自由診療の料金・リスク・根拠を、受ける前に。医院レポート5院 · 資料確認 2026-09-21
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エムスカルプト(HIFEM・筋肉を鍛える痩身機器)

別の言い方: エムスカルプト/エムスカルプトNEO/EMSCULPT/HIFEM/筋肉 痩身 機器/腹筋 2万回 機器/寝ながら 筋トレ 医療/エムスカルプト 効果 ない/エムスカルプト 料金/EMS 医療

「寝ているだけで腹筋2万回」は宣伝としては正しい。論点は、2万回の収縮が生む変化が「数mm」であり、それが鏡に映るかどうかです。

結論 ── うたわれている効果は
腹部の脂肪が数mm薄くなり筋肉が数mm厚くなる効果は、偽照射と比べた試験で示されています。ただし体重は減らず、変化は「5mm未満」の規模です

強い磁場で筋肉を1回30分に約2万回収縮させる機器です。偽照射(5%出力)と比べた無作為化試験(72人、腹部、週1回3回)では、3か月後に超音波で脂肪の厚みが28.3%(7.6mm)減り、筋肉が24.2%(2.3mm)厚くなり、偽照射群は変化なしでした。一方、14研究の系統的レビューは、脂肪の減少が平均5.5mm、筋肉の増加が2.2mmで「治療効果は非常に小さい」とし、研究の多くが製造元の顧問による点を指摘しています。体重は減りません(−0.2kg)。国内未承認で医師の個人輸入ですが、「厚労省承認」と書く施設もあり、承認の有無の確認が必要です。1回10,000〜88,000円、4回で38,000〜308,000円と施設で8倍の差があります。

1Samuels 2022(72人、偽照射対照・無作為化、腹部、週1回×3回): 3か月後の超音波で脂肪厚−28.3%(7.6±3.7mm)、筋肉厚+24.2%(2.3±0.9mm)。偽照射群(5%出力)は変化なし。6か月まで維持。有害事象なし。
2Kinney 2019(22人、MRI、4回): 2か月後に脂肪厚−18.6%、腹直筋厚+15.4%、腹直筋離開−10.4%(いずれもp<0.0001)、臍下周囲径−3.8cm、体重−0.5ポンド(約0.2kg、有意でない)。6か月で維持。BMI正常(18.5〜24.9)で効果が大きい。
3Swanson 2023(14研究の系統的レビュー): 脂肪厚の減少は平均5.5mm、筋肉厚の増加は2.2mm、腹直筋離開−2.9mm。「有効性の根拠は薄弱。測定された治療効果は非常に小さい(<5mm)」。「研究の多くは機器製造元の顧問が著者」。
4国内では承認されておらず、施設は「医薬品医療機器等法上の承認を得ていない未承認医療機器」「医師等の個人輸入」と明記。一方で「厚生労働省承認の磁気刺激装置」と表示する施設もあり、記載が食い違っています。
エビデンスの水準
★★
偽照射対照の無作為化試験1件(72人)・多くは製造元関係者の非対照研究・国内未承認
承認の状況
未承認機器(医師の個人輸入・自由診療)
価格の幅
1回 10,000〜88,000円、4回コース 38,000〜308,000円(1部位、5施設)
1部位1回の表示価格(税込)

① 国内で承認されている使い方

エムスカルプト(BTL社)は高強度焦点式電磁(HIFEM)で筋肉を収縮させる機器で、後継のエムスカルプトNEOは高周波(RF)を同時に出します。米国では腹部の筋緊張の改善・腹筋の強化、臀部・大腿・上腕・下腿の引き締めなどの目的でFDA 510(k)クリアランスを得ています。日本では承認されておらず、医師の個人輸入で使われています。施設によって「未承認」と「厚労省承認」の記載が食い違うため、機器の製品名と承認番号を聞いてください。

対象
国内での承認
エムスカルプト(HIFEM)
国内未承認(施設の注記で確認)。FDA 510(k): 腹部の筋緊張改善・腹筋強化、臀部・大腿・下腿・上腕の引き締め
エムスカルプトNEO(HIFEM+高周波)
国内未承認(施設の注記で確認)。FDA 510(k)。研究7件はすべて製造元顧問の著者(Swanson 2025)
エムセラ(骨盤底筋用の椅子型HIFEM)
尿失禁目的。7研究のメタ解析で症状スコア改善、質は低い(別の適応)
家庭用・エステのEMS
医療機器ではないものが多い。出力が異なり同列に比べられない
—ペースメーカー・除細動器・金属インプラント・妊娠中・てんかん・心疾患は禁忌または慎重です。施設の禁忌リストは概ね一致しています。
—「痩身」「体重減少」の効果は示されていません。試験でも体重は変わりませんでした。脂肪の「厚み」が数mm減るのと「痩せる」は別です。
—皮下脂肪が厚い人(BMIが高い人)では効果が小さいとされます。試験の対象はBMI正常〜軽度過体重が中心です。

② 臨床試験で確かめられていること

筋肉は厚くなります(2〜3mm)。運動で得られる変化と同じ方向で、機器が「効かない」わけではありません。

脂肪は薄くなります(5〜8mm)。ただし体重は変わらず、部分的な厚みの変化です。

見た目の変化は「写真で分かる程度」が多く、系統的レビューは「標準化されていない写真」「未治療部位の説明できない変化」を指摘しています。

効果は3〜6か月維持されますが、運動と同じく、続けなければ戻ると考えるのが自然です。維持照射の必要性を示すデータはありません。

偽照射対照の無作為化試験Samuels JB, Katz B, Weiss RA. Radiofrequency Heating and High-Intensity Focused Electromagnetic Treatment Delivered Simultaneously: The First Sham-Controlled Randomized Trial. Plast Reconstr Surg. 2022;149(5):893e-900e
誰に
腹部の引き締めを希望する72人(実照射48人・偽照射24人)
何を
HIFEM+高周波(エムスカルプトNEO)、週1回×3回、最大出力
何と比べて
偽照射(5%出力)
どうなった
3か月後(超音波): 脂肪厚−28.3%(7.6±3.7mm)、筋肉厚+24.2%(2.3±0.9mm)。1か月後は−20.5%/+21.5%。偽照射群は有意な変化なし。6か月まで維持。有害事象なし
MRIによる非対照試験Kinney BM, Lozanova P. High intensity focused electromagnetic therapy evaluated by magnetic resonance imaging: Safety and efficacy study of a dual tissue effect based non-invasive abdominal body shaping. Lasers Surg Med. 2019;51(1):40-46
誰に
22人
何を
HIFEM(エムスカルプト)4回
何と比べて
対照群なし(治療前との比較)
どうなった
2か月後: 脂肪厚−18.6%、腹直筋厚+15.4%、腹直筋離開−10.4%(p<0.0001)、臍下周囲径−3.8cm、体重−0.5ポンド(有意でない)。6か月で維持。BMI正常で効果大
系統的レビュー(批判的評価)Swanson E. A Systematic Review of Electromagnetic Treatments for Body Contouring. Ann Plast Surg. 2023;90(2):180-188
誰に
14の臨床研究(腹部・側腹・臀部・大腿・上腕・下腿)
何を
HIFEM
何と比べて
研究ごとの対照(多くは対照なし)
どうなった
脂肪厚−5.5mm、筋肉厚+2.2mm、腹直筋離開−2.9mm(平均)。「有効性の根拠は薄弱。測定された治療効果は非常に小さい(<5mm)」。研究の多くは製造元の顧問が著者で利益相反を指摘

この数値はレビュー論文を通じて確認したものです。原著論文そのものの確認は済んでいません。

系統的レビュー(製造元関連の総括)Kohan J, et al. Aesthetic Plast Surg. 2024;48(6):1156-1165/Swanson E. Ann Plast Surg. 2025;94(2):250-256
誰に
15研究(エムスカルプト11・NEO2)/NEOの7研究
何を
HIFEM/HIFEM+高周波、標準は4回(2〜4週)
何と比べて
研究ごとの対照
どうなった
Kohan: 腹部で脂肪−5.5mm・筋肉+2mm、全研究で満足度高い、有害事象なし、背景因子の未報告あり。Swanson 2025: 脂肪−8.0mm・筋肉+5.5mm、「7研究すべてがBTLの顧問による」「臨床的に意味のある結果の信頼できる根拠は得られない」。PubMed抄録で確認

この数値はレビュー論文を通じて確認したものです。原著論文そのものの確認は済んでいません。

※ 別々の試験の数値を並べています。試験ごとに対象者・期間・条件が異なるため、本来、数値同士を直接比べることはできません。それを承知のうえで、目安として並べています。

③ まだ答えの出ていないこと

④ 副作用 ── 起こりやすい人・起こる時期・備え

添付文書と臨床試験の報告に基づきます。頻度や重さはあなたの条件で変わります。ここに無い症状が出たときも、処方元に連絡してください。

施術中〜直後翌日〜数日1〜3か月半年〜禁忌に該当する人の重大事象(ペースメーカー・金属・妊娠・てんかん)皮膚の赤み・一時的な筋肉のけいれん筋肉痛・だるさ効果不足(見た目が変わらない)やめたときの戻りよくある重大(まれでも見逃さない)
図|副作用の起こる時期のめやす。下の各項目の「起こる時期」の記述を、当サイトが図にした定性的な整理です。幅には個人差があり、この図の外で起こることもあります。頻度の大小を示すものではありません。重大な帯は禁忌の人が受けた場合のもので、適応を守れば有害事象の報告はほぼありません。出典: 添付文書・臨床報告(詳細は下の各項目と出典欄)/加工: あり(時期の記述の図示)
筋肉痛・だるさよくある
起こりやすい人
誰にでも。
起こる時期
当日〜翌日以降数日。
備え
運動後と同じ性質です。
皮膚の赤み・一時的な筋肉のけいれんよくある
起こりやすい人
誰にでも。
起こる時期
直後。
備え
数時間で引きます。
禁忌に該当する人の重大事象(ペースメーカー・金属・妊娠・てんかん)重大
起こりやすい人
植込み型電子機器、金属インプラント、妊娠中、てんかんの既往、心疾患。
起こる時期
施術中。
備え
施設の禁忌リストで自分に該当がないか確認。該当すれば受けられません。
効果不足(見た目が変わらない)よくある
起こりやすい人
皮下脂肪が厚い人、体重減少を期待した人。
起こる時期
4回終了後1〜3か月。
備え
変化は数mmです。体重は減りません。
やめたときの戻りよくある
起こりやすい人
受けたすべての人。
起こる時期
3〜6か月後〜。
備え
維持照射を勧められますが、必要性のデータはありません。

⑤ やめるとき

いつまで続けるのか

4回(週1〜2回)が1クール。その後「月1〜2回の維持」を勧める施設がありますが、維持照射の必要性を示すデータはありません。

途中でやめられるか

いつでもやめられます。回数コースは特定商取引法の特定継続的役務(脂肪の減少で1か月超・5万円超)に当たれば中途解約できます。

やめたらどうなるか

運動と同様、続けなければ筋肉は元に戻ると考えられます。6か月までは維持されたという報告があります。

お金はどうなるか

コース契約の残回数の精算方法を契約前に確認。「お試し価格」の後に高額コースを勧められる構図に注意。

⑥ 価格

A施設は1回33,000円・4回99,000円(2026年7月改定)。B施設は腹部または臀部1回33,000円。C施設は1回88,000円・4回308,000円(初回限定120,000円)、4〜10回を推奨。D施設は4回160,000円。E施設はお試し10,000円・4回38,000円(初診1,100円・再診550円別)、週2回×4週の計8回を推奨。4回コースで最安と最高が約8倍。推奨回数も4回から8〜10回まで施設で異なり、総額はさらに開きます。5施設の確認で、相場ではありません。

未承認機器で公定価格はなく、表示価格がすべてです。同じ機器で8倍の差がつく施術は、価格が機器の価値を表していません。「4回」の定義(1部位か、腹部+臀部か)と推奨回数を揃えて比べてください。観測日2026-09-05、施設名は扱いません。

⑦ 診察で聞くこと

そのまま読み上げられる形にしています。答えをはぐらかされた質問は、それ自体が判断の材料になります。

  1. 使う機器の製品名と、国内承認の有無(承認番号)を教えてください。未承認なら個人輸入である旨の説明を書面でもらえますか。
  2. 試験で示された効果は「脂肪の厚み5〜8mm減、筋肉2〜3mm増、体重は変わらず」です。私の場合に見た目で分かる変化を期待できますか。
  3. ペースメーカー・金属・妊娠・てんかん・心疾患の確認をしましたか。
  4. 4回コースの価格に初診料・再診料は含まれますか。効果がなかったときの追加照射は勧めますか。

関連する読みもの

出典

最終確認日 2026-09-05/内容をあらためたときは訂正の記録に残します。

  1. Samuels JB, Katz B, Weiss RA. Plast Reconstr Surg. 2022;149(5):893e-900e72人、偽照射(5%出力)対照。3か月で脂肪−28.3%(7.6mm)、筋肉+24.2%(2.3mm)。PubMed抄録で確認
  2. Kinney BM, Lozanova P. Lasers Surg Med. 2019;51(1):40-46/Kent DE, Jacob CI. J Drugs Dermatol. 2019;18(11):1098-110222人MRI(脂肪−18.6%、筋肉+15.4%、体重−0.5ポンド)、22人CT(脂肪−17.5%、筋肉+14.8%、腹囲−3.9cm)。対照なし。PubMed抄録で確認
  3. Swanson E. Ann Plast Surg. 2023;90(2):180-188/Swanson E. Ann Plast Surg. 2025;94(2):250-25614研究(脂肪−5.5mm・筋肉+2.2mm、根拠は薄弱、製造元顧問が著者)、NEO7研究(すべてBTL顧問、信頼できる根拠なし)。PubMed抄録で確認したため二次資料扱い
  4. Kohan J, et al. Aesthetic Plast Surg. 2024;48(6):1156-116515研究の系統的レビュー。腹部で脂肪−5.5mm・筋肉+2mm。PubMed抄録で確認したため二次資料扱い
  5. Alexiades M. J Drugs Dermatol. 2019;18(11):1088FDAの使用目的(腹部の筋緊張改善・腹筋強化、臀部・大腿・下腿の引き締め)の記載。PubMed抄録で確認したため二次資料扱い(FDA文書本体は未確認)
  6. 複数のクリニック公開ページ(2026-09-05確認、5施設)33,000円/4回99,000円、33,000円、88,000円/4回308,000円、4回160,000円、お試し10,000円/4回38,000円。「未承認医療機器・医師等の個人輸入」の注記を1施設で、「厚生労働省承認」の記載を2施設で確認(食い違い)。施設名は扱いません