サーマクール(高周波RFのたるみ治療)
「切らないたるみ治療」の代表格ですが、効果を測った研究ほど「満足は半分」と正直です。何を期待して30万円を払うかを、先に決めておく施術です。
高周波(ラジオ波)で真皮を加熱し、コラーゲンを収縮・再生させてたるみを引き締める機器です。米国の多施設研究(86人、目もと)では、写真の盲検評価で83.2%に1段階以上の改善がありましたが、「満足・とても満足」は50%でした。美容医療診療指針は高周波によるたるみ治療を「推奨度2(効果は外科手術や注入剤に及ばないが、合併症の危険が低い選択肢として弱く推奨)」としています。サーマクールFLXは国内未承認で、医師が個人輸入して使います。第2度熱傷が施術の0.36〜2.7%、まれに脂肪萎縮(くぼみ)の報告があります。全顔600ショットで308,000〜440,000円です。
① 国内で承認されている使い方
サーマクール(Thermage、ソルタメディカル)は米国でFDA 510(k)クリアランスを受けた高周波機器ですが、日本では承認されておらず、医師が個人輸入して使います。最新機種はFLX(2017年〜)。同じ「高周波たるみ治療」でも、承認機器(国内承認のあるRF機器)や別方式(ハイフ=超音波)とは別物です。自由診療で、価格は施設が決めます。
② 臨床試験で確かめられていること
効果はあります。ただし「引き締まる」の大きさは、盲検の写真評価で1段階、患者の満足は半数という規模です。糸リフトや手術と同列に語られる施術ではありません。
効果は数か月かけて出て(コラーゲンの再生)、6〜12か月持続すると施設は説明します。長期の維持データは限られています。
2回照射は1回より効果が大きい(20人の小規模無作為化試験)とされ、6か月に6回の照射で約50%の改善が6か月後も30〜50%維持されたコホートもあります(17人)。
偽照射(何もしない)と比べた無作為化試験は、当サイトの検索では見つかりませんでした。無作為化試験の多くは「別の機器と比べて劣らない」設計です。
- 誰に
- 86人(119の眼周囲)
- 何を
- ThermaCool TCによる1回照射、6か月追跡
- 何と比べて
- 照射前の写真(盲検評価)
- どうなった
- しわ1段階以上の改善83.2%(99/119)、眉の挙上0.5mm以上61.5%(40/65)、患者満足50%(41/82)。第2度熱傷0.36%(21/5,858照射)、6か月で瘢痕残存3人
- 誰に
- 軽〜中等度のたるみのある20人
- 何を
- ThermaCool TC、1回(11人)または1か月間隔で2回(9人)、85〜135 J/cm²
- 何と比べて
- 1回群 vs 2回群(盲検の医師評価・患者評価)
- どうなった
- 2回群がすべての項目で高評価、鼻唇溝は有意(p=0.04)。全員に軽度の浮腫と軽〜中等度の紅斑、熱傷・瘢痕なし。75%が「追加照射に支払う」と回答
- 誰に
- 230人登録・212人解析
- 何を
- 新規のモノポーラRF機器1回
- 何と比べて
- サーマクールCPT 1回(実薬対照。偽照射なし)
- どうなった
- 90日のGAIS(全般改善度)で改善以上が新機器100%、サーマクール98.10%。重篤な有害事象なし。効果の「大きさ」を偽照射と比べた試験ではない
- 誰に
- 600回超の連続施術(Weiss)/290人・757回(de Felipe、平均81 J/cm²)
- 何を
- ThermaCool(モノポーラRF)
- 何と比べて
- 対照群なし
- どうなった
- Weiss: 一時的副作用2.7%、頬のくぼみ1人(3.5か月で回復)、永続性なし。de Felipe: 第2度熱傷2.7%(施術あたり)、痛みで困難11.49%、持続する紅斑1.22%、瘢痕・脂肪萎縮・神経痛・顔面神経麻痺の報告
- 誰に
- しわ・たるみの改善を希望する人
- 何を
- 高周波(RF)機器治療
- 何と比べて
- 外科手術・注入剤
- どうなった
- 推奨度2。「効果は外科手術や注入剤を用いた治療に及ばないが,瘢痕形成は稀で,体内に異物を残さないため,合併症の危険性が低く,タルミ治療の選択肢の1つとして行うことを弱く推奨できる」。17人のコホートで6回照射後約50%改善、6か月後30〜50%維持
※ 別々の試験の数値を並べています。試験ごとに対象者・期間・条件が異なるため、本来、数値同士を直接比べることはできません。それを承知のうえで、目安として並べています。
③ まだ答えの出ていないこと
- 偽照射と比べた無作為化試験。効果の「大きさ」は照射前後の比較と機器どうしの比較でしか測られていません。
- 日本人での効果と安全性の集計。国内は未承認のため承認審査のデータがありません。
- 脂肪萎縮(くぼみ)の頻度と、起こりやすい人の条件。
- ハイフ(超音波)との直接比較。20人規模の試験で「差なし」が2件ある程度です。
④ 副作用 ── 起こりやすい人・起こる時期・備え
添付文書と臨床試験の報告に基づきます。頻度や重さはあなたの条件で変わります。ここに無い症状が出たときも、処方元に連絡してください。
- 起こりやすい人
- 誰にでも(20人の試験で全員)。
- 起こる時期
- 直後〜24時間、長い人で1週間。
- 備え
- 通常は当日中に引きます。
- 起こりやすい人
- 誰にでも。出力が高いほど。290人の集計で11.49%が痛みで施術困難。
- 起こる時期
- 施術中。
- 備え
- 表面麻酔は痛みを減らすが効果は変えない(84人の日本人の試験)。痛みを我慢して出力を上げるほど熱傷リスクが上がります。
- 起こりやすい人
- 出力設定、冷却不良、皮膚の薄い部位。
- 起こる時期
- 直後〜数日。
- 備え
- 施術の0.36〜2.7%。瘢痕が残った例あり。水ぶくれは写真を撮って即連絡。
- 起こりやすい人
- 痩せた人、脂肪の少ない部位、高出力。
- 起こる時期
- 数週間〜数か月後に判明。
- 備え
- 600回超の集計で1人(回復)。290人の集計でも報告あり。頬がこける変化は戻らないことがあります。
- 起こりやすい人
- 神経の浅い部位(こめかみ・下顎縁)。
- 起こる時期
- 直後〜数週間。
- 備え
- 290人の集計で報告。多くは一過性ですが、続く場合は受診。
- 起こりやすい人
- たるみが強い人、皮膚の余りが多い人。
- 起こる時期
- 3〜6か月後に判明。
- 備え
- 手術や注入剤には及ばない効果です。満足は半数。
⑤ やめるとき
1回で完結し、効果は6〜12か月持続すると施設は説明します。維持には半年〜1年ごとの追加照射が前提で、出口は定義されていません。
1回ごとの施術なので、次を受けなければ終わりです。医学的な離脱はありません。
引き締め効果は徐々に薄れ、加齢によるたるみは進みます。受けなかった場合より悪くなるというデータはありません。
1回払いが基本です。複数回のコース契約は特定商取引法の特定継続的役務(皮膚のたるみ・しわの除去で1か月超・5万円超)に当たれば中途解約できます。
⑥ 価格
A施設は600ショット372,130円+初診3,850円。B施設は300ショット初回297,000円・通常352,000円、600ショット初回385,000円・通常440,000円。C施設は初回20%OFFで300ショット352,000円・600ショット418,000円・900ショット(全顔+首)770,000円。D施設は300ショット154,000円・600ショット308,000円(麻酔別)。E施設は目もと(サーマクールアイ)121,000〜187,000円。同じ600ショットで最安と最高が約1.4倍、300ショットでは約2.3倍。5施設の確認で、相場ではありません。
未承認機器で公定価格はなく、表示価格がすべてです。価格はショット数(照射回数)で決まり、顔の大きさや部位で必要ショット数が変わるため、「全顔」の定義(首を含むか)を揃えて比べてください。6〜12か月ごとの追加が前提なので、年額で考えると30〜45万円です。観測日2026-09-05、施設名は扱いません。
⑦ 診察で聞くこと
そのまま読み上げられる形にしています。答えをはぐらかされた質問は、それ自体が判断の材料になります。
- 使う機器は国内未承認ですか。未承認である旨・入手経路・諸外国の安全性情報の説明を書面でもらえますか。
- 私のたるみの程度で、この施術で期待できる変化はどの程度ですか。手術や注入剤と比べてどうですか。
- 脂肪萎縮(頬のくぼみ)と熱傷のリスクを、私の顔の脂肪の量でどう見ていますか。
- ショット数(300/600/900)はどう決め、その差で効果はどう変わりますか。麻酔代は別ですか。
- 効果が出なかった場合の追加照射の条件と費用は。
関連する読みもの
出典
最終確認日 2026-09-05/内容をあらためたときは訂正の記録に残します。
- 日本美容外科学会(JSAPS)ほか「美容医療診療指針(令和3年度改訂版)」日美外報 2022;44 特別号 CQ2-1-2高周波によるしわ・たるみ治療は推奨度2(弱く推奨)。効果は手術・注入剤に及ばないが合併症の危険性が低い。Taubらのコホート(17人、6回照射)。PDF原文を確認(本文の一部は文字化け、推奨文と一部本文を判読)
- Fitzpatrick R, et al. Lasers Surg Med. 2003;33(4):232-24286人・119眼周囲。盲検評価で83.2%改善、満足50%、第2度熱傷0.36%、瘢痕3人。PubMed抄録で確認
- Fritz M, et al. Arch Facial Plast Surg. 2004;6(6):370-37320人。2回照射が1回より優位。全員に浮腫・紅斑、熱傷・瘢痕なし。PubMed抄録で確認
- Weiss RA, et al. J Drugs Dermatol. 2006;5(8):707-712/de Felipe I, et al. J Cosmet Dermatol. 2007;6(3):163-166600回超で一時的副作用2.7%・頬のくぼみ1人。290人・757回で第2度熱傷2.7%、痛み11.49%、脂肪萎縮・神経痛・顔面神経麻痺の報告。PubMed抄録で確認
- Wang Z, et al. Lasers Med Sci. 2026;41(1):39/Rohrich RJ, et al. Plast Reconstr Surg. 2022;150(4):771-780212人の非劣性RCT(実薬対照)。23文献の系統的レビュー: モノポーラRFは測定可能な改善、主要合併症はバイポーラより多い。PubMed抄録で確認
- Kushikata N, et al. Dermatol Surg. 2005;31(5):526-533日本人女性84人の無作為化試験。表面麻酔は痛みを減らすが出力上昇も効果の差ももたらさない。PubMed抄録で確認
- Bausch Health/Solta Medical プレスリリース 2017年10月4日「Solta Medical Receives FDA 510(k) Clearance for Thermage FLX System」FDA 510(k)クリアランス。顔・目・体の皮膚を非侵襲的に滑らかにする。原文ページを確認。510(k)番号は当サイト未確認
- 複数のクリニック公開ページ(2026-09-05確認、5施設)600ショット308,000〜440,000円、300ショット154,000〜352,000円、目もと121,000〜187,000円。未承認機器・個人輸入・国内承認機器なしの注記を2施設で確認。持続6〜12か月の記載。施設名は扱いません