」としています。
まぶしさは約1割に出ます。夜に点眼する設計は、日中のまぶしさを減らすためです。
- 誰に
- 5〜15歳、調節麻痺下の等価球面度数−1.0〜−6.0D、1年以内に0.5D以上進行した近視の子ども299人
- 何を
- アトロピン0.025%点眼、1回1滴、1日1回就寝前、24か月(その後12か月の第II期)
- 何と比べて
- プラセボ点眼(0.01%群もあり、承認外)
- どうなった
- 24か月後の等価球面度数の変化: 本剤−1.006D(101人)vs プラセボ−1.643D(99人)、差0.637D(95%CI 0.469〜0.805、p<0.0001)。副作用15.6%、羞明9.0%
- 誰に
- 近視の子ども(複数の無作為化試験、1年38研究・6,525人、2年26研究・4,949人)
- 何を
- アトロピン点眼(各濃度)、オルソケラトロジー、多焦点眼鏡・コンタクトなど
- 何と比べて
- 単焦点眼鏡・プラセボ
- どうなった
- アトロピンは屈折度・眼軸長の進行を抑制(高濃度で最大、1年で屈折0.90D・眼軸−0.33mm、2年で1.26D・−0.47mm)。低濃度の数値は抄録に個別記載なし。確実性は非常に低〜中
この数値はレビュー論文を通じて確認したものです。原著論文そのものの確認は済んでいません。
- 誰に
- 国内試験の参加者
- 何を
- アトロピン0.025%点眼
- 何と比べて
- プラセボ
- どうなった
- 眼軸長の抑制率(約32%と報道)は添付文書の本文に数値がなく、当サイトは原典で確認できていません。36か月以降のデータ、中止後のリバウンドのデータは確認できませんでした
※ 別々の試験の数値を並べています。試験ごとに対象者・期間・条件が異なるため、本来、数値同士を直接比べることはできません。それを承知のうえで、目安として並べています。
③ まだ答えの出ていないこと
- いつまで続けるか。試験は36か月までで、近視が安定する年齢までの数年〜10年の継続データはありません。
- やめた後のリバウンド(進行が速まる現象)。海外の高濃度では報告があり、0.025%での大きさは不明です。
- 眼軸長の抑制率の原典確認。添付文書本文には屈折度数の結果のみ記載されています。
- オルソケラトロジーや多焦点眼鏡との併用の上乗せ効果。
④ 副作用 ── 起こりやすい人・起こる時期・備え
添付文書と臨床試験の報告に基づきます。頻度や重さはあなたの条件で変わります。ここに無い症状が出たときも、処方元に連絡してください。
- 起こりやすい人
- 誰にでも。国内試験で9.0%。
- 起こる時期
- 点眼開始〜継続中。翌朝〜日中。
- 備え
- 瞳孔が開くためです。屋外でつばのある帽子やサングラスを。夜に点眼する設計です。
- 起こりやすい人
- 誰にでも。1〜5%で霧視、1%未満で調節障害。
- 起こる時期
- 点眼開始〜継続中。
- 備え
- 読書や勉強で気づきます。強ければ受診を。
- 起こりやすい人
- 傾向は確立していません。
- 起こる時期
- 数週間〜。
- 備え
- かゆみ・充血・まぶたの赤みが続くなら中止して相談。
- 起こりやすい人
- 受けたすべての人。効果は約4割の抑制で、止まるわけではない。
- 起こる時期
- 半年〜1年の検査で判明。
- 備え
- 眼軸長・屈折の定期検査で効果を確認しながら続けるかを決めます。
- 起こりやすい人
- 中止した人。
- 起こる時期
- 中止後数か月〜。
- 備え
- 高濃度アトロピンで報告がある現象で、0.025%での大きさは分かっていません。
⑤ やめるとき
承認試験は36か月まで。実際には近視の進行が落ち着く年齢(10代後半)まで続けることが想定され、数年〜10年です。終わりの目安は添付文書に示されていません。
いつでもやめられます。離脱症状はありません。
抑制効果は失われ、進行は元のペースに戻ると考えられます。リバウンド(一時的に速まる)の有無と大きさは、0.025%では分かっていません。
月ごとの支払いです。年間管理費のある施設は、途中でやめたときの返金条件を確認してください。
⑥ 価格
A施設は薬剤4,380円+処方料1,200円(初回5,580円、当日持ち帰りは13,240円)、定期検査3,300円。B施設は薬剤4,000円(1箱30本)、処方料等の記載なし。C施設は薬剤4,380円+初回診察・処方3,300円、継続は年間管理費17,600円(3か月ごとの検査込み)+薬剤4,380円/月。院外処方で薬局価格になる施設もあります。年額は薬剤約5万円+検査・管理費1.3〜2万円で6〜7万円前後。3施設の確認で、相場ではありません。
承認薬ですが薬価未収載のため、薬の価格も診察料も施設が決めます。表示価格がすべてです。数年続ける前提の薬なので、年額×年数で考えてください。「当日持ち帰り」の高い価格設定や「年間管理費」の有無で施設差が出ます。観測日2026-09-05、施設名は扱いません。
⑦ 診察で聞くこと
そのまま読み上げられる形にしています。答えをはぐらかされた質問は、それ自体が判断の材料になります。
- 私の子どもは試験の対象(5〜15歳、−1.0〜−6.0D、1年で0.5D以上進行)に当てはまりますか。
- 効果はどう確認しますか(眼軸長・屈折の検査の頻度)。効いていないと判断する基準は何ですか。
- 何歳まで続ける想定ですか。やめるときの目安と、リバウンドについてどう考えていますか。
- 薬代・診察料・検査料を合わせて、月いくら、年いくらですか。
関連する読みもの
出典
最終確認日 2026-09-05/内容をあらためたときは訂正の記録に残します。
- リジュセアミニ点眼液0.025% 添付文書(KEGG MEDICUS収載版で確認)国内第II/III相試験299人、24か月の等価球面度数の変化 −1.006D vs −1.643D、差0.637D(0.469〜0.805)、副作用15.6%・羞明9.0%、副作用表(羞明5%以上、視力障害・霧視・瞳孔障害1〜5%、調節障害・眼瞼湿疹・グレア1%未満)、用法(1日1回就寝前)、使い切り容器
- 参天製薬ニュースリリース「近視の進行抑制を目的とする日本初の点眼剤『リジュセアミニ点眼液0.025%』発売のお知らせ」2025年3月18日承認2024年12月27日、発売2025年4月21日、効能「近視の進行抑制」、薬価基準未収載のため公的医療保険の給付対象外。原文ページを確認
- Lawrenson JG, et al. Cochrane Database Syst Rev. 2023;2:CD014758近視進行抑制の介入のネットワークメタ解析。アトロピンの効果(濃度別の詳細は抄録に一部のみ)、確実性は非常に低〜中。PubMed抄録で確認したため二次資料扱い
- 複数の眼科公開ページ(2026-09-05確認、3施設)薬剤4,380円/箱+処方料1,200円+定期検査3,300円、薬剤4,000円/箱、薬剤4,380円+年間管理費17,600円、院外処方の施設。1施設は「約65%抑制」と案内(原典未確認)。施設名は扱いません