自由診療の料金・リスク・根拠を、受ける前に。医院レポート5院 · 資料確認 2026-09-21
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HARG療法

別の言い方: HARG療法/ハーグ療法/HARG+/成長因子 注射 薄毛/幹細胞培養上清 頭皮/エクソソーム 頭皮 注射/毛髪再生 注射/HARG 効果 ない/HARG 料金/AAPE

「発毛の成長因子を直接届ける」理屈は分かりやすい。問題は、その理屈を検証した試験のほとんどが、売っている側の手によるもので、対照がないことです。

結論 ── うたわれている効果は
効くかどうかが、比べる試験で調べられていません。日本皮膚科学会のガイドラインは「行わないほうがよい」(C2)です

HARG療法は、成長因子や脂肪由来幹細胞の培養上清(施設によってはエクソソーム)を頭皮に注射する施術です。日本皮膚科学会の脱毛症診療ガイドライン(2017)は、成長因子導入・細胞移植療法を推奨度C2「行わないほうがよい」とし、「安全性なども含め、その有効性は決して十分に検証されているとはいえない」と書いています。発表されている研究は、施術を提供する施設自身による症例集積(22人・40人)が中心で、半側に生理食塩水を打って比べた報告は10人、二重盲検の無作為化試験は海外の1件(ミノキシジル併用)だけです。成長因子製剤は国内未承認で、1回66,000〜198,000円、6回で40万〜120万円です。

1脱毛症診療ガイドライン2017 CQ13: 「成長因子導入および細胞移植療法は行わないほうがよい」(推奨度C2)。解説: 「これらの臨床試験の多くは、限られた施設における、倫理委員会の承認を必要とする先進医療の段階にあり、安全性なども含め、その有効性は決して十分に検証されているとはいえない」「現時点では広く一般に実施できるとは言い難い」。
2Fukuoka 2015(22人、うち10人は半側に生理食塩水): 脂肪由来幹細胞培養上清を3〜5週ごとに6回。毛髪数は「有意に増加」し、対照側より増加が大きかったが、本数の数値は抄録に記載なし。著者は施術を提供する美容外科の所属。Narita 2020(40人): 月1回6か月で毛髪密度と成長期率が増加。同じ施設の報告。
3系統的レビュー(Ortega-Cuartiella 2023、11研究): 無作為化試験は1件のみ、多くは症例集積で、推奨レベルは「D」。「さらなる無作為化試験を支持する程度には一貫している」が、効果の大きさは統合できず。
4成長因子製剤・培養上清は医薬品としての承認がなく、施設は「医薬品医療機器等法上の承認を得ていない未承認医薬品」と明記しています。HARGカクテルの中身(成長因子の種類・濃度、エクソソームの量)は施設ごとに異なり、標準化されていません。
エビデンスの水準
◆
学会ガイドライン推奨度C2(行わないほうがよい)・対照のある試験は施術側の小規模報告のみ・未承認
承認の状況
未承認(自由診療・院内調製)
価格の幅
1回 66,000〜198,000円、6回コース 418,000〜1,188,000円(3施設)
1回の表示価格(税込・範囲と製剤で異なる)

① 国内で承認されている使い方

HARG療法(Hair Re-generative therapy)は、成長因子を含む製剤(当初はAAPEと呼ばれる脂肪由来幹細胞培養上清タンパク)を頭皮に注射する方法で、「日本医療毛髪再生研究会」の認定施設で行われます。製剤は医薬品としての承認がなく、施設が調製・購入して医師の責任で使います。同じ「HARG」の名前でも、成長因子カクテル、幹細胞培養上清、エクソソーム製剤と中身が施設で違います。承認された薄毛治療(フィナステリド・デュタステリド内服、ミノキシジル外用)とは別物です。

対象
国内での承認
HARG療法・HARG+(成長因子カクテル/幹細胞培養上清の頭皮注射)
未承認医薬品。院内調製。ガイドライン推奨度C2(行わないほうがよい)
エクソソーム製剤の頭皮注射
未承認。厚労省が2024年に注意喚起(別ページ「エクソソーム」)
PRP(多血小板血漿)の頭皮注射
再生医療等安全性確保法の届出が必要。ガイドラインでは成長因子導入と同じCQ13でC2
承認された治療(フィナステリド・デュタステリド内服、ミノキシジル外用5%)
ガイドライン推奨度A。別ページ
—ガイドラインは「再生医療等の安全性の確保等に関する法律などの法規に則って施術する必要のあるものも多く」と書いています。培養上清(細胞を含まない)は同法の対象外とされることが多く、届出なしで行われます。何を注射するのか、製剤名と製造元を聞いてください。
—推奨度Aの治療(内服・外用)を試さずにHARGから始める根拠はありません。併用する場合、効果がどちらのものかは分かりません。
—女性・若年者・円形脱毛症など、症例集積の対象外の人での根拠はさらに乏しい。

② 臨床試験で確かめられていること

毛髪数が増えたという報告はあります。ただし、報告の主体は施術を提供する施設で、対照のある比較は10人(半側)と、海外の6週間の試験だけです。

効果の「大きさ」(1cm²あたり何本)は統合されておらず、承認治療(ミノキシジル外用で1cm²あたり十数〜20本、フィナステリドで同程度)と比べられません。

「9割で増えた」という施設の数字は、対照群のない自己評価・写真評価で、季節変動や併用薬の影響を除けません。

効果が続く期間、やめた後の経過を示すデータはありません。

日本皮膚科学会ガイドラインの評価日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン(2017年版)」CQ13 日皮会誌 2017;127(13):2763-2777
誰に
男性型・女性型脱毛症の患者
何を
成長因子導入および細胞移植療法(脂肪由来幹細胞培養上清、PRPなど)
何と比べて
承認治療(推奨度Aの内服・外用)
どうなった
推奨度C2「行わないほうがよい」。「ランダム化比較試験、症例集積研究が実施されている」が「安全性なども含め、その有効性は決して十分に検証されているとはいえない」「現時点では広く一般に実施できるとは言い難い」
半側対照の症例集積(日本)Fukuoka H, Suga H. Hair regeneration treatment using adipose-derived stem cell conditioned medium: follow-up with trichograms. Eplasty. 2015;15:e10
誰に
薄毛の22人(男性11・女性11)。うち10人(男性8・女性2)で半側比較
何を
脂肪由来幹細胞培養上清の皮内注射、3〜5週ごとに6回
何と比べて
反対側の頭皮に生理食塩水(10人)
どうなった
毛髪数は男女とも「有意に増加」、治療側は対照側より増加が大きい。本数の数値は抄録に記載なし。有害事象なし。著者は施術を提供する施設の所属
月1回6か月の症例集積(日本)Narita K, et al. Sequential Scalp Assessment in Hair Regeneration Therapy Using an Adipose-Derived Stem Cell-Conditioned Medium. Dermatol Surg. 2020;46(6):819-825
誰に
23〜74歳の40人(男性21・女性19)、80部位
何を
脂肪由来幹細胞培養上清の皮内注射、月1回6か月
何と比べて
対照群なし(治療前との比較)
どうなった
毛髪密度と成長期率が有意に増加。真皮の厚さとエコー輝度が上昇。経表皮水分蒸散量が4〜6か月で増加。有害事象なし。同一施設の報告
二重盲検の無作為化試験(海外・ミノキシジル併用)Legiawati L, et al. Stem Cell Res Ther. 2023;14(1):210
誰に
男性型脱毛症の患者(人数は抄録に記載なし、半側デザイン)
何を
脂肪由来幹細胞培養上清(濃縮/非濃縮)の皮内注射+5%ミノキシジル外用、6週間
何と比べて
反対側に生理食塩水+5%ミノキシジル外用
どうなった
毛髪数・密度・太さは「両側で有意に増加」。培養上清側が食塩水側より優れたかは抄録から読み取れず。副作用は最小限
系統的レビューOrtega-Cuartiella A. Int J Trichology. 2023;15(5):173-182/Legiawati L, et al. Arch Dermatol Res. 2024;316(8):525
誰に
脂肪由来幹細胞・培養上清を用いた脱毛症治療の11研究(2014〜2024)/培養上清の5研究
何を
間質血管細胞群・ナノファット・培養上清の注射
何と比べて
各研究の対照(多くは対照なし)
どうなった
無作為化試験は1件のみ、多くは症例集積(エビデンスレベル3b〜4)。推奨レベルD。「さらなる無作為化試験を支持する程度には一貫」。5研究はすべて症例集積で「すべて肯定的」だが統合不能。PubMed抄録で確認

この数値はレビュー論文を通じて確認したものです。原著論文そのものの確認は済んでいません。

※ 別々の試験の数値を並べています。試験ごとに対象者・期間・条件が異なるため、本来、数値同士を直接比べることはできません。それを承知のうえで、目安として並べています。

③ まだ答えの出ていないこと

④ 副作用 ── 起こりやすい人・起こる時期・備え

添付文書と臨床試験の報告に基づきます。頻度や重さはあなたの条件で変わります。ここに無い症状が出たときも、処方元に連絡してください。

施術中〜直後数日〜1週間数か月(コース中)注射の痛み・出血・内出血熱感・赤み・かゆみ・腫れアレルギー・アナフィラキシー感染効果不足よくある重大(まれでも見逃さない)
図|副作用の起こる時期のめやす。下の各項目の「起こる時期」の記述を、当サイトが図にした定性的な整理です。幅には個人差があり、この図の外で起こることもあります。頻度の大小を示すものではありません。長期の影響(未知)は時期で表せないため図に入れていません。下の項目を参照。出典: 添付文書・臨床報告(詳細は下の各項目と出典欄)/加工: あり(時期の記述の図示)
注射の痛み・出血・内出血よくある
起こりやすい人
誰にでも。
起こる時期
施術中〜数日。
備え
麻酔クリームやブロック麻酔を使う施設が多い。
熱感・赤み・かゆみ・腫れよくある
起こりやすい人
誰にでも。
起こる時期
直後〜数日。
備え
数日で引きます。1週間以上続くなら受診。
感染重大
起こりやすい人
誰にでも(注射共通)。
起こる時期
数日〜1週間。
備え
痛みと腫れが強くなる、膿が出る、発熱は受診。
アレルギー・アナフィラキシー重大
起こりやすい人
傾向は確立していません。製剤に動物由来成分や添加物が含まれる場合。
起こる時期
施術中〜数時間。
備え
製剤の成分表を確認。
効果不足よくある
起こりやすい人
受けたすべての人。効果の大きさは比べる試験で示されていない。
起こる時期
3〜6回後。
備え
承認治療を先に、または併用していないなら、効果の判定はさらに難しい。
長期の影響(未知)重大
起こりやすい人
—
起こる時期
年単位。
備え
成長因子の反復投与の長期安全性データはありません。時期で表せないため図には入れていません。

⑤ やめるとき

いつまで続けるのか

3〜6回を1クールとし、その後「年1〜2回の維持」を勧める施設が多い。効果の持続期間を示すデータはありません。

途中でやめられるか

いつでもやめられます。回数コースは特定商取引法の対象になる場合があります(脱毛症治療は「特定継続的役務」の列挙外のため、契約内容によります)。

やめたらどうなるか

やめた後の経過のデータはありません。承認治療と同様、続けなければ進行すると考えるのが自然です。

お金はどうなるか

1回払いかコース契約。コースの残回数の精算方法と、併用薬の扱いを契約前に確認してください。

⑥ 価格

A施設は初回88,000円・2回目以降66,000円(上位製剤は110,000円・88,000円)。B施設は全頭198,000円・ハーフ115,500円(診察料・ビタミン点滴・ブロック麻酔込み)、1〜4回目は4週ごと、5回目以降は2か月ごと、維持は年1〜2回ハーフ。C施設は88,000円、6回440,000円、9回660,000円(コースは内服・外用薬を無料提供)。6回の総額で最安と最高が約2.8倍。3施設の確認で、相場ではありません。

未承認製剤で公定価格はなく、表示価格がすべてです。承認治療の年額(フィナステリド後発品+ミノキシジル外用で年6〜12万円程度)と比べると、HARG6回は4〜10倍にあたります。「コースに内服・外用が無料で付く」場合、効いたのがどちらかは分からなくなります。観測日2026-09-05、施設名は扱いません。

⑦ 診察で聞くこと

そのまま読み上げられる形にしています。答えをはぐらかされた質問は、それ自体が判断の材料になります。

  1. 注射する製剤の名前・製造元・成分(成長因子の種類、培養上清かエクソソームか)は何ですか。未承認ですね。
  2. 日本皮膚科学会のガイドラインが「行わないほうがよい(C2)」としていることを、どう説明しますか。
  3. 承認治療(フィナステリド・デュタステリド・ミノキシジル外用)を先に、または併用しない理由は何ですか。
  4. 効果はどう判定しますか(写真・毛髪密度)。何回で効果がなければやめますか。6回コースの解約条件は。

関連する読みもの

出典

最終確認日 2026-09-05/内容をあらためたときは訂正の記録に残します。

  1. 日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン(2017年版)」CQ13 日皮会誌 2017;127(13):2763-2777成長因子導入・細胞移植療法は推奨度C2(行わないほうがよい)。有効性は十分に検証されていない、法規に則る必要、広く一般に実施できるとは言い難い。PDF原文を確認
  2. Fukuoka H, Suga H. Eplasty. 2015;15:e1022人、10人で半側に生理食塩水。毛髪数は有意に増加。数値は抄録になし。施術提供施設の報告。PubMed抄録で確認
  3. Narita K, et al. Dermatol Surg. 2020;46(6):819-82540人・80部位、月1回6か月。密度・成長期率が増加。対照なし。PubMed抄録で確認
  4. Legiawati L, et al. Stem Cell Res Ther. 2023;14(1):210二重盲検・半側・生理食塩水対照、ミノキシジル併用、6週。両側で増加。PubMed抄録で確認
  5. Ortega-Cuartiella A. Int J Trichology. 2023;15(5):173-182/Legiawati L, et al. Arch Dermatol Res. 2024;316(8):525系統的レビュー。無作為化試験1件、推奨レベルD、統合不能。PubMed抄録で確認したため二次資料扱い
  6. 複数のクリニック公開ページ(2026-09-05確認、3施設)88,000円/66,000円、198,000円/115,500円(麻酔・点滴込み)、88,000円・6回440,000円・9回660,000円。「医薬品医療機器等法上の承認を得ていない未承認医薬品」「日本医療毛髪再生研究会の正規認定施設」「90%以上の症例で増えた」の記載。施設名は扱いません