自由診療の料金・リスク・根拠を、受ける前に。医院レポート5院 · 資料確認 2026-09-21
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輪郭・小顔

糸リフト(スレッドリフト)

別の言い方: スレッドリフト/溶ける糸/ショッピングスレッド/小顔リフト/たるみ治療

引き上がる報告は多くありますが、効果の大きさと持続の統合値は確認できません。一方、合併症の頻度は数字になっています。

結論 ── うたわれている効果は
効果の大きさは、まだ数字になっていません

引き上がること自体は多くの報告がありますが、「どれだけ・どれくらい持つか」を統合した数値を確認できませんでした。一方、合併症の頻度は2026年のメタ解析で数字になっています。

126件の研究・2,827名を統合した2026年のメタ解析があります。ただしこの解析が測ったのは合併症であって、効果の大きさではありません。効果の統合値は、この論文にも記載がありません。
2同じ論文で、追跡期間は4週間から30か月と幅があり、持続期間についての明確な記載はありません。「半年から1年半持つ」といった案内の根拠を、原著に見つけられませんでした。
3一方で合併症は数字になっています。腫れ34%、皮下出血26%、糸が見える・触れる10%、皮膚のへこみ7%、糸の露出5%、感染2%。
4つまりこの治療は、効果の大きさが不確かなまま、合併症の頻度だけがはっきりしている状態です。判断はそこを踏まえて行うことになります。
エビデンスの水準
—
合併症のメタ解析あり・効果の統合値は確認できず
承認の状況
承認製品と未承認製品が混在
価格の幅
1本 11,000〜55,000円
糸1本あたりの表示価格

① 国内で承認されている使い方

国内で医療機器としての承認を受けた糸と、医師が個人輸入した未承認の糸が混在しています。

対象
国内での承認
国内承認を受けた吸収性の糸
あります
医師が個人輸入した未承認の糸
使われることがあります
糸の素材
ポリジオキサノン(PDO)、ポリ乳酸(PLLA)など。吸収されるまでの期間が異なります
たるみに対する使用
製品ごとに承認された用途を確認する必要があります
—同じ「糸リフト」でも、使われる製品はさまざまです。製品名を聞けば、承認の有無をあとから自分で調べられます。
—未承認の医療機器による健康被害は、医薬品副作用被害救済制度の対象外です。
—「何本入れるか」で価格が決まる案内が一般的ですが、本数と効果の関係を示した統合データを当サイトでは確認できていません。

② 臨床試験で確かめられていること

皮膚を引き上げる方向の変化があること自体は、多くの症例報告と観察研究で示されています。

ただし、その変化がどれだけの大きさで、どれだけ続くのかを、複数の研究をまとめて数字にしたものを当サイトでは確認できませんでした。

研究間のばらつきが大きいことも報告されています。合併症のメタ解析では、多くの項目で異質性の指標が75〜92%と高く、糸の素材や手技による違いが大きいことを示しています。

施術者の技量による差が大きい治療とされ、手技の工夫で合併症が2%未満まで下がったとする報告もあります。裏を返せば、誰が行うかで結果が変わるということです。

糸リフトの合併症に関するメタ解析A meta-analysis of complications of thread lifting. Front Surg. 2026;13:1769458
誰に
顔面の糸リフトを受けた患者 計2,827名。2002〜2021年に発表された26研究を統合。追跡期間は4週間〜30か月
何を
顔面のスレッドリフト(糸の素材・手技は研究により異なる)
何と比べて
対照群なし(合併症の発生率を統合したもの)
どうなった
腫れ34%(95%CI 7〜34)、皮下出血26%(11〜51)、疼痛11%、糸が見える・触れる10%(5〜20)、皮膚のへこみ7%(4〜12)、知覚の異常6%(1〜26)、糸の露出5%(3〜8)、感染2%(1〜6)
効果の大きさ・持続期間の統合値同上(Front Surg. 2026;13:1769458)および当サイトによる文献調査
誰に
上記と同じ26研究
何を
顔面のスレッドリフト
何と比べて
該当なし
どうなった
この論文は合併症を対象としており、効果の大きさや持続期間の統合値の記載はありません。当サイトでも、効果を統合した数値を確認できませんでした

※ 別々の試験の数値を並べています。試験ごとに対象者・期間・条件が異なるため、本来、数値同士を直接比べることはできません。それを承知のうえで、目安として並べています。

③ まだ答えの出ていないこと

④ 副作用 ── 起こりやすい人・起こる時期・備え

添付文書と臨床試験の報告に基づきます。頻度や重さはあなたの条件で変わります。ここに無い症状が出たときも、処方元に連絡してください。

施術直後〜数日1〜2週間4週間以降数か月後腫れ皮下出血(内出血)痛み感染皮膚のへこみ(ディンプル)糸が見える・触れる糸の露出知覚の異常・しびれよくある重大(まれでも見逃さない)
図|副作用の起こる時期のめやす。下の各項目の「起こる時期」の記述を、当サイトが図にした定性的な整理です。幅には個人差があり、この図の外で起こることもあります。頻度の大小を示すものではありません。出典: 添付文書・臨床報告(詳細は下の各項目と出典欄)/加工: あり(時期の記述の図示)
腫れよくある
起こりやすい人
ほぼ誰にでも起こります。メタ解析では34%と報告されていますが、研究間のばらつきが大きい項目です。
起こる時期
施術直後から数日〜2週間ほど。自然に引くとされています。
備え
人前に出る予定は2週間以上あけるのが無難です。
皮下出血(内出血)よくある
起こりやすい人
誰にでも起こりえます。血液をさらさらにする薬を飲んでいる人は出やすくなります。
起こる時期
施術直後から1〜2週間。
備え
併用している薬は必ず申告してください。
痛みよくある
起こりやすい人
誰にでも起こりえます。メタ解析では11%。
起こる時期
施術中と、施術後数日〜数週間。口を大きく開けたときに引きつることがあります。
備え
強くなる痛みや、発熱を伴う痛みは感染のサインのことがあります。
糸が見える・触れる重大
起こりやすい人
皮膚が薄い人、脂肪の少ない人に起こりやすいとされます。メタ解析では10%。
起こる時期
施術から4週間以降に気づかれることが多い、後期の合併症です。
備え
自然に消えないことがあり、修正処置が必要になる場合があります。
皮膚のへこみ(ディンプル)重大
起こりやすい人
糸の引き方や留め方によって生じます。メタ解析では7%。
起こる時期
施術直後に生じることも、4週間以降に目立ってくることもあります。
備え
軽度なら時間で改善することもありますが、残る場合は修正が必要です。
知覚の異常・しびれ重大
起こりやすい人
神経の走行に近い部位に糸を通した場合。メタ解析では6%(1〜26%と幅が大きい)。
起こる時期
施術後から。多くは数週間〜数か月で回復するとされますが、長引く例もあります。
備え
顔の一部の感覚が鈍い状態が続く場合は、経過を報告してください。
糸の露出重大
起こりやすい人
皮膚の薄い部位、感染を起こした場合。メタ解析では5%。
起こる時期
施術から数週間以降。
備え
露出した糸は抜去が必要になります。放置しないでください。
感染重大
起こりやすい人
メタ解析では2%。糸という異物を入れるため、通常の注射より感染の管理が重要になります。
起こる時期
施術後数日〜数週間。
備え
発赤・熱感・強い痛み・膿。抗菌薬や糸の抜去が必要になることがあります。夜間・休診日の連絡先を確かめてください。

⑤ やめるとき

いつまで続けるのか

効果は永続しません。糸は数か月〜1年ほどで吸収されます。維持するなら繰り返し入れることが前提の治療です。ただし「何か月ごとに」の根拠になる統合データを、当サイトでは確認できていません。

途中でやめられるか

次を入れなければ、それで終わりです。ただし、すでに入っている糸を「なかったことにする」ことはできません。吸収されるまで待つか、外科的に抜去するかになります。

やめたらどうなるか

糸が吸収されるにつれて、引き上げの効果は失われていきます。元の状態に戻るとされていますが、繰り返し入れた後にやめた場合の長期の変化は、よく調べられていません。糸が見える・へこみが残るといった合併症は、やめても自然には消えないことがあります。

お金はどうなるか

都度払いが基本です。ただし本数×単価の掛け算なので、1回の総額が大きくなりがちです。修正処置や抜去が必要になった場合の費用が、最初の見積もりに含まれているかを確かめてください。

⑥ 価格

確認した範囲で約5倍。糸の種類(素材・とげの形状・長さ)が違うため、同じ物の差ではありません。加えて「1本いくら」の掛け算で総額が決まるため、必要本数の見積もりまで含めないと比較になりません。

医療機器を用いた施術には薬価にあたる公定価格がありません。表示価格の幅がそのままクリニック間の差です。本数×単価の総額と、修正が必要になったときの費用の扱いを、契約前に確かめてください。施設数を十分に集められていないため、相場ではありません。

⑦ 診察で聞くこと

そのまま読み上げられる形にしています。答えをはぐらかされた質問は、それ自体が判断の材料になります。

  1. 使用する糸の製品名を教えてください。国内で承認された製品ですか。
  2. 効果がどのくらい続くと見込んでいますか。その根拠になっている試験はありますか。
  3. 糸が見えたり、へこみが出たりした場合、どう対応しますか。追加費用はかかりますか。
  4. 感染が疑われるとき、夜間や休診日はどこに連絡すればよいですか。

関連する読みもの

出典

最終確認日 2026-08-27/内容をあらためたときは訂正の記録に残します。

  1. A meta-analysis of complications of thread lifting. Front Surg. 2026;13:1769458(DOI 10.3389/fsurg.2026.1769458)2002〜2021年の26研究・2,827名を統合。合併症の発生率を推定したもので、効果の大きさや持続期間の統合値は含まれていません。異質性が高く(I²=75〜92%)、英語文献のみ、後ろ向き研究が多いことが限界として挙げられています
  2. 薬機法にもとづく医療機器承認情報(PMDA)糸の製品名から承認の有無を確認できます
  3. 当サイトによる文献調査(2026-08-27)効果の大きさ・持続期間について統合された数値を探し、確認できませんでした。探した範囲を示すもので、世界に存在しないことの証明ではありません