ミラドライ(わき汗・わきが)
汗には根拠と承認があります。においには承認がありません。同じ機械でも、何のために受けるかで「承認内か外か」が変わります。
5.8GHzのマイクロ波で皮膚の下の汗腺を壊す機器で、2018年に「重度の原発性腋窩多汗症」の治療機器として国内承認されました(承認番号23000BZX00161000、クラスIII)。偽照射と比べた120人の無作為化試験では、30日後に汗の重症度スコアが1〜2に改善した人が89% vs 54%、照射群は12か月後も69%でした。美容医療診療指針は「弱く推奨」です。一方、承認された適応はわき汗で、わきが(腋臭症)は含まれません。確認した3施設のうち1施設は「わきがも承認適応に含まれる」と案内していました。
① 国内で承認されている使い方
ミラドライシステムは2018年6月に「重度の原発性腋窩多汗症」の治療機器として国内承認された、クラスIIIの高度管理医療機器です。わきが(腋臭症)は承認された使用目的に含まれず、その目的での使用は適応外です。保険は適用されません。重度の原発性腋窩多汗症には保険適用の外用薬・注射もあります。
② 臨床試験で確かめられていること
わき汗への効果は、偽照射との比較で示されています。30日で89% vs 54%。偽照射でも54%が改善したと答えた点は、汗の自己評価が主観的だという意味でもあります。
12か月で69%に下がります。効果は永久ではなく、減った汗腺の一部が回復するか、残った汗腺が働くと考えられます。製造販売元は海外の追跡で最長2年の持続を示すとしています。
においについては、承認試験がなく、クリニックの案内(70〜80%減少など)は自社の経験や小規模な報告に基づきます。
指針は効果をボツリヌス注射に匹敵とし、合併症は少ないとしています。ボツリヌス注射は数か月で切れる代わりに保険が使える場合があり、費用と持続で比べる相手です。
- 誰に
- 原発性腋窩多汗症の120人(照射81人、偽照射39人)
- 何を
- マイクロ波機器による腋窩への照射
- 何と比べて
- 偽照射(機器を当てるが照射しない)
- どうなった
- 30日後にHDSSが1または2に改善: 89%(72/81)vs 54%(21/39)、p<0.001。照射群は3か月74%、12か月69%。有害事象はおおむね軽度で1例を除き消失
- 誰に
- 腋窩多汗症の患者
- 何を
- マイクロ波治療
- 何と比べて
- ボツリヌス菌毒素製剤注入療法
- どうなった
- 推奨度2。「効果はボツリヌス菌毒素製剤注入療法に匹敵し、熱傷や瘢痕形成など合併症の頻度も少なく、安全性は比較的高い」
- 誰に
- 腋臭症の人
- 何を
- ミラドライ
- 何と比べて
- 偽照射・無治療
- どうなった
- においを主要評価項目にした無作為化試験は確認できませんでした。承認の使用目的にも含まれていません。クリニックの「70〜80%減少」は施設独自の説明です
- 誰に
- 添付文書に記載された臨床試験
- 何を
- ミラドライシステム
- 何と比べて
- —
- どうなった
- PMDAの添付文書PDFは当サイトの取得時にリンク切れで、承認時の臨床成績の原文は未確認です。製造販売元の製品情報(承認番号・使用目的)とGlaser 2012で代替しています
※ 別々の試験の数値を並べています。試験ごとに対象者・期間・条件が異なるため、本来、数値同士を直接比べることはできません。それを承知のうえで、目安として並べています。
③ まだ答えの出ていないこと
- におい(腋臭症)への効果を、においの客観指標で測った試験。
- 2年以降の効果の持続と、再照射の必要率。
- 軽症〜中等症の多汗症での効果(承認試験は重度が対象)。
- 日本人での有害事象(知覚鈍麻・硬結)の頻度と持続期間。
④ 副作用 ── 起こりやすい人・起こる時期・備え
添付文書と臨床試験の報告に基づきます。頻度や重さはあなたの条件で変わります。ここに無い症状が出たときも、処方元に連絡してください。
- 起こりやすい人
- 誰にでも。
- 起こる時期
- 施術当日〜数週間。
- 備え
- 3施設とも記載。数日〜2週間で引くのが通常です。
- 起こりやすい人
- 誰にでも。上腕内側に及ぶことがある。
- 起こる時期
- 数週間〜数か月。
- 備え
- 多くは時間とともに改善しますが、残る例が報告されています。
- 起こりやすい人
- 誰にでも。
- 起こる時期
- 数週間〜数か月。
- 備え
- 皮下のしこり感。徐々に消えるのが通常です。
- 起こりやすい人
- 冷却が不十分な場合、皮膚の薄い人。
- 起こる時期
- 施術中〜直後。
- 備え
- 機器は冷却機能で表皮を守る設計ですが、熱傷の報告があります。
- 起こりやすい人
- 誰にでも。
- 起こる時期
- 数日。
- 備え
- 腫れが強くなる、熱をもつ、膿が出るは受診を。
- 起こりやすい人
- 傾向は確立していません。
- 起こる時期
- 数か月。
- 備え
- わき以外の汗が増える現象。クリニックが副作用として挙げています。
- 起こりやすい人
- 照射範囲が腕側に及んだ場合。
- 起こる時期
- 数週間〜。
- 備え
- まれですが、腕のしびれ・動かしにくさが報告されています。
⑤ やめるとき
1回で完結する設計です。効果が戻った場合の再照射(2回目)が用意されています。何回まで安全かのデータを当サイトは確認していません。
1回で終わるため、やめる・続けるの判断は「再照射するか」だけです。
壊れた汗腺は戻らないとされますが、12か月で改善者が69%に下がることから、効果は一部戻ると考えられます。
1回払いが基本です。再照射の割引価格と期限を確認してください。
⑥ 価格
A施設は両脇2パス363,000円(モニター246,400円、再照射246,400円、チップ・局所麻酔・薬・再診料込み)。B施設は標準照射242,000円・強化照射297,000円(再治療176,000円)。C施設はシングル165,000円・広範囲ダブル264,000円(初診・麻酔・薬代込み、土日は20%増し)。最安と最高で2.2倍。「1パス」「シングル」「ダブル」の照射回数の違いが価格差の中身です。3施設の確認で、相場ではありません。
承認機器ですが保険適用がなく、公定価格はありません。表示価格がすべてです。効果が12か月で69%に下がる機器なので、再照射の価格と条件を最初に確認してください。「土日は20%増し」のような加算にも注意。観測日2026-09-05、施設名は扱いません。
⑦ 診察で聞くこと
そのまま読み上げられる形にしています。答えをはぐらかされた質問は、それ自体が判断の材料になります。
- 使う機器は承認番号23000BZX00161000のミラドライ正規品ですか。
- 私の目的は汗ですか、においですか。においは承認の適応外だと理解していますか。
- 私の多汗症は「重度」(HDSS3〜4)ですか。保険適用の外用薬や注射を先に試す選択肢はありますか。
- 効果が戻ったときの再照射の条件と費用はいくらですか。
関連する読みもの
出典
最終確認日 2026-09-05/内容をあらためたときは訂正の記録に残します。
- 株式会社ジェイメック miraDry製品情報ページ(2026-09-05確認)承認番号23000BZX00161000、クラスIII高度管理医療機器・特定保守管理医療機器、使用目的「重度の原発性腋窩多汗症を治療するために使用する機器」、海外臨床試験で最長2年の持続。腋臭症は使用目的に含まれない。製造販売元のページ。PMDAの添付文書PDFは取得時にリンク切れで未確認
- Glaser DA, et al. A randomized, blinded clinical evaluation of a novel microwave device for treating axillary hyperhidrosis: the dermatologic reduction in underarm perspiration study. Dermatol Surg. 2012;38(2):185-191120人、偽照射対照。30日でHDSS1〜2への改善89% vs 54%、12か月69%。PubMed抄録で確認
- 美容医療診療指針(令和3年度改訂版)CQ4-1「腋窩多汗症にマイクロ波治療は有効か?」推奨度2。効果はボツリヌス注射に匹敵、合併症は少なく安全性は比較的高い。PDF原文を確認
- 複数のクリニック公開ページ(2026-09-05確認、3施設)両脇165,000〜363,000円、再照射176,000〜246,400円。2施設は腋臭症が承認適応に含まれないと明記、1施設は含まれると案内。副作用として腫れ・出血・熱傷・感染・知覚異常・代償性発汗などを記載。施設名は扱いません