EVIDENCE BEFORE COMPARISON
薄毛・AGA治療の効果・副作用・費用を比較する
飲み薬、塗り薬、注射、植毛。「髪を増やす」という目的が同じでも、治療の仕組みや研究の対象は異なります。まず方法を分け、それぞれの効果の根拠・リスク・続ける費用を確認しましょう。
誰の薄毛を調べた研究?
男性・女性、薄毛の原因、進行度を確認します。違う対象者の結果をそのまま当てはめないための入口です。
何を「効果」と数えている?
毛の本数、太さ、写真の評価、満足度を分けて読みます。薬と植毛の数字を単純に並べても、優劣は決まりません。
続ける費用・やめる条件は?
月額だけでなく、診察・検査・追加施術と、中止後にどうなるかを各ページで確認します。
治療別に、根拠を確かめる
以下は各解説の掲載内容の要約です。研究の対象・評価指標が異なるため、治療間の順位や効果の優劣を示すものではありません。資料の確認日は治療ごとに異なります。
AGA治療薬(フィナステリド・デュタステリド)
男性型脱毛症への効果は大規模試験で確立しています。ただし飲み続けることが前提で、女性は対象外です。
ミノキシジル外用(発毛剤・高濃度外用)
ミノキシジル外用は日本皮膚科学会の脱毛症診療ガイドライン(2017)で推奨度A(男性5%、女性1%)、市販のリアップX5は2009年に承認された第1類医薬品です。393人の48週試験で、脱毛部1cm²の太い毛の増加はプラセボ3.9本、2%で12.7本、5%で18.6本。日本人300人の24週試験でも1% 21.2本、5% 26.4本でした。副作用は頭皮のかゆみ・発疹など8〜9%で、市販後3,072人の調査でも8.82%でした。クリニックが出す7%・15%の高濃度外用は、5%と比べた試験を当サイトは確認できていません。内服との比較では、発毛効果は同等で、内服のほうが多毛が2倍でした。
ミノキシジル内服
効果を示す研究は増えています。同時に、日本皮膚科学会のガイドラインは推奨度D(行うべきではない)と明記し、国内でも海外でも脱毛症の薬として承認した国はありません。
HARG療法
HARG療法は、成長因子や脂肪由来幹細胞の培養上清(施設によってはエクソソーム)を頭皮に注射する施術です。日本皮膚科学会の脱毛症診療ガイドライン(2017)は、成長因子導入・細胞移植療法を推奨度C2「行わないほうがよい」とし、「安全性なども含め、その有効性は決して十分に検証されているとはいえない」と書いています。発表されている研究は、施術を提供する施設自身による症例集積(22人・40人)が中心で、半側に生理食塩水を打って比べた報告は10人、二重盲検の無作為化試験は海外の1件(ミノキシジル併用)だけです。成長因子製剤は国内未承認で、1回66,000〜198,000円、6回で40万〜120万円です。
自毛植毛
後頭部の毛を毛包ごと採り、薄い部分に移す手術です。日本皮膚科学会のガイドライン(2017)は男性型脱毛症に推奨度B(行うよう勧める)、女性型脱毛症にC1としています。ただし系統的レビューも無作為化試験も実施されておらず、「82.5%以上」とされる生着率は教科書の記載(エビデンスレベルV)が根拠です。人工毛植毛は推奨度D(行うべきでない)。1,000グラフトで72〜143万円(3施設)と高額で、移植毛は残っても周囲の毛はAGAで薄くなり続けるため、薬との併用が前提です。
女性の薄毛治療(FAGA)
日本皮膚科学会のガイドライン(2017)は、女性型脱毛症にミノキシジル外用(1%)を推奨度A(強く勧める)としています。8試験・1,242人の系統的レビューで毛髪数が1cm²あたり13.18本増え、国内の280人の試験でも有意でした。一方、フィナステリド・デュタステリド内服は女性には推奨度D(行うべきでない)で、137人の試験で効果がなく、妊婦には禁忌です。ミノキシジル内服も推奨度D。クリニックで売られるスピロノラクトンとパントガールはガイドラインに記載がありません。
診察で聞きたいこと
- 自分の薄毛の原因と、この治療が対象とする原因は一致していますか。
- 写真や満足度だけでなく、どの指標で、いつ効果を判定しますか。
- 総額と、効果が乏しい場合の見直し時期を教えてください。
個人の適否はこの一覧だけでは判断できません。出典と個別の副作用は各治療の解説を読み、持病・服薬などを医師に伝えて相談してください。