自由診療の料金・リスク・根拠を、受ける前に。医院レポート5院 · 資料確認 2026-09-21
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卵子凍結(社会的適応)

別の言い方: 卵子凍結/未受精卵凍結/社会的卵子凍結/卵子凍結 費用/卵子凍結 助成 東京都/卵子凍結 何歳まで/卵子凍結 出産率/卵子凍結 保管料

「保険」のように売られますが、使うのは10人に1人、使って産めるのは3〜4人に1人。それでも、選ぶ価値がある人はいます。数字を見て決めてください。

結論 ── うたわれている効果は
将来の出産の可能性は上がります。ただし凍結した人のうち使う人は約1割、使った人のうち出産に至るのは28%です

健康な女性が将来のために卵子を凍結する「社会的適応」の卵子凍結です。8,750人の統合で、凍結した卵子を使いに戻った人は11.1%、使った人の出産率は28%(35歳以下52%、40歳以上19%)でした。卵子1個あたりの出産効率は6.4%です。日本生殖医学会は「採取時の年齢は36歳未満が望ましい」とし、2013年のガイドラインは「凍結・保存の実施を推奨するものではない」と明記しています。東京都は2023年10月から、年度により最大24〜30万円を助成しています。

18,750人・世界の研究を統合したメタ解析(2024)で、凍結した卵子を使いに戻った人は11.1%、使った人あたりの出産率は28%。35歳以下では52%、40歳以上では19%でした。
2スペインの1,468人の追跡(2016)では、戻った137人の出産率は35歳以下50%、36歳以上22.9%。8個の卵子で35歳以下40.8%・36歳以上19.9%、10〜15個で35歳以下は85.2%に達しました。米国の1,283個の融解卵子の解析では、卵子1個あたりの出産効率は6.4%でした。
3日本生殖医学会の2013年ガイドラインは「採取時の年齢は40歳以上は推奨できない」「使用時の年齢は45歳以上は推奨できない」とし、前文で「本ガイドラインは未受精卵子あるいは卵巣組織の凍結・保存の実施を推奨するものではない」「妊娠・分娩時期の先送りを推奨するものでもない」と明記。2018年の指針は「採取時の年齢は、36歳未満が望ましい」としました。
4東京都は2023年10月から、18〜39歳の都民に採卵・凍結時に上限20万円、以後の調査協力で1年ごと2万円(2028年度まで)を助成しています。年度により最大30万円(2023年度凍結)〜24万円(2026年度凍結)です。
エビデンスの水準
★★★
メタ解析あり・使う人は約1割・出産は3〜4人に1人
承認の状況
自由診療(東京都に助成制度あり)
価格の幅
採卵1回+凍結 約23〜48万円/保管料 年3.3〜4.95万円(3施設)
採卵1周期の総額(検査・刺激・採卵・凍結、税込)と年間保管料

① 国内で承認されている使い方

未受精卵子の凍結は、日本産科婦人科学会に登録した生殖補助医療の実施施設で行われる医療技術です。がん治療前の「医学的適応」と、加齢に備える「社会的適応」に分かれ、このページは後者です。保険は適用されません。日本生殖医学会がガイドライン(2013年)と指針(2018年)で年齢の目安と説明義務を定めています。

対象
国内での承認
社会的適応の卵子凍結
保険適用なし。日本生殖医学会:採取は36歳未満が望ましい(2018)、40歳以上は推奨できない・使用は45歳以上は推奨できない(2013)
医学的適応の卵子凍結(がん治療前など)
別の枠組み。国の妊孕性温存の助成事業がある
東京都の助成(2023年10月〜)
18〜39歳の都民、都の説明会参加と登録医療機関での実施が要件。上限20万円+調査協力で年2万円(2028年度まで)
凍結卵子を使った体外受精
融解・顕微授精・移植は別費用。東京都には1回上限25万円・最大6回の助成あり
—「卵子凍結は保険」という言い方は正確ではありません。保険は使えば戻ってきますが、卵子は使っても28%しか出産に至らず、9割の人はそもそも使いません。
—ガイドラインは医師に「予想される成績とリスク」「費用」の説明を求めています。あなたの年齢での出産率の見込みを、数字で説明してもらってください。
—40歳以上での採卵は「推奨できない」とされています。40歳以上で凍結した11人のうち出産に至ったのは1人という報告があります(2022年、イスラエル)。

② 臨床試験で確かめられていること

効果は「将来、自分の若い卵子で体外受精ができる」ことです。妊娠を保証するものではなく、可能性を上げるものです。

鍵は年齢と個数です。35歳以下で10〜15個あれば累積の出産率は85%に達しますが、36歳以上では11個で35.6%が上限でした。

使う人は少数です。米国の全国データでは2021年に16,436人が凍結し、戻った人は5.7%。多くの人は自然に妊娠するか、使わないまま保管を続けます。

日本人のまとまった追跡データを当サイトは確認できませんでした。国内の出産率の数字はクリニックの説明に頼るしかない状態です。

世界の研究の統合(メタ解析)Hirsch A, et al. Planned oocyte cryopreservation: a systematic review and meta-regression analysis. Hum Reprod Update. 2024;30(5):558-568
誰に
社会的適応で卵子を凍結した女性8,750人
何を
未受精卵子のガラス化凍結と、その後の融解・体外受精
何と比べて
対照群なし(成績の統合)
どうなった
凍結卵子を使いに戻った人 11.1%。使った人あたりの出産率 28%(35歳以下52%、40歳以上19%)
年齢と個数で見た出産率(スペイン)Cobo A, et al. Oocyte vitrification as an efficient option for elective fertility preservation. Fertil Steril. 2016;105(3):755-764
誰に
卵子を凍結した1,468人のうち、使いに戻った137人(9.3%)。凍結時の平均年齢37.7歳
何を
ガラス化凍結卵子を用いた体外受精
何と比べて
年齢群・個数群どうしの比較
どうなった
出産率: 35歳以下50%、36歳以上22.9%。累積出産率: 8個で40.8%(35歳以下)/19.9%(36歳以上)。35歳以下は10〜15個で85.2%に達し、36歳以上は11個で35.6%が上限。卵子の生存率85.2%
卵子1個あたりの効率(米国)Doyle JO, et al. Successful elective and medically indicated oocyte vitrification and warming for autologous in vitro fertilization. Fertil Steril. 2016;105(2):459-466
誰に
融解した1,283個の卵子(128周期)
何を
ガラス化凍結卵子の融解・受精・移植
何と比べて
新鮮卵子の周期
どうなった
卵子1個あたりの出産効率 6.4%。移植あたりの出産・継続妊娠率39%。受精率70% vs 72%、着床率43% vs 35%で新鮮卵子と同等
日本人の追跡データ当サイトによる文献調査(2026-09-05)
誰に
日本で社会的適応の卵子凍結をした女性
何を
凍結卵子の使用率と出産率
何と比べて
—
どうなった
PubMedで確認した2016〜2026年の主要研究15件はすべて海外(米国・スペイン・イスラエル)で、日本のまとまった追跡データは確認できませんでした。国内の出産率の説明は、海外データの引用かクリニック独自の集計です

※ 別々の試験の数値を並べています。試験ごとに対象者・期間・条件が異なるため、本来、数値同士を直接比べることはできません。それを承知のうえで、目安として並べています。

③ まだ答えの出ていないこと

④ 副作用 ── 起こりやすい人・起こる時期・備え

添付文書と臨床試験の報告に基づきます。頻度や重さはあなたの条件で変わります。ここに無い症状が出たときも、処方元に連絡してください。

刺激〜採卵(約2週間)採卵後数日〜2週間保管中(年単位)使うとき(融解・受精・移植)採卵に伴う出血・感染・麻酔の合併症卵巣過剰刺激症候群(OHSS)保管の中断・廃棄使わない・使っても出産に至らない高齢妊娠の周産期リスクよくある重大(まれでも見逃さない)
図|副作用の起こる時期のめやす。下の各項目の「起こる時期」の記述を、当サイトが図にした定性的な整理です。幅には個人差があり、この図の外で起こることもあります。頻度の大小を示すものではありません。後半の3本は身体の副作用ではなく、この選択に固有の「期待と結果のずれ」です。ガイドラインが説明を義務づけている項目でもあります。出典: 添付文書・臨床報告(詳細は下の各項目と出典欄)/加工: あり(時期の記述の図示)
卵巣過剰刺激症候群(OHSS)重大
起こりやすい人
若い人、多嚢胞性卵巣、卵胞がたくさん育つ人(AMH高値)。
起こる時期
採卵後数日〜2週間。
備え
腹部の張り・体重増加・息苦しさは受診を。刺激法と予防策(トリガーの種類)を聞いてください。
採卵に伴う出血・感染・麻酔の合併症重大
起こりやすい人
誰にでも。抗凝固薬・骨盤内の癒着がある人は出血しやすい。
起こる時期
採卵当日〜数日。
備え
腟から針を刺して卵巣から採る手技です。強い腹痛・発熱は受診を。
保管の中断・廃棄重大
起こりやすい人
保管料の支払いが止まった人、施設が閉院・移転した人、意思確認の連絡がつかない人。
起こる時期
保管中(年単位)。
備え
ガイドラインは施設に定期的な意思確認を求めています。連絡先の更新と、施設が保管を続けられなくなったときの移送先を確認してください。
使わない・使っても出産に至らない重大
起こりやすい人
受けたすべての人。使う人は約1割、使った人の出産率は28%。
起こる時期
使うとき(年単位あと)。
備え
「凍結したから安心」と出産時期を先送りすると、使う時点の年齢が上がり、周産期リスクが増えます。指針は「加齢による周産期リスクの上昇を十分に考慮する」よう求めています。
高齢妊娠の周産期リスク重大
起こりやすい人
凍結卵子を使う時点で40代の人。
起こる時期
使うとき(妊娠中〜分娩)。
備え
卵子の年齢は若くても、母体の年齢は上がります。妊娠高血圧・帝王切開・早産などのリスクは母体年齢に依存します。

⑤ やめるとき

いつまで続けるのか

保管は年単位の更新です。ガイドラインは「生殖可能年齢を過ぎた場合は、通知の上で破棄することができる」としています。いつまで保管するかは、自分で決める必要があります。

途中でやめられるか

いつでも保管をやめられます。やめる=廃棄です。破棄の意思表示、または死亡で廃棄されます。

やめたらどうなるか

卵子は戻りません。廃棄した卵子を研究に使うことに同意する選択肢があります。

お金はどうなるか

保管料は年額で、払わなければ廃棄の手続きに進むのが通常です。採卵・凍結の費用は使わなくても戻りません。使うときの費用は別建てです。

⑥ 価格

A施設は診察・検査・卵巣刺激約15万円+採卵16.5万円+材料約3万円+凍結3.3万円(1〜3個)〜13.2万円(10〜12個)で約38〜48万円、保管料は年ごと。B施設は卵子凍結一律44万円に初診3,300円・検査29,150円・術前血液12,100円、保管49,500円/年(更新2026年8月20日)。C施設は診察約3万円+誘発5〜10万円+採卵11万円+麻酔2.2〜5.5万円+凍結3.3万円/本・年で約23〜33万円、2回目採卵5.5万円。使うときは融解2.2万円/容器+顕微授精18.7万円+胚盤胞培養5.5万円+受精卵凍結3.3万円が別。最安と最高で約2倍。3施設の確認で、相場ではありません。

公定価格はありません。表示価格がすべてです。「採卵1回の価格」だけで比べず、必要な個数に届くまでの採卵回数、保管料×年数、使うときの費用を足した総額で考えてください。東京都の助成(上限20万円+年2万円)は登録施設・説明会参加が要件です。観測日2026-09-05、施設名は扱いません。

⑦ 診察で聞くこと

そのまま読み上げられる形にしています。答えをはぐらかされた質問は、それ自体が判断の材料になります。

  1. 私の年齢とAMH(卵巣予備能)で、1回の採卵で何個採れる見込みですか。必要とされる8〜15個に届くには何回必要ですか。
  2. 私の年齢で凍結した場合、使ったときの出産率はどのくらいですか。この施設の実績の数字を教えてください。
  3. 使うときの費用(融解・顕微授精・培養・移植)は総額いくらですか。保管料は年いくらで、払えなくなったときや施設が閉じたときはどうなりますか。
  4. 東京都の助成の登録医療機関ですか。助成の要件(説明会・年齢)を満たしていますか。
  5. 使わなかった卵子の扱い(廃棄・研究利用)はどう決めますか。

関連する読みもの

出典

最終確認日 2026-09-05/内容をあらためたときは訂正の記録に残します。

  1. 日本生殖医学会倫理委員会「未受精卵子および卵巣組織の凍結・保存に関するガイドライン」2013年11月15日(社会的適応による未受精卵子あるいは卵巣組織の凍結・保存のガイドライン PDF)採取時の年齢は40歳以上は推奨できない、使用時の年齢は45歳以上は推奨できない。前文「本ガイドラインは未受精卵子あるいは卵巣組織の凍結・保存の実施を推奨するものではない」「妊娠・分娩時期の先送りを推奨するものでもない」。インフォームド・コンセントで成績とリスク・費用を説明。学会サイトの原文とPDFを確認
  2. 日本生殖医学会倫理委員会報告「未受精卵子および卵巣組織の凍結・保存に関する指針」平成30年3月30日医学的適応のない場合「採取時の年齢は、36歳未満が望ましい」「凍結保存した未受精卵子等の使用にあたっては、加齢による周産期リスクの上昇を十分に考慮する」。定期的な意思確認、施設要件。学会サイトの原文を確認
  3. 東京都福祉局「卵子凍結に係る費用の助成 事業の概要」2023年10月開始。採卵時18〜39歳の都民、不妊治療目的は対象外。採卵・凍結時上限20万円、調査協力で1年ごと2万円(2028年度まで)。年度別最大額30万円(2023年度)〜24万円(2026年度)。説明会参加と登録医療機関が要件。原文ページを確認
  4. Hirsch A, et al. Planned oocyte cryopreservation: a systematic review and meta-regression analysis. Hum Reprod Update. 2024;30(5):558-5688,750人。使用に戻った11.1%、出産率28%(35歳以下52%、40歳以上19%)。PubMed抄録で確認
  5. Cobo A, et al. Oocyte vitrification as an efficient option for elective fertility preservation. Fertil Steril. 2016;105(3):755-7641,468人中137人が使用。出産率35歳以下50%、36歳以上22.9%。8個・10〜15個の累積出産率。PubMed抄録で確認
  6. Doyle JO, et al. Fertil Steril. 2016;105(2):459-4661,283個の融解卵子。卵子1個あたりの出産効率6.4%。PubMed抄録で確認
  7. Tsafrir A, et al. Clinical outcome of planned oocyte cryopreservation at advanced age. J Assist Reprod Genet. 2022;39(11):2625-2633446人中57人が使用、出産13人(27%)。40歳以上で凍結した11人のうち出産1人。「40歳になる前に完了するよう助言すべき」。PubMed抄録で確認
  8. Lee MB, et al. Am J Obstet Gynecol. 2026;234(2):432-439米国の全国データ。2021年に16,436人が凍結(2014年4,153人)。使用に戻った5.7%、累積出産率28.9%。PubMed抄録で確認
  9. 複数のクリニック公開ページ(2026-09-05確認、3施設)採卵1周期+凍結 約38〜48万円/44万円一律+検査4.5万円/約23〜33万円、保管料 年3.3万円(本数制)〜4.95万円、使用時の費用(融解2.2万円、顕微授精18.7万円など)。施設名は扱いません