ミノキシジル外用(発毛剤・高濃度外用)
「塗るミノキシジル」は、薄毛治療の中で数少ない、市販で買えて根拠もある選択肢です。クリニックの論点は、高濃度に根拠があるかと、市販より安いか高いかです。
ミノキシジル外用は日本皮膚科学会の脱毛症診療ガイドライン(2017)で推奨度A(男性5%、女性1%)、市販のリアップX5は2009年に承認された第1類医薬品です。393人の48週試験で、脱毛部1cm²の太い毛の増加はプラセボ3.9本、2%で12.7本、5%で18.6本。日本人300人の24週試験でも1% 21.2本、5% 26.4本でした。副作用は頭皮のかゆみ・発疹など8〜9%で、市販後3,072人の調査でも8.82%でした。クリニックが出す7%・15%の高濃度外用は、5%と比べた試験を当サイトは確認できていません。内服との比較では、発毛効果は同等で、内服のほうが多毛が2倍でした。
① 国内で承認されている使い方
ミノキシジル外用は1999年にリアップ(1%)が、2009年にリアップX5(5%)が一般用医薬品として承認され、現在は第1類医薬品として薬局で買えます(後発品多数)。効能は「壮年性脱毛症における発毛、育毛及び脱毛(抜け毛)の進行予防」で、男性用5%は20歳以上の男性のみ、女性は1%製剤です。クリニックが処方する7%・10%・15%などの高濃度外用は、国内承認製品ではなく、院内調製か海外製品の個人輸入です。
② 臨床試験で確かめられていること
効果は「太い毛が1cm²あたり十数〜20本増える」規模です。見た目の改善は「軽度〜中等度」で、元通りになるわけではありません。
効果が出るまで3〜4か月、判定は6か月。使い始めに抜け毛が増える「初期脱毛」があり、やめる理由になりがちですが、休止期の毛が入れ替わる反応です。
使い続けている間だけ効きます。やめると数か月で元に戻ります。
内服との比較で発毛効果は同等でした。全身の副作用(多毛・むくみ・動悸)がない分、外用が先です。
- 誰に
- 18〜49歳の男性型脱毛症の男性393人
- 何を
- 5%ミノキシジル液(157人)、2%(158人)を1日2回、48週
- 何と比べて
- プラセボ(78人)
- どうなった
- 脱毛部1cm²の非軟毛数の増加: プラセボ3.9本、2% 12.7本、5% 18.6本(5% vs プラセボ p<0.001、vs 2% p=0.025)。5%は効果の出方が早く、かゆみ・局所刺激は5%で多い。全身性の影響なし
- 誰に
- 日本人男性300人
- 何を
- 5%ミノキシジル液、24週
- 何と比べて
- 1%ミノキシジル液
- どうなった
- 脱毛部1cm²の非軟毛数の増加: 1% 21.2本、5% 26.4本(p=0.02)。ガイドラインは男性5%・女性1%を推奨度A。原著は当サイト未確認(ガイドラインの記載で確認)
この数値はレビュー論文を通じて確認したものです。原著論文そのものの確認は済んでいません。
- 誰に
- 女性型脱毛症の女性(47試験・5,290人のうちミノキシジルの試験)
- 何を
- ミノキシジル外用(1〜5%)
- 何と比べて
- プラセボ/濃度どうし
- どうなった
- 中等度以上の改善を報告した割合 RR 1.93(95%CI 1.51〜2.47、中等度の質)。毛髪数 +13.18本/cm²(10.92〜15.44、低い質)。2% vs 5%で差なし(MD −2.12本、低い質)。有害事象 RR 1.24(0.82〜1.87)
- 誰に
- 男性型脱毛症の279人(4つの無作為化試験、24〜39週)
- 何を
- ミノキシジル内服
- 何と比べて
- ミノキシジル外用
- どうなった
- 毛髪密度 SMD 0.02(95%CI −0.25〜0.29、差なし)、太さ SMD −0.25(差なし)。多毛は内服で RR 2.01(1.18〜3.41)。低血圧は差なし
- 誰に
- 使用実態下の使用者3,072人(6か月以上1,987人、1年以上1,527人、65歳以上148人)
- 何を
- 5%ミノキシジル外用(リアップX5)
- 何と比べて
- 承認時までの調査(210人)
- どうなった
- 副作用発現率8.82%(271/3,072)、承認時8.57%(18/210)と差なし。適用部位のかゆみ・発疹等6.25%、皮膚炎等2.28%。重篤は心不全1件(評価困難)。年齢が上がるほど副作用率が高い
- 誰に
- 男性型脱毛症の患者
- 何を
- 7%・10%・15%ミノキシジル外用
- 何と比べて
- 5%外用
- どうなった
- 5%より効果が大きいことを示した無作為化試験を確認できませんでした。PubMedの系統的レビュー・ネットワークメタ解析(Gupta 2022・2025)に高濃度外用の比較は含まれていません
※ 別々の試験の数値を並べています。試験ごとに対象者・期間・条件が異なるため、本来、数値同士を直接比べることはできません。それを承知のうえで、目安として並べています。
③ まだ答えの出ていないこと
- 7〜15%の高濃度外用の上乗せ効果と副作用。5%との比較試験がありません。
- 5年・10年の長期使用での効果の持続と、加齢に伴う進行との関係。
- 女性での5%の安全性(メーカーは日本人女性での安全性未確認)。
- フィナステリド・デュタステリドとの併用の上乗せ効果の大きさ。
④ 副作用 ── 起こりやすい人・起こる時期・備え
添付文書と臨床試験の報告に基づきます。頻度や重さはあなたの条件で変わります。ここに無い症状が出たときも、処方元に連絡してください。
- 起こりやすい人
- 誰にでも。市販後調査で6.25%。5%は2%より多い。
- 起こる時期
- 使用開始〜数週間、以後も。
- 備え
- 基剤(アルコール・プロピレングリコール)のかぶれもあります。続くなら中止して皮膚科へ。
- 起こりやすい人
- 使い始めた多くの人。
- 起こる時期
- 開始2〜8週。
- 備え
- 休止期の毛が抜けて入れ替わる反応で、続けると収まります。ここでやめる人が多い。
- 起こりやすい人
- もともと頭皮に炎症のある人。市販後調査で皮膚炎等2.28%。
- 起こる時期
- 数週間〜。
- 備え
- 皮膚科で頭皮の治療を先に。
- 起こりやすい人
- 液が顔に垂れる人、女性。
- 起こる時期
- 数か月。
- 備え
- 塗布後に手を洗い、額に垂れないように。
- 起こりやすい人
- 心疾患・高血圧のある人、大量に塗る人、高濃度製剤。
- 起こる時期
- 使用中。
- 備え
- 市販後調査で心不全1件(因果不明)。添付文書は心臓病・高血圧の人に「相談すること」。動悸・胸痛・むくみは中止して受診。
- 起こりやすい人
- 受けたすべての人。
- 起こる時期
- 中止後数か月。
- 備え
- 増えた毛は元に戻ります。
⑤ やめるとき
効果は使用中だけ続くため、続ける限りが期間です。添付文書は「6か月使って改善がなければ中止して受診」と定めています。
いつでもやめられます。離脱症状はありません。
増えた毛は数か月で元に戻ります。進行を止めるにはフィナステリド等との併用が検討されますが、それも継続が前提です。
1本ごとの支払い。まとめ買いプランは、6か月時点で効果判定をして続けるかを決められる形かを確認してください。
⑥ 価格
A施設は5%が5,000円、7%が6,000円、15%が8,000円、女性用1%が5,000円(診察料なし、送料別)。B施設は5%が5,500円、3か月プランで3,300円/本(診察料は薬の購入があれば0円)。比較記事では5%月額8,250円の例もあります。メーカー直販のリアップX5プラスネオは60mL 8,140円で、クリニックの5%より市販の先発品のほうが高い逆転が起きています。市販の後発品は3,000〜5,000円台と報じられています。3施設の確認で、相場ではありません。
市販薬なので薬価はなく、メーカー希望小売価格と店頭価格がすべてです。クリニック処方の利点は「診断」と「高濃度」ですが、高濃度の根拠は未確認です。年単位で使う薬なので、年額(1本5,000円なら6万円、8,140円なら約10万円)で比べてください。観測日2026-09-05、施設名は扱いません。
⑦ 診察で聞くこと
そのまま読み上げられる形にしています。答えをはぐらかされた質問は、それ自体が判断の材料になります。
- 私の脱毛は壮年性脱毛症(AGA/FAGA)ですか。他の原因(円形脱毛症・甲状腺・鉄欠乏)は除外しましたか。
- 処方される濃度は何%で、その濃度が5%より効くという試験はありますか。承認製品ですか。
- 市販の5%(第1類医薬品)と比べて、ここで処方を受ける利点は何ですか。価格の差はいくらですか。
- 効果の判定は何か月後で、何を基準にしますか。効かなかったら次はどうしますか。
関連する読みもの
出典
最終確認日 2026-09-05/内容をあらためたときは訂正の記録に残します。
- 日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン(2017年版)」CQ3推奨度A(男性5%・女性1%)。Olsen 2002(393人: 3.9/12.7/18.6本)、国内300人(21.2 vs 26.4本、p=0.02)、フォーム352人(20.9 vs 4.7本)、女性1,242人のSR(+13.18本)。PDF原文を確認
- Olsen EA, et al. J Am Acad Dermatol. 2002;47(3):377-3855% vs 2% vs プラセボ、48週。5%が優位、かゆみ・刺激は5%で多い。PubMed抄録で確認
- van Zuuren EJ, et al. Cochrane Database Syst Rev. 2016;5:CD007628女性型脱毛症。RR 1.93、+13.18本/cm²、2% vs 5%差なし。PubMed抄録で確認
- Sobral E, et al. Int J Dermatol. 2025;64(3):479-484内服 vs 外用4試験279人。密度・太さ差なし、多毛RR 2.01。PubMed抄録で確認
- Gupta AK, et al. JAMA Dermatol. 2022;158(3):266-274/Gupta AK, et al. J Cosmet Dermatol. 2025;24(7):e70320ネットワークメタ解析。承認治療の中で外用5%が最も有効な外用単剤。高濃度外用の比較は含まれない。PubMed抄録で確認したため二次資料扱い
- 医薬品医療機器総合機構「リアップX5/リアップ5 再審査報告書」平成25年12月26日(厚生労働省審議資料PDF)承認 平成21年2月23日。使用実態下3,072人の副作用発現率8.82%、承認時8.57%、適用部位症状6.25%、皮膚炎2.28%、心不全1件(評価困難)、年齢と副作用率。PDF原文を確認(OCRの一部に誤字)
- 大正製薬 リアップX5プラスネオ 製品情報(直販ページ・添付文書情報)第1類医薬品、効能、20歳以上男性・1日2回1mL、女性・未成年不可、6か月で改善なければ中止、60mL(30日分)8,140円。原文ページを確認
- 複数のクリニック公開ページ(2026-09-05確認、3施設)5% 5,000円/7% 6,000円/15% 8,000円、5% 5,500円(プラン3,300円)、比較記事の8,250円。施設名は扱いません